映画『宝島』の沖縄プレミア試写会舞台挨拶が6月7日に那覇市の劇場・シネマQで行われ、妻夫木聡、広瀬すず、大友啓史監督らが登壇した。

先日行われた本作の完成報告会見にて、“宝島宣伝アンバサダー”として全国行脚することを宣言した妻夫木。その<全国キャラバン>の第一弾として、物語の舞台・沖縄の地に妻夫木、広瀬、大友監督らが降り立った。
一番最初に沖縄の方々に映画を見てもらえることに対して、妻夫木は「感無量です。二度の延期を乗り越えて、戦後80年という節目に公開されることになったのは、もしかしたら、時間をかけて練り上げる時間を神様がくださったのではないかと思う」と語った。さらに鑑賞後の観客に「映画はどうでしたか?」と自ら問いかけ、大きな拍手がおこった。

続いて広瀬は「時間がかかったからこそ、作品に対するスタッフの皆さんの情熱や愛情、敬意を感じ、貴重な経験だった」とコメント。

大友監督は「アメリカ統治下の沖縄を再現するのは難しく、美術的なことだけでなく、予算的なことも含め覚悟を決めないと作れなかった」と語り、「調べるにつれ、伝えなければならない想いが募り覚悟を持って撮影した」と振り返った。

またコザ暴動のシーンでは、集めてきたヴィンテージカーをひっくり返して燃やしたという豪快なエピソードに話が及ぶと、妻夫木は当初監督が実際のゲート通りで撮影したいと言っていたことを明かした。大友監督は「コザ暴動はあまり映像などが残っておらず、うちなんちゅの方々によって語り継がれた情報を元に想像力を駆使して組み立てた」と撮影の苦労を語った。
そして、沖縄の歴史を演じることについて広瀬は「授業で習ったことしか知らなかったが、実際に撮影前にいろいろと沖縄の地を回ってみると肌の感覚が変わり、血が騒ぐ感じがし、今の時代に生きている自分たちがどういうふうに受け止めるべきなのか?」と考えさせられたと語る。
さらに、撮影前の役作りについて妻夫木は、コザにある資料館訪問や実際に体験された方々に取材したといい、当時のことを思い出し涙で言葉を詰まらせる場面が何度もあった。その都度、会場から「がんばれ」と温かい声援が送られ、「自分が大好きな沖縄だから、ないがしろにしたくない。どこか見てみぬふりをしていた自分がいたんじゃないか」と、佐喜眞美術館で「沖縄戦の図」を見た時に感じた事を語るとともに、作品を大切に思う気持ちについて述べた。
そんな妻夫木に対して、大友監督は「アメリカ統治下の沖縄を描くのは大変で、キャスティングしながら、2人の顔が自然に出てきたのと同時に、この歴史を背負える俳優というのは、キャリアとか考え方とかを共有して託せる人じゃなければいけないと思って役者を決めた」とコメント。
さらに「何も情報を知らない人が映画の中に入って、登場人物たちと一緒に追体験をして欲しいと思った時に、やっぱり、今の妻夫木くんのような感性が必要だった」と妻夫木に絶大な信頼を置いていたといい、「本当にありがとうね」と、妻夫木へ感謝の意を伝えた。

イベントの最後、広瀬は「この映画が皆さんにどのように届くのか、どういう景色として残るのかと思いながら撮影していたのですが、少しでも皆様の希望になる作品になったらいいなと思います。この映画がとても大きな輪になることを願っております」とコメント。
妻夫木は、「この映画を通して過去を描くことは未来への問いかけだと思いました。過去は無かったことにはできないし、いろいろな思いを背負って僕たちは生きています。だからこそ精一杯に生きていかなくちゃいけないし、今を生きる僕たちは、未来を生きる子供たちのために、何を託せるのかを、今一度考える時なのかなと思っています。今こそ手と手を取り合って共に歩む、そういう力を持った映画になったと僕は思っています」と何度も言葉を詰まらせながら思いを述べた。そして最後に「まずは沖縄の方々の力が必要です。たぎれ、沖縄。たぎれ、日本。まずは沖縄でお願いします」と宣伝アンバサダーとしての熱い想いを語った。
最後に大友監督は、「最初に妻夫木くんは「この作品と心中します」と言ってくれた。映画は人生を変えるきっかけにもなる、そういう力を持っていることを思いながら、そういう映画の力を発揮できる題材があるとしたら、『宝島』だと思います。アメリカ統治下の沖縄で何が起きていたのか?それをエンターテイメントの中で結論を押し付けるのではなく、皆さん1人ひとりに感じていただけるような映画にしたいと常々話してきた。映画『宝島』は、宝の島と言われているその宝は何だったのか?ということを一人ひとりが考えるきっかけになるんじゃないかと思ってます。沖縄の皆さんにまずハンコを押していただき、それで堂々ともっと多くの人にこのスピリットを届けたい。なんとかお力をお貸しください」と作品への想いを語った。

さらに、上映後には妻夫木が本作の宣伝アンバサダーとして、来場した340名全員に宣伝アンバサダーの名刺を自ら手渡しするサプライズイベントも実施。観客から鑑賞の感動を伝えられ、妻夫木自身も涙ぐむ場面もみられた。名刺を配布し終わった妻夫木は「映画を見たお客様としっかりと向き合い、時間を共有できたことはとても貴重な体験だった。この想いを持ち全国キャラバンへ向かいたい」と語った。


ストーリー
沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいた。いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の3人。そして、彼らの英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは“予定外の戦果”を手に入れ、突然消息を絶つ…。残された3人は、「オンが目指した本物の英雄」を心に秘め、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、オンの影を追いながらそれぞれの道を歩み始める。しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境では何も思い通りにならない現実に、やり場のない怒りを募らせ、ある事件をきっかけに抑えていた感情が爆発する。
やがて、オンが基地から持ち出した“何か”を追い、米軍も動き出すー。
消えた英雄が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?そして、20年の歳月を経て明かされる衝撃の真実とは―。
『宝島』
出演:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、ピエール瀧、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮、デリック・ドーバー
監督:大友啓史
原作:真藤順丈『宝島』(講談社文庫)
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(C)真藤順丈/講談社 (C)2025「宝島」製作委員会
https://www.takarajima-movie.jp
2025年9月19日(金)より全国公開
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