テアトル・クラシックス ACT.1「愛しのミュージカル映画たち」時代を彩る名女優の姿をもう一度!―2/25(金)公開

テアトル・クラシックス ACT.1「愛しのミュージカル映画たち」

誰もが知る不朽の名作や、密かに人気を博す隠れた傑作を、東京テアトルのセレクションで贈るスペシャル・プログラム、テアトル・クラシックス ACT.1「愛しのミュージカル映画たち」が、2月25日(金)より、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開となる。

往年の映画ファンには古き良き時代の思い出の作品を再びスクリーンで堪能する喜びを、これまで旧作に馴染みのなかった若い世代にはクラシック映画の素晴らしさを年2回の特集上映でお届けする「テアトル・クラシックス」。

第1弾は「ミュージカル映画」特集として、20世紀初頭のセントルイスを舞台にした、心温まるファミリー・ミュージカル『若草の頃』、ミュージカルスターのジュディ・ガーランドとフレッド・アステアが初共演を果たし、ダンスを通して語られるロマンスを描く『イースター・パレード』、ジーン・ケリーが主演を務め、第24回アカデミー賞で作品賞を含む6部門に輝いた、第二次世界大戦終結直後のパリで、画家を目指すアメリカ人の青年とパリジェンヌの女性の恋愛を描く『巴里のアメリカ人』、マリリン・モンローとジェーン・ラッセルが主演を務め、お金持ちと結婚してゴージャスな生活を送ることを夢見る、二人のショーガールが巻き起こす恋愛喜劇『紳士は金髪がお好き』、グレース・ケリー最後の映画出演作で、互いに未練の残る元夫婦が繰り広げる恋の三角関係を描いたロマンティック・コメディ『上流社会』というハリウッド・ミュージカル映画全盛期の作品と、売れないソプラノ歌手が女装の男性歌手としてスターになったために巻き起こる珍騒動を描いた『ビクター/ビクトリア』という80年代の傑作ミュージカルを加えた全6作品が一挙上映される。

今回は、女優にフォーカスをあてて各作品をご紹介する。
『オズの魔法使い』から5年、22歳になったジュディ・ガーランドが次女のエスターを演じたのが『若草のころ』。抜群の歌唱力と、なんといっても大人になった彼女がとてもチャーミングに映し出される。去年劇場公開された『ジュディ 虹の彼方に』で初めて知ったという方も多いはず。この作品がきっかけで、ヴィンセント・ミネリ監督とジュディ・ガーランドは結婚、二人の間に生まれた子が、ライザ・ミネリだ。

その後、ミュージカル界の大スターになったジュディ・ガーランドと、引退を声明していたフレッド・アステアが見事にカムバックして初共演したのが『イースター・パレード』。MGMのミュージカルでも、ひときわ明るく陽気な作品で楽しさあふれる伝説のミュージカルとなった。

ミュージカル映画の金字塔『雨に唄えば』と『巴里のアメリカ人』で大スターとなったジーン・ケリーの相手役を務めたのが、当時19歳のフランスから来た新人レスリー・キャロン。『ラ・ラ・ランド』でトランペットの演奏シーンの後、ミアとセブがセーヌ川を歩くシーンは、『巴里のアメリカ人』での妄想シーンへのオマージュだ。当初は、シド・チャリシーが出演予定だったが妊娠したため、ジーン・ケリーが新人であるレスリー・キャロンを見つけてきたと言われている。

マリリン・モンローをスターダムに押し上げた1本でもある『紳士は金髪がお好き』。金髪のマリリン・モンローと黒髪のジェーン・ラッセルというアメリカ二大セックスシンボルの共演が話題となった。マドンナの『マテリアル・ガール』のミュージック・ビデオやニコール・キッドマン演じる『ムーランルージュ』など、数多くの作品でオマージュされている。

『上流社会』はグレース・ケリーがモナコ公国のレーニエ公と婚約後に出演した、女優としての最後の作品。ルイ・アームストロング、ビング・クロスビー、フランク・シナトラという豪華共演者のほか、ドレスや婚約指輪を身につけたグレースの美しさが語り継がれている。ニコール・キッドマン主演の映画『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』でもモデルとなった。

