映画『港のひかり』の東京プレミアイベントが開催され、舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、MEGUMI、椎名桔平、藤井道人監督が登壇した。

会場には観客の熱気で溢れる中、キャスト陣がレッドカーペットから登場。レッドカーペットを闊歩する舘らキャスト陣は大きな拍手に笑顔で応えながらステージに登壇し、一言ずつ挨拶するとイベントがスタートした。
まずは、先日輪島市で行われたジャパンプレミアの話題に。舘、眞栄田、尾上らメインキャストによる輪島・朝市通りへの訪問や、能登・福幸フェスでのファンサービス、そして7名のキャストと藤井監督が集結した舞台挨拶などについて語った。
舘は「朝市通りで記者会見を行いました。我々が撮影をしていた当時は、お店がたくさん並んでいて賑やかな通りでしたが、今は全く何もなくて」と訪問時の街の様子を振り返り、「劇中(朝市通りで)僕らがちょっとした買い物をするシーンがあるんですが、そのお店がどこにあったのかさえもわからないくらいに何もなくて…言葉を失いました」と複雑な胸の内を明かした。
本作で描かれるのは、任侠の過去を捨てて生きる主人公・三浦と、両親を事故で失った盲目の少年・幸太のかけがえのない友情のものがたり。“年の差を超えた深い友情”が一つのテーマにもなっているが、実際に三浦と幼少期時代の幸太を演じた舘と尾上も、その年の差は62歳。MCからは長い撮影期間を経て、“キャスト陣の間で実際に友情を芽生えたような瞬間は?”という質問が。
舘は「(僕らは)60歳差なんですよ?(笑)」と笑いつつ、「彼(尾上)は盲目の少年という役どころでしたが、本当に素晴らしい演技をしてくれまして。私も同じような役を演じた時に、あれだけできるかなという思いでした。ご一緒して勉強になりました」と称えた。

一方尾上もこの質問には「うーん、友情?」と戸惑いつつ、「船に乗るシーンで酔いそうになってしまったんですが、(舘さんが)声かけてくれて。酔わなかったです」と絞り出すと、舘も「そこは友情を感じました(笑)」と乗っかり、二人の微笑ましいやり取りに会場は温かい空気に包まれていた。

一方、幸太の青年期時代を演じた眞栄田も舘とは50歳差での共演となったが、眞栄田も「僕は舘さんにいろんなものをいただいてばかりで。僕も何かを与えられるような存在になれたら、お友達になりたいです」と謙遜しながら答えると、舘は「一緒にご飯を食べたり、遊びに行ったりできたらいいねと話していましたね」と語っていた。


また、2人で1役を演じ分けた眞栄田、尾上には、MCから「お互いの芝居を見て感じたこと」についての質問が及ぶ場面も。眞栄田は「舘さんもおっしゃっていましたが、家に一人でいるときと(舘演じる)おじさんといるときの、表情や雰囲気の違い。本当におじさんが光のような存在だったんだなという説得力があるお芝居だったので、すごくやりやすくて感謝しています」と感謝を述べると、その眞栄田の言葉に舘も「この映画は眞秀にかかっているくらい」と頷いていた。そんな大先輩の言葉に照れ笑いを浮かべる尾上も、眞栄田の演技について「すごい少年期から繋がっているなと思いました」と語り、尊敬の眼差しを向けていた。

今回、本作のイベントに初登壇となったのが、河村組の組長・石崎を演じた椎名、そして幸太の叔母・大森美和子を演じたMEGUMIの二人。椎名は役作りについて、「少しは人間味がないと舘さん演じる三浦と対峙する資格がないんじゃないかと思い、色々と模索しました」と回顧する。
劇中では三浦と石崎が対峙する緊迫感あふれるシーンも登場するが、「“これダメになるかな”と思いながらも、監督とお話した上で、憎しみや嫉妬だけじゃないんだという感情を携えて対峙すると決めて演じました」と秘話を披露していた。
さらに椎名は「僕は40年くらい前に、犯人役で『あぶない刑事』に出させていただいて」と舘との意外な縁を明かし、「その時は何も絡むようなシーンはなかったのですが、舘さんは当時から雲の上の大先輩で。そんな方と40年を経てご一緒させていただいて、いろんなことを思い返しながら演じました。嬉しかったです」と喜びを語った。

MEGUMIには、幼少期・青年期の幸太を演じた尾上、眞栄田に対する印象についての質問が。尾上に対しては「眞秀さんは、長いことこの仕事をやっているといつの間にかできなくなってしまう、“そこにいてその人である”みたいな自然なお芝居をピュアに演じられていて。(幸太の)叔母という役どころもあって、仲良くなりたくてつい食い気味で話しかけちゃったんですが、しっかり困ったお顔をされていました(笑)」と笑いを交えながら当時の様子を振り返った。
対して、眞栄田に対しては「すごい意気込みで参加されていたので、“ほとばしる熱”みたいなものが役にリンクしていましたし、その奥にある傷のようなものもしっかりご自身の中で構築されていて…。まっすぐさもブレンドされながら演じられていて、素晴らしい役者さんだなと感じました」と語り、役への向き合い方に感銘を受けていたという。

