映画『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』の公開記念舞台挨拶が11月8日に東京・新宿バルト9で行われ、吹替版キャストの花澤香菜、宮野真守、悠木碧、諏訪部順一が登壇した。

中国のアニメ監督・木頭(ムートウ)率いる寒木春華(HMCH)スタジオが手がける『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』は、2011年にWEBアニメとして誕生し、劇場版では中国で約49億円の興行収入を記録した人気シリーズである。日本でも2019年に公開され、その高いクオリティが話題となった。本作は、その続編となり日本語吹替版・字幕版が公開中。
登壇して早々、「みんな『羅小黒戦記』、好きですかー!?」とコール&レスポンスを行い、会場のボルテージを上げたのは、シャオヘイ役の花澤香菜。それに「テレビ慣れしすぎですよ!」とツッコミつつ、自身も小声で話し始めるというボケをした、師匠のムゲン役・宮野真守に、今度は花澤が「挨拶が俳優すぎます!」とツッコみを入れ、師弟コンビはすでに息ピッタリ。
さらにそんなふたりに、今作から登場するシャオヘイの姉弟子・ルーイエと真逆のハイトーンボイスで続いたのが、同役を演じる悠木碧。そして「芸歴の長い人たちは困るね?」と冗談を交えながら、チーネン役で3人の先輩でもある諏訪部順一が綺麗に場をまとめてくれるという、楽しい掛け合いから舞台挨拶が始まった。
まずは新作『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』が公開を迎えたことについて、心境を尋ねられた花澤と宮野。花澤は、第1作目が吹替版上映前から口コミを通じて話題になっていたことに触れ、「そこからずっとみなさんが『羅小黒戦記』を好きでいてくださっているんだなと、舞台挨拶をするたびに思います」と客席を見渡すと、宮野も「分かる分かる!」と大きく頷いた。
当初は少なかったというグッズも増え、それらを手にするファンと積極的にコミュニケーションを取るキャスト陣。「グッズが増えるということは、それだけ作品が盛り上がっているということ」と話す宮野は、「5年経って続編が作られるって、本当にありがたいし、嬉しいことですよね」と、喜びを噛み締めていた。また花澤は続編となる今作について、「さらにパワーアップしています!」と力強くコメントした。
一方『羅小黒戦記』シリーズに初参加となった、悠木と諏訪部。元々作品ファンだったという悠木は、「温度感が素敵」とした作品の魅力について、「画(え)から温かさが伝わってくるというか。最近のアニメは、ナレーションやステータス画面といった“情報”で、キャラクター造形を伝えてくることが多いと思うんです。そんななか『羅小黒戦記』は、作品を観ることで各キャラクターの人となりを知るじゃないですか。まさに人と出会って仲良くなっていく過程のように、情報ではなく、感情でそのキャラのことを理解していく。今作ではそれをより強く感じました」と、ファンならではの目線で語った。
この視点に「確かに『羅小黒戦記』は、あまり説明がないもんね」「能力についてとか、前作のときからそうだよね」と、シリーズに携わってきた花澤と宮野も納得。それに悠木は「そうなんですよ。第1作目も説明がなかったはずなのに、シャオヘイのことをなぜか親目線で見てしまうというか。『俺のシャオヘイ!』という気持ちで観ちゃう」と、語った。
今作でのシャオヘイについて、「2年間ちゃんと修行を積んだんだなということが、要所要所で分かるんですよ。それが嬉しいなって」と振り返る花澤。「今までであれば、ちょっとわがままに聞こえていたようなセリフにも、今回はしっかり自分の意思が入っているし、“自分はこう思う”と伝えられるんです」と続けると、宮野も「成長が見られますよね!意思が強くなっている」と、共感を示した。
改めて自身の役柄の魅力を聞かれた4人。まず花澤は「シャオヘイは、可愛い!」と満面の笑顔。「前作でも口いっぱい頬張って食べる姿が本当に可愛かったんですけど……今回も、安心してください。食べてますよ!」と、シャオヘイの魅力を熱弁。「観ているとお腹が空いてくるくらい、すごく美味しそうに食べるんですよ!」とし、「シズル感というかね」と同意する宮野と、「お茶漬けのCMとか、やったほうがいいですよね!」と、語り合っていた。
またシャオヘイとムゲンについて、「師匠と弟子というより、ちょっと親子感が」と語り出した花澤に、宮野も「そうそう!」と同じ印象を抱いているよう。宮野はふたりのやり取りから「2年という時間がそうさせたんだなと感じさせてくれる」としながら、「ムゲンは無口ですけど、シャオヘイのことが可愛くて仕方がないんだなと分かる(笑)」と言い、これには花澤だけでなく悠木も「そうそう!」と首を大きく縦に振っていた。
