国立西洋美術館の舞台裏を描いたドキュメンタリー映画が7/15より公開!井浦新がナレーションの予告編が解禁

20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエが設計し、2016年に世界文化遺産に登録された上野の「国立西洋美術館」。東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇り、日本を代表する美術館として知られる国立西洋美術館の舞台裏を描いたドキュメンタリー映画『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』が、7月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開される。この度、俳優の井浦新がナレーションを担当した予告編が解禁された。

2020年、ル・コルビュジエが構想した創建当時の姿に近づける整備のために休館した国立西洋美術館の、普段は見ることのできない内部にカメラが入り、1年半の長期にわたり密着。リニューアル工事のために行った所蔵作品の“お引越し”の全貌を記録したほか、絵画や彫刻の保存修復作業、コレクションの調査研究や国内・海外の美術館への巡回展、特別展の企画開催など、知られざる“美術館の舞台裏”に迫った本作。

このたび、予告編のナレーションを井浦新が担当。2013年から2018年まで司会を務めたNHK「日曜美術館」をはじめ数々の美術番組に出演、ガイドブックや展覧会グッズの制作にも関わるなど、美術愛の深さで知られる井浦が「知られざる美術館の舞台裏」の世界へと誘いこむ。

予告編は、モネ、ルノワールなどの名画やロダンの彫刻など、華麗な所蔵作品が展示される美術館のシーンから始まり、リニューアル工事のために休館し、観客が誰もいなくなった場面へと移り変わる。ル・コルビュジエが構想した当時の姿に近づける前庭リニューアル工事の模様をはじめ、普段は決して見られない収蔵庫の内部、展覧会の打ち合わせ風景や購入作品決定の会議など、映画でしか見ることのできない貴重なシーンが続々と登場する。更に関係者のインタビューでは、美術館の目前に迫る“危機的状況”が明かされ…。

ナレーションを終えた井浦からは「美術館に行くと、学芸員や研究者の方々、美術館をきれいに保ってくれている掃除の方たちまで、美を守ろうとする多くの方たち、人の想いを感じる。それが美術館の魅力だと思います」とコメントが寄せられた。

また、「怖い絵」著者の中野京子、「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」著者の東京藝大佐藤直樹教授など、美術界で活躍する著名人からのコメントも続々到着している。
(注:井浦新の担当は予告編のナレーションとなります。本編にはナレーションは入っていません)

井浦新 コメント

西洋美術は印象派が好きで、なかでも日本美術、浮世絵の影響を受けたゴッホとスーラに惹かれます。ゴッホの「星月夜」の渦巻きも大好きだし、見ているとワクワクする。スーラはすっと品が良いのですが、よく見ると狂気を感じる。どちらの作家にも強烈な魅力を感じます。
ありがたいことに、今まで美術にまつわるお仕事をたくさん頂いて、展覧会に関わらせて頂いたことも何度かありますが、僕がずっと感じてきたことは、何百年も前の芸術が目の前にあることは当たり前ではない、ということ。絵画をどう守っていくか、修復が必要なものは如何に昔の状態に戻すか、経年変化をどうやって緩やかにしていくか。展覧会を作っていく学芸員の方たちがチームを組んで、本当にすごいことをやっている。やはり“人”なんですよね。
絵画を見て、その絵を描いた作家を感じるように、美術館に行くと、学芸員や研究者の方々、美術館をきれいに保ってくれている掃除の方たちまで、美を守ろうとする多くの方たち、人の想いを感じる。それが美術館の魅力だと思います。
美術館で働く人々のことは、お客さんは知らなくても良いかもしれない。だけど、知ってから美術館に行って美術を見ると、もっと楽しくなる。この映画を見て、国立西洋美術館に行ったら、見る前とは国立西洋美術館の見方や過ごし方がきっと変わる。映画を見てから美術館に行くのもいいし、行ってから映画を見ても、どっちも楽しい。無機質に感じるかもしれない美術館も、実は生き物なんです。

著名人コメント(敬称略・順不同)

日本の美術館が置かれている経済的にきわめて厳しい状況がよくわかった。一方でしかし、素晴らしい名画がこんなに多く所蔵されていること、また学芸員やスタッフたちの優秀さや芸術への熱い思いが伝わってきて、未来は決して暗くないと希望が持てた。
中野京子(「怖い絵」著者・ドイツ文学者