そんな本作には、他にも黒島結菜、斎藤工、ピエール瀧、一ノ瀬ワタル、市村正親、宇崎竜童、笹野高史らキャスト陣が名を連ねている。藤井監督に対しキャスティングについて質問が及ぶと、藤井監督は「毎回、“この映画が最後だ”という気持ちで挑んでいるのですが、自分が人一倍その人のお芝居を愛して、ベストアクトを引き出したいんですというプロポーズのような思いでどの作品でもオファーさせていただいています」と思いを吐露。「しつこくお誘いすることもあったかと思うのですが、皆さん素晴らしいお芝居を見せていただいて幸せな時間でした」と付け加え、本作への手応えをにじませていた。
さらにイベント終盤では本イベントの会場が“ヒカリエホール”、そして本作のタイトルが「港の“ひかり”」であることから、登壇者に向けて「“ひかり”のような存在は?」という質問に、登壇者がフリップで回答するトークコーナーも。
藤井監督のフリップには書かれていたのは、「尾上眞秀」という文字。「今回、“おじさんと少年の友情のものがたり”という企画と決まった時に、ちょうど眞秀くんの歌舞伎を見て涙が出たんです。きっとこの子がこの先の映画業界や映像業界、芸事の世界を背負っていくんだなと感じて、すごく感動したのを覚えています」と振り返り、「光と聞いて、“眞秀だな”と」とすぐに頭に浮かんだのが尾上だったという。
続くMEGUMIのフリップには「息子」という文字が。「10回メッセージを送って、8回は既読スルーされるんですが(笑)」と塩対応だと言いながらも、「(息子が)今16歳というのもあって、大人になる前の輝きを感じていますし、彼がいるから頑張れるなというのも感じています」と愛を交えながらコメント。
そして椎名は舘の名前が書かれたフリップを披露し、「舘先輩ですね!」と披露すると、会場からは大きな拍手が。「先ほども申し上げましたが、僕が若い頃からずっと長い間、輝き続けている方。僕ら世代の俳優にとっては頼もしくもあり、輝かしい先輩でもあり…その背中を追いかけたいなと」とリスペクトを向けていた。
続いて尾上のフリップには、「ひーま(おじいちゃん)」という可愛らしい文字が。MCから人選の理由を問われると、「(祖父である7代目尾上菊五郎は)ずっと光っているというか…面白くて尊敬しています。お客さんを喜ばせるというところが、尊敬できるなと思います」とニッコリ。
そして「舘さんの名前を書こうかと思ったんですが、絶対被るなと思って…」と前置きする眞栄田のフリップに書かれていたのは、「現場にいる皆さん」の文字。「撮影現場には、各部署にプロ中のプロが集まるんですよね。その方々のこだわりと技術が集結しているので、僕は現場が本当に大好きです。皆さん輝いているなと。その姿を見て僕も頑張らなきゃと思います」とその理由を説明していた。
最後に舘のフリップに書かれていたのは、眞栄田の名前。「今回彼とご一緒して、その前に『ゴールデンカムイ』という作品でご一緒させていただいて…。目力のある素晴らしい俳優さんだなと」と称える舘の言葉に、眞栄田は謙遜する様子で「舘さんは本当に素敵な方なんですよね。周りへの気遣い、ここまですごい方なのにユーモアもあって…みんなが接しやすいような空気を作って、立ち振る舞ってくださって、本当に心強かったです」と感謝を述べていた。
最後のフォトセッションでは、キャスト陣と監督が作品タイトルになぞらえ、“ひかり”をモチーフにしたボール型のLEDライトを手に取り、本作の世界観が凝縮されたような幻想的な演出も実施。
そして締めくくりは舘から、「私の大好きな藤井監督、日本映画界の巨匠・木村大作さん、そして素晴らしい俳優が参加してくれて、素晴らしい作品になっていると思います。最後まで楽しんでいただけると嬉しいです、ありがとうございました」とこれから作品を見る観客に向けたメッセージが送られ、再び大きな拍手が湧き起こる中、キャスト陣と監督一同は会場を後にした。
『港のひかり』
出演:舘ひろし 眞栄田郷敦 尾上眞秀 黒島結菜 斎藤工 ピエール瀧 一ノ瀬ワタル MEGUMI 赤堀雅秋 市村正親 宇崎竜童 笹野高史 椎名桔平
監督・脚本:藤井道人
企画:河村光庸
撮影:木村大作
美術:原田満生
音楽:岩代太郎
配給:東映 スターサンズ
(C)2025「港のひかり」製作委員会
https://minato-no-hikari.com/
11月14日(金)全国公開
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