シャオヘイとしては、今回初めて出会う姉弟子・ルーイエとの関係も気になるところ。花澤曰く、ムゲンと接するときとはまた違うシャオヘイが見られるそうで、そこも可愛らしいのだとか。さらに宮野は、ルーイエと行動を共にするシャオヘイに、「親元を離れて『しっかりしなくちゃ!』となる、お兄ちゃんらしさが出るというか」と、今作ならではの変化を感じた様子。それに花澤と悠木も「そう!『僕がやるんだ!』っていう」「『はじめてのおつかい』みたいな」と、つい応援したくなる魅力について語った。
次にルーイエについて聞かれた悠木。「ルーイエはめちゃくちゃクール。仕事一筋というか、目的を遂げるためならば、手段を選ばないようなところがありまして」と人物像を挙げつつ、「ただ……第1作目を観ている方なら、この作品において、そういうキャラクターがどうなるか、なんとなく想像がつきますよね……?」と、“ある人物”を彷彿とさせ、会場をざわつかせる発言も。加えてムゲンの弟子である彼女を、シャオヘイにとって「若干の親戚感というか、お姉ちゃんのような感じ」と表し、ルーイエとシャオヘイが、お互いだから見せる顔が心に残っているよう。「決してクールなだけではないキャラクターです」と教えてくれた。
ここで宮野が切り出したのが、「感情が動くシーンでは、演出を受けていたよね?」という収録秘話。「そうなんです」と頷いた悠木は、「『悠木。2ミリだけ少女を残して』と言われて」と、独特なディレクションがあったことを明かした。「基本的に温度がゼロかマイナス」のルーイエだからこそ、その2ミリが大きかったのだとか。宮野はこの1シーンについて、「どのシーンか、観ればきっと分かると思う!」と語った。
諏訪部はチーネンについて、「彼は沸点が低め」「妖精たちがより良く暮らせる世界を作りたいと思っているので、どうしてもいろいろと対立してしまう」としながら、「そんな彼が物語のなかで、どういう立ち位置でどういう動きをしていくのか」という新キャラクターを、楽しく演じられたと語った。そんななか、「血気盛んな諏訪部さんを久しぶりに見て、感動したんですよ」とコメントした宮野。これに諏訪部が「さっきも“平成の諏訪部”と言われて(笑)」と返すと、宮野は、「カッコいいんですよ、そういう諏訪部さんも!」と、熱く語った。
そんな宮野演じるムゲンは、人間でありながら最強の執行人で、チーネンとは対立する立場になる。「今回は(ムゲンは)動かない場面が多いんですけど」と話し始めた宮野は、「そんな彼を見ることで、周りからのムゲンへのベクトルが見えたんです。良いも悪いも、いろんな人に想いを寄せられていて、ムゲンがこの世界でどういう存在なのか、非常によく分かった」と、今作を通して宮野自身、ムゲンのことをより深く理解できたことを明かし、「こういう描き方もあるんだなと、面白かったですね」と、作品の魅力を教えてくれた。
そんなムゲンについて、「今回はヒロインポジションっぽいですよね?」と表現した花澤。宮野も「囚われのヒロイン?確かにそうかもしれないですね」と返しつつ、宮野はムゲンとシャオヘイのふたりが「ちゃんと生活しているところで、ムゲン自身の成長も見られるんです」とほっこりしたのだそう。さらに「生活力、上がってますよね!?」と言う花澤に、「上がってる!それも全部シャオヘイのためなんです!」「生活力が上がるということは、それだけ気持ちを費やしているということ」とコメント。これに思わず花澤は、「嬉しいー!」と声を弾ませた。
ここでネタバレのない範囲で見どころを聞かれたキャスト陣。花澤は先ほど挙げたアクションシーンはもちろん、「その後の“ほっこり”に注目してほしいです。激カワシーンが登場するので……!」と期待を膨らませる発言。
また悠木からも「ルーイエは基本的に、心の中に他人を入れないタイプなので、シャオヘイに対してもそうなのですが。そんなふたりが同時に『ふっ……(笑)』となる、初めて意気投合するシーンがすごく好きでした。珍しくルーイエも大笑いしているので、果たして何がツボだったのか、ぜひご覧ください!」と、ある一幕をピックアップ。
石田彰演じるキャラクター含めて、キャスティング面について触れつつも諏訪部は、「可愛らしさもあり、アクションもあり、ほろりと来るところもあり、ご飯も美味しそう。バッチリじゃないですか!」とコメント。「ドラマとしても楽しめますし、アクションシーンはスピード感と迫力があって。僕も試写で観て、手に汗握るとはこのことかと感じるシーンが目白押しでした」「ぜひ全部楽しんでください」と伝えた。
そんななか、宮野が「諏訪部さんがおっしゃったように、やっぱり激しい戦闘シーンですよね」と語りながら、おもむろに後ろで手を組んでみせる。「本当に目で追うのも大変。第1作目から、それはそうじゃないですか?」と口では語りつつ、意味ありげなポーズですでに本編を視聴済の観客を沸かせた。