『ビクター/ビクトリア』のジュリー・アンドリュースは、彼女の歌唱力、コメディエンヌとしての才能、そして女性的な一面と共にある男っぽさを余すところ無く表現し、アカデミー賞でも7部門にノミネートされるヒット作となった。『マイ・フェア・レディ』、『メリー・ポピンズ』や、『サウンド・オブ・ミュージック』など、日本でも馴染み深い作品に数多く出演しており、今もなお女優や司会などで活躍している。

華やかに彩られた音楽、美しく奏でられる名曲、瑞々しく輝く往年のスターたち――心躍り、身体が弾む、極上の音楽エンターテイメントがスクリーンに集結。テアトル・クラシックス ACT.1「愛しのミュージカル映画たち」は、2月25日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開。


『若草の頃』

[1944年|113分|アメリカ|原題:Meet Me in St. Louis]
★第17回 アカデミー賞(1945年) 脚色賞/撮影賞(カラー)/作曲賞(ミュージカル)/歌曲賞 ノミネート

『若草の頃』より

出演:ジュディ・ガーランド、マーガレット・オブライエン、メアリー・アスター、ルシル・ブレマー、トム・ドレイク
監督:ヴィンセント・ミネリ
原作:サリー・ベンソン
脚色:アービング・ブレッチャー、フレッド・F・フィンクルホフ
製作:アーサー・フリード
撮影:ジョージ・J・フォルシー
音楽:ジョージー・ストール

20世紀初頭のセントルイスを舞台にした、心温まるファミリー・ミュージカル。「若草物語」にも似てジュディ・ガーランド扮する次女が原作者のモデル。名子役マーガレットとジュディが歌うシーンが愛らしい家族パーティーをはじめ、ジュディが初恋のときめきを、ある時は悩み(「ボーイ・ネクスト・ドア」)、時には歓び歌い上げる(「トロリー・ソング」)、ヒュー・マーティンとラルフ・ブレインの歌曲が、美しい美術や衣装と共に映画を彩る。中でも泣きじゃくる妹を慰めつつジュディが唄う「メリー・リトル・クリスマス」はクリスマスソングの定番に、ジュディの魅力を引き出すために特に作られた「トロリー・ソング」は、後年の彼女のコンサートには欠かせないスタンダードになった。
監督のヴィンセント・ミネリはこの作品が縁でジュディと結婚し、のちに自身も大エンターテイナーとなる娘ライザ・ミネリが生まれた。作品自体も、単なる楽しいミュージカルとしてではなく、古き良きアメリカの家庭の様子や市井の人々の温かさが、時代背景と共に生き生きと描かれて、今も変わらず観る者を魅了する。

『若草の頃』より
『若草の頃』より
『若草の頃』より


『イースター・パレード』

[1948年|103分|アメリカ|原題:Easter Parade]
★第21回 アカデミー賞(1949年) 作曲賞(ミュージカル) 受賞

『イースター・パレード』より

出演:ジュディ・ガーランド、フレッド・アステア、ピーター・ローフォード、アン・ミラー
監督:チャールズ・ウォルターズ
原作:フランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット
脚色:シドニー・シェルダン、フランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット
製作:アーサー・フリード
撮影:ハリー・ストラドリング
作詞・作曲:アーヴィング・バーリン
振付:ロバート・アルトン

1910年代のニューヨーク。フレッド・アステア扮するドンは人気ダンスコンビを組んでいた。が、突如相方に去られてしまい、戸惑いながらも新たなパートナーを見つけ再出発を目指すことになる。相手役に抜擢されたジュディ・ガーランド演じるハンナは、前任者とは180度違った個性だったために互いに四苦八苦する。やがて、これまでを踏襲せず、新たな個性を生み出せば良いと気づき…。
共にハリウッドの名門スタジオMGMに長く在籍しながらも、主役の二人は実はこれが初共演。彼らの持ち味と芸が見事に呼応しあい、愉しく生き生きとしたバックステージものに仕上がった。
音楽は”アメリカ・ポピュラーソングそのもの“と言われるアーヴィング・バーリン。実際に1910年代に彼がヒットさせた曲をはじめ、本作の為に作られた新曲を共に(「カップル・オヴ・スウェルズ」の楽しさ!)、或いは個々に(アステアの「ステッピングアウト・ウィズ・マイ・ベイビー」は必見)歌い踊る。加えて名手アン・ミラーのタップが冴える「シェイキング・ザ・ブルース・アウェイ」、ジュディとP・ローフォードの愛らしいデュエット「フェラ・ウィズ・アンブレラ」等が並ぶ。