大学に移ってからは、作品点検や展示作業から離れてしまいましたが、国立西洋美術館での経験は、今でも美術作品を見るときの重要な軸となっています。映画を観ているうちに、私も一研究員に戻り、作品の運搬中に事故が起きないよう緊張したほどです。この映画が、国立西洋美術館の仕事を正しく記録しているからでしょう。
佐藤直樹(「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」著者・東京藝術大学 美術学部教授)

世界の美術館界はいま、多様性、包摂性、持続可能性を重視する方向へ大きく舵を切りつつある。アジア各地では大型美術館が設立されている。国立西洋美術館をはじめ、すでに様々な歴史を刻んできた我が国の国立美術館は、いままさに岐路に立たされている。これは複雑に絡み合う多様な問いを、実にタイムリーに「わたしたち」に投げかける映画だ。
片岡真実(森美術館館長 国立アートリサーチセンター センター長)

国立西洋美術館にはもう長い間、特別展開催のための予算がつけられていない。そのようなものとして、「わたしたち」の選んだ政府が、「わたしたち」の文化行政を設計してきた。美術に無私の奉仕を捧げる「わたし」。この映画や美術に無関心の「わたし」。あらゆる「わたし」を包摂する「わたしたち」のために、文化や美術はどのようなかたちで存在するべきなのか、いま一度考えたい。
橋本麻里(ライター、エディター)

学生時代初めて自らの意思で訪れた国立西洋美術館。それから30年以上に渡り何百回と足を運んでいる馴染み深い美術館ですが、この映画を観るまで内情がこれほど複雑で仕事も多岐に渡っていることを知り得ませんでした。また資金面で困窮し単独で展覧会を開けないといった実情も赤裸々に語られておりまさに驚きの連続でした。
中村剛士(アートブログ『青い日記帳』主宰)

このドキュメンタリーが示すのは博物館学的技術の詳細なドキュメントだけでなく本来の保存業務を果たしながら変動する時代の要請に可能な限り応えようとする美術館の姿であり、どの分野においても正解が定まらない中で他の美術館のモデルとならなければならないという責務を必死に果たそうという人々の証言である。
伊東順二(美術評論家、プロジェクト・プランナー、プロデューサー)

イントロダクション
多彩で、情熱的で、刺激的。誰も知らない「美術館の舞台裏」へ、ようこそ。

1959年、フランス政府から日本へ寄贈返還された「松方コレクション」を基礎に、モネの「睡蓮」をはじめルノワール、ピカソ、ゴッホなどの名画からロダンの「考える人」「カレーの市民」などの彫刻、版画、素描などおよそ6,000点の作品を所蔵、東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇る国立西洋美術館。2020年、ル・コルビュジエが構想した創建時の姿に近づける整備のために休館した美術館の、普段は見ることのできない内部にカメラが入り、1年半の長期間にわたり密着。所蔵品の保存修復作業、コレクションの調査研究や海外・国内美術館への巡回展、特別展の企画開催など、「美」を守り伝えることに奔走し、尽力する人々の情熱と多岐にわたる活動を追う。絢爛たる傑作の数々が目を楽しませる一方で、関係者へのインタビューからは、日本の文化行政が抱える難問と美術館の目前に迫る“危機的状況”が浮かび上がり…。監督は、2015年に開催され大きな話題を呼んだ永青文庫「春画展」の内幕を描いた『春画と日本人』の大墻敦。刺激に満ち、アートの見方を変える、必見のドキュメンタリー映画が誕生した。

作品タイトル:『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』
製作・監督・撮影・録音・編集:大墻敦
録音・照明:折笠慶輔
録音:梶浦竜司
カラーグレーディング:堀井威久麿
音楽:西田幸士郎
演奏:閑喜弦介(クラシックギター)、多久潤一朗(アルトフルート)
音楽録音・リレコーディング:深田晃
技術協力:KIN 大石洋平 宮澤廣行
協力:国立西洋美術館
日本/105分/ドキュメンタリー/DCP
配給:マジックアワー

公式サイト:https://www.seibi-movie.com/
コピーライト:(c)大墻敦

7月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

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