この後別会場にて、花澤&悠木ふたりでの舞台挨拶が控えていることを踏まえ、弟子コンビにメッセージを贈ることになった宮野。「やりすぎないでね。子役上がりふたり!」と“師匠”から助言をもらったふたりは、目を丸くしながら「期待されてる!?」「瓦割りとかやればいいですか!?」と、会場を笑わせた。やる気満々な愛弟子たちに、「フリじゃないぞ!?」「怖いよー!(笑)」と慄きつつ、宮野は「2ミリと言わず、何メートルも想いを出して、みなさんに愛情を伝えてください。いいですか?」と伝えていた。
花澤がそれにシャオヘイボイスで「分かりました、師匠」と答えると、「大丈夫。シャオヘイなら」と、温かさが滲んだムゲンの声色で返した宮野。さらに「ルーイエ。シャオヘイを頼んだぞ」と悠木に目線を向けると、悠木は「……はぁい」とルーイエらしくクールに返答した。
楽しい時間もあっという間に過ぎ、最後の挨拶へ。作品について「現実世界にも重ね合わせて考えられる問題提起のようなものがあったりして、ドラマとしても本当に楽しめる作品だなと思いました」と語っていた諏訪部は、「師匠と弟子の絡みをはじめ、見どころ満載の作品です。チーネンの“俺つえー感”も楽しんでいただけましたら幸いです」と、想いを伝えた。
続いて悠木は、「細部まで愛情いっぱいで作られているのが伝わる映像に、我々も愛情いっぱい演じさせていただきました。この作品を通してみなさんの心の中に、どんな未来が思い浮かぶのかなと、我々もワクワクしています。楽しんでいただけたら幸いでございます!」とコメント。
「5年経って続編が作られ、僕もそこに参加できていることを本当に嬉しく思っています」と、改めてしみじみした表情を浮かべたのは宮野。「この作品は前作から“共存”がテーマ」として、妖精と人間の共存がメインで描かれるなかで、「“共存”というのは、我々の日常生活においても、いろんな思いが交錯すると思います」と、『羅小黒戦記』の軸となる普遍的なテーマについて考えさせられる部分があるとし、「そのなかで誰が何を選び、どう進んでいくのか。この映画のなかで、ひとつの光を見出してくれています。その光を受け取って、みなさんはどう感じるだろう?と、僕も気になっているところです。ぜひたくさんのものを感じ、想いを抱いてください」と呼び掛けた。
最後に「5年ぶりとなる待望の新作映画は、絶対に劇場で観ていただいたほうが良い作品です!」と、胸を張った花澤。「壮大なアクションシーンはもちろん、シャオヘイの成長に、新キャラクターのルーイエの生き方にと、見どころがたくさんありますので、ぜひ何度でも楽しんでいただきたいです。テーマも白黒はっきりさせるのではなく、みんなが考え続けることが大事だと伝えてくれる素敵な作品ですので、いろんなことを感じながらご覧ください!」と、挨拶を締め括った。
実は宮野による後ろ手を組んだポーズで、フォトセッションも行っていた4人。降壇間際、花澤から「最後にみんなで、あのポーズをしますか!」と、提案が。それにキャスト3人より早く応える客席のノリの良さに、宮野と諏訪部が「本当に愛があるよね!」「みなさん、従順すぎますよ!?」と、圧倒される一幕も。
そんな『羅小黒戦記』愛に溢れる客席へ、「みんな、観る準備はいいか~!?」と投げ掛けた花澤。最後に会場全員でポーズを取って、この日の舞台挨拶は幕を閉じた。
『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』
監督:木頭、顧傑
副監督:周達煒、程暁榕、李根、鄭立剛
総作画監督:馮志爽
美術監督:呂屹峰、浩客
3D監督:周冠旭
撮影監督:梁爽
音楽:孫玉鏡
プロデューサー:叢芳氷、曹紫建
制作会社:北京寒木春華動画技術有限公司
協力:面白映画
配給:アニプレックス
<日本語吹替版>
音響監督:岩浪美和/音響制作:グロービジョン
CAST(日本語吹替)
シャオヘイ:花澤香菜
ムゲン:宮野真守
ルーイエ:悠木碧
ナタ:水瀬いのり
ユーディ:多田野曜平
リンヤオ:山路和弘
シームーズ:石田彰
チーネン:諏訪部順一
キュウ爺:チョー
パンジン:大塚芳忠
甲:榎木淳弥
乙:土屋神葉
日本版主題歌
Aimer「Little Bouquet」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc)
(C)2025 Beijing HMCH Anime Co.,Ltd
https://luoxiaohei-movie.com/
日本語吹替版&字幕版 絶賛上映中!
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