第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に、日本映画で唯一出品された『ルノワール』のジャパンプレミアが東京・新宿ピカデリーにて6月3日に実施され、主演の鈴木唯、共演の石田ひかり、リリー・フランキー、中島歩、河合優実、坂東龍汰、そして早川千絵監督が登壇した。

石田ひかり、中島歩、坂東龍汰
本作は、長編初監督作品『PLAN 75』(22)が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞に輝き、同年のアカデミー賞(R)日本代表として選出、更に世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされた早川監督の最新作。
満員御礼で迎えたこの日、日本初上映に向けて早川監督は「皆さん、今日は劇場まで足をお運びいただきありがとうございます」と感謝の挨拶。11歳の沖田フキを演じた主演の鈴木は「よろしくお願いしま~す!」とキラキラした笑顔を見せた。


先日行われた第78回カンヌ国際映画祭で、映画祭が選ぶ“注目すべき10人の才能”に選出された鈴木は、「なんだかよくわからないけれど、凄いなー!と思います」と素朴な感想を述べると、フキのお父さん・沖田圭司役のリリーは「老婆心ながら…なるべく注目されないように生きていくのがいいよ。おじさんもカンヌのコンペティションのレッドカーペットを3回歩いているけれど、1回も注目されていないから。慎ましく悪目立ちしないようにするのが大事」とアドバイスし「注目されたりしてグレたりしないでね、マジで」と心配。鈴木は「グレないです!大丈夫です!」と大笑いだった。

改めて、鈴木の才能に触れたリリーは「彼女の瑞々しいお芝居プラス唯ちゃんの何かになりかけている人間の途中を記録した生々しさが映画に乗っかっている。これは注目されてしかるべきだし、これから各国で本作が上映されたら色々なオファーが来るはず。…グレたりしないでね。真っ当に生きるのも大切だよ」とすっかり保護者モードだった。

また、人生初となるカンヌのレッドカーペットを歩いた感想について、鈴木は「一言で言わせていただくと感無量。人生初のレッドカーペットはとても嬉しくて緊張したけれど楽しくて、ワクワクドキドキが止まらず、一生の思い出になると思います」と感激しきり。フキのお母さん・沖田詩子役の石田も共にレッドカーペットを歩いており「コンペ出品が決まってからずっと夢のような気持ちで過ごしていて、今でも夢心地でカンヌの余韻の中にいます」としみじみしていた。

期間中は、審査員長を務めたフランスの女優ジュリエット・ビノシュにランチ時に出会い、鈴木が直接質問をしたという。「演技はどうやっているんですか?と質問しました。『演技はただそこにいるだけが大事で第5感以外に自分なりの第6感、第7感を作れるといいね』と言ってくれました」とその様子を回想。その場にいたリリーは「ジュリエット・ビノシュもこの子だったら伝わるだろうという事を言ってくれたね」と振り返り、同じく石田も「真剣に答えてくれていました」と大物女優の神対応に感謝していた。

一方、撮影の様子を聞かれた御前崎透役の中島は「去年の夏の岐阜での撮影は暑かった。レストランのシーンの待機場所がとにかく暑くて」と明かすと、鈴木も「サウナの中状態でしたね」と苦笑い。

フキと同じマンションに住む北久里子役の河合は、鈴木の印象について「ありのまま自由なまま、何にも縛られない姿が印象的。本読みの時も思ったことを率直に言ってくれるし、私も唯ちゃんのように普段からシンプルに過ごしてもいいんだと勉強になりました」と述べると、連続テレビ小説「あんぱん」(NHK)を見ているという鈴木は、河合との共演を振り返り「演技が凄く上手で、先輩カッコいい!という憧れの目線で見ていました。河合さんの演技は淡い水彩画のように繊細で惹かれる演技。見習いたいと思いました」と語った。

また、リリーが中島を指して「あの人も朝ドラに出ているよ」と鈴木に教えると、中島が「さっき褒めてくれました!」と満面の笑みで報告する一幕も。
また、フキが夏休みに出逢う濱野薫役の坂東は「撮影前に監督と唯ちゃんと3人で顔合わせした際に、唯ちゃんは早口言葉を編み出す天才だと思った。さばくサバ、右目耳毛右目とか…」と無邪気な様子をうかがわせた。

早川監督も「撮影中にフキがいなくなって、探してみたらお風呂の中に隠れていたりして楽しかった。フキはいつも自然体でそのまま。普段のピリッとした撮影現場の雰囲気ではなかった」と、鈴木のピュアな存在が撮影現場の潤滑油になったと述べた。

最後に早川監督は、「観る前にいろいろとしゃべるのは野暮。どんな風に皆さんに感じていただいたのかお聞きするのが大変楽しみです。ぜひ、楽しんでご覧ください」と客席へメッセージを贈った。
なお、本作は世界中で公開のオファーが殺到し、すでに41ヵ国以上で公開が予定されている。
『ルノワール』は6月20日公開。

ストーリー
1980年代後半のある夏。11歳のフキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。ときどき垣間見る大人の世界は、複雑な感情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的。闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。
『ルノワール』
出演:鈴木唯 石田ひかり 中島歩 河合優実 坂東龍汰 リリー・フランキー Hana Hope 高梨琴乃 西原亜希 谷川昭一朗 宮下今日子 中村恩恵
脚本・監督:早川千絵
プロデューサー:水野詠子 Jason Gray 小西啓介 Christophe Bruncher Fran Borgia
製作:ハピネットファントム・スタジオ ローデッド・フィルムズ 鈍牛倶楽部 KINOFACTION テンカラット
Ici et Là Productions/Akanga Film Asia/Nathan Studios/Daluyong Studios/ARTE France Cinema/KawanKawan Media/Panoranime
企画・制作:ローデッド・フィルムズ
制作協力プロダクション:キリシマ1945
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画)
2025年/日本、フランス、シンガポール、フィリピン、インドネシア、カタール/122分/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/日本語、英語/英題:RENOIR/G
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C) 2025「RENOIR」製作委員会 / International Partners
https://happinet-phantom.com/renoir/
6月20日(金) 新宿ピカデリー他全国ロードショー
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