『イースター・パレード』より
『イースター・パレード』より
『イースター・パレード』より


『巴里のアメリカ人』

[1951年|113分|アメリカ|原題:An American in Paris]
★第24回 アカデミー賞(1952年) 作品賞/脚本賞/撮影賞/作曲賞/美術賞/衣裳デザイン賞 受賞

『巴里のアメリカ人』より

出演:ジーン・ケリー、レスリー・キャロン、オスカー・レヴァント、ジョルジュ・ゲタリー
監督:ヴィンセント・ミネリ
脚本・原作:アラン・ジェイ・ラーナー
製作:アーサー・フリード
撮影:アルフレッド・ギルクス
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
振付:ジーン・ケリー

第二次大戦直後のパリ。米国人ジェリー(ジーン・ケリー)は退役後も祖国へ帰らずに、画家としての夢を実現させようとして、仲間たちとボヘミアンな暮らしをしている。そんな中、彼は巴里娘リーズ(レスリー・キャロン)に恋をするが、彼女は仲間の一人の許嫁だった…。
既に若くして世を去っていたジョージ・ガーシュウィンの交響詩「パリのアメリカ人」を中心に、全編にガーシュウィン兄弟の「ス・ワンダフル」「我が恋はここに」「エンブレイサブル・ユー」「アイ・ガット・リズム」といった名曲が溢れる。作詞家である兄アイラは、作品に見合うよう新たに歌詞を書き直しもした。脚本を担当したのは『マイ・フェア・レディ』のアラン・ジェイ・ラーナー。
念願の映画化にジーン・ケリーは自ら振り付けも担当。終幕では、ローラン・プティの下で踊り、本作が映画デビューとなったレスリー・キャロンと、圧巻のバレエシーンを生み出した。舞台の美術装置家から出発したヴィンセント・ミネリを監督に得られたことも成功の一つだろう。夢を追う仲間たちにはシャンソン歌手としても知られるジョルジュ・ゲタリーや、ピアニスト・作曲家でもある才人オスカー・レヴァントが好助演している。

『巴里のアメリカ人』より
『巴里のアメリカ人』より


『紳士は金髪がお好き』

[1953年|91分|アメリカ|原題:Gentleman Prefer Blondes]

『紳士は金髪がお好き』より

出演:ジェーン・ラッセル、マリリン・モンロー、チャールズ・コバーン
監督:ハワード・ホークス
製作:ソル・C・シーゲル
原作:ジョゼフ・フィルズ、アニタ・ルース
撮影:ハリー・J・ワイルド
音楽:ライオネル・ニューマン、ジュール・スタイン

“ローリング・トゥエンティーズ(狂騒の20年代)”と言われた大恐慌前の1920年代。ニューヨークからパリへと向かう船上が主な舞台。お金持ちと結婚してゴージャスな生活を送ることを夢見る、二人のショーガールが巻き起こす恋愛喜劇。男性映画の名匠と言われながら、実は粋な女性映画も撮れるホークスがすっきりと楽しくまとめ上げた。アニタ・ルースの原作は、これまでにもコメディとして1928年にも映画化されているが、本作は原作を基に1949年に舞台ミュージカルとして発表されたものを脚色・映画化している。
スターへの階段を昇り始めたモンローが、生き生きと愛嬌たっぷりにショーダンサーを演じてその魅力を開花。公私ともにモンローと仲が良かった相棒(お目付け役?)的存在のジェーン・ラッセルをはじめ、この手の作品に欠かせない名優チャールズ・コバーンがコミカルに楽しませてくれる。また無名時代のジョージ・チャキリスも端役で出演。
レオ・ロビン(作詞)とジュール・スタイン(作曲)の歌曲もスタンダード・ナンバーとして残っており、特に「ダイヤモンドは女の子の一番の友だち」は舞台当時からヒットしていたが、モンローが歌い踊る場面によってさらに多くの人に印象付けられ、マドンナのミュージック・ビデオでオマージュされるなど、後世にも様々な影響を与えた。

『紳士は金髪がお好き』より
『紳士は金髪がお好き』より


『上流社会』

[1956年|111分|アメリカ|原題:High Society]
★第29回 アカデミー賞(1957年) 作曲賞(ミュージカル)/歌曲賞 ノミネート

『上流社会』より

出演:ビング・クロスビー、グレース・ケリー、フランク・シナトラ、ルイ・アームストロング
監督:チャールズ・ウォルターズ
原作:フィリップ・バリー
脚色:ジョン・パトリック
製作:ソル・C・シーゲル
撮影:ポール・C・ボーゲル
音楽:コール・ポーター ジョニー・グリーン ソウル・チャップリン チャールズ・ウォルターズ

1950年代半ばのロング・アイランドの大邸宅を舞台に、再婚しようとするセレブなお嬢様、まだ前妻に未練がありそれを阻止しようとする元夫、式を取材しに来た記者たちが入り乱れる。キャサリン・ヘプバーンが舞台・映画共に主演し大好評だった『フィラデルフィア物語』を基に、コール・ポーターの歌曲を用いてミュージカル化した。
お嬢様役グレース・ケリーにとっては、モナコ大公との結婚前最後の映画出演作品となり、彼女を取り巻く男性陣に、演技も歌も達者なビング・クロスビー(元夫)とフランク・シナトラ(記者)を配したことで、ポーターの新曲が一層引き立った。名曲として残るビングとグレースのデュエット「トゥルー・ラブ」の調べに乗せて、幸せだった頃をうっとりと思いだすグレース・ケリーが美しい。サッチモこと愛すべきジャズの大御所ルイ・アームストロングが本人役で登場し、仲間たちとの唄と演奏で映画の幕が開くのもご機嫌。監督は『イースター・パレード』と同じくウォルターズが務めた。

『上流社会』より


『ビクター/ビクトリア』

[1982年製作|133分|アメリカ|原題:VICTOR VICTORIA] 
★第55回 アカデミー賞(1983年) 歌曲・編曲賞 受賞 主演女優賞/助演男優賞/助演女優賞/脚色賞/衣裳デザイン賞 ノミネート

『ビクター/ビクトリア』より

出演:ジュリー・アンドリュース、ジェームズ・ガーナー、ロバート・プレストン、レスリー・アン・ウォーレン
監督・脚本:ブレイク・エドワーズ
製作:ブレイク・エドワーズ、トニー・アダムス
美術:ロジャー・マウス
撮影:ディック・ブッシュ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
振付:パディー・ストーン

1930年代のパリ。失業して無一文となったソプラノ歌手ビクトリア(ジュリー・アンドリュース)は、窮地を助けてくれたナイトクラブ芸人トディの案じた一計で、女装の男性歌手として売り出す事に。「女装する美しい男性歌手」として一夜にして人気を得る。しかし、やっかみ怪しむ者、女だと思い彼(実は彼女)に惚れてしまうシカゴのギャング、それを妬む情婦ノーマ(レスリー・アン・ウォーレン)らが入り乱れての錯綜喜劇に発展していく。
劇中のショーとして魅せる「ル・ジャズ・ホット」、トディと小粋にステップを踏む「君と僕」、しみじみと心情を歌う「クレイジー・ワールド」をはじめ、ジュリーが粋な男装や女装(?)で華麗に歌い踊る。この他にも、レスリーの持ち歌「シカゴ・イリノイ」や、劇中半ばでジュリーが(後には別ヴァージョンで)観る者を釘付けにする「セビリアの毒婦」などの魅力的な歌曲は、H・マンシーニ作曲/L・ブリッカス作詞。
戦前ドイツの映画会社ウーファのコメディを、ブレイク・エドワーズが妻アンドリュースにぴったりな題材と考え、脚色・監督。ロバート・プレストン、ジェームズ・ガーナー、レスリー・アン・ウォーレンといった芸達者たちが脇を固めた。当時のパリを再現したセットや衣装も見どころのひとつ。

『ビクター/ビクトリア』より
『ビクター/ビクトリア』より
『ビクター/ビクトリア』より


公式サイト:https://theatres-classics.com/
配給:東京テアトル

2月25日(金)より シネ・リーブル池袋 ほか全国順次公開

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