映画『楓』のジャパンプレミア・カーペットイベントが11月13日に都内にて実施され、W主演を務めた福士蒼汰と福原遥、共演の宮沢氷魚、石井杏奈、宮近海斗(Travis Japan)、そして行定勲監督が登場した。

多くのアーティストにカバーされ27年にわたり愛され続けるスピッツの名曲「楓」を原案に、新たなラブストーリーとして描かれる映画『楓』。

同劇場ロビーで実施されたのは“レッドカーペット”ならぬ“楓色”カーペットイベント。キャスト&監督は会場に敷き詰められた鮮やかな“楓色”のカーペットにラインナップし、会場に詰め掛けた観客ににこやかに手を振りながら歓声に応えた。
双子の兄弟を演じた福士は「今回双子というやりがいのある役を演じられて嬉しかったです!」と挨拶しながら「スピッツさんの『楓』は僕が5歳の頃にリリースされた曲ですが、だけど当たり前のように知っていたし、カラオケでもよく歌っていました。『楓』という楽曲にお芝居でその世界の住人になれることが感慨深かったですし、どんな作品になるのかワクワクしました」と声を弾ませた。

しかも福士にとっては9年ぶりのラブストーリー映画への出演となる。「僕が30代になり、人間の心の内側を表現できる作品だと思いました。人間誰しも生きていると喪失だとか壁だとかがあるけれど、本作の脚本を読んでいく中でそれが修復される物語だと思って、このようなラブストーリーをやってみたいと思いました」と述べた。
秘密を抱えている木下亜子を演じた福原は「スピッツさんは小さい頃から聴かせてもらっている大好きなアーティストです。しかも『楓』はリリースされたのが私の生まれた年だったので、勝手に運命を感じてしまいました」とオファーを快諾。撮影時は涙する場面も多く、胸が苦しくなることもあったそうだが「亜子がそこからどう前に踏み出していくのか、立ち上がっていく力強さを感じて、私自身も背中を押されました」と役柄の魅力を紹介した。

涼と亜子の秘密を唯一知る梶野茂役の宮沢。福士と福原とはすっかり仲良しで「(福士と福原は)チャーミングなお二人で、福士さんは撮影中に写真を撮っていて、しかもセンスがいい!」と福士カメラマンの腕前を絶賛。これに福士は「遥ちゃんの写真を整理したら800枚くらいあって、そこから300枚にして送りつけました!」と笑わせて、それを受け取った福原は「素敵な写真を撮られていて流石だなあと思いました」と喜んでいた。

涼に想いを寄せる遠藤日和役の石井は「思ったことを行動に移す真っ直ぐな日和の心意気が大好きで、共感したり応援したり、それが全体を通してずっとありました」とすっかりお気に入り。

辻雄介役の宮近は「一つの楽曲から物語になるって…。僕は音楽表現を使って仕事をしているので、短い時間で人の心を動かす音楽という媒体が、映像というイメージの世界から物語に具現されるのってどうなるのだろうかというワクワクがありました。作品からも学びを得ることが出来て嬉しかった」と手応え十分。
撮影中は福原と石井と過ごす時間も多かったそうだが「お二人が盛り上がって喋られているのを…見守っていました。時々『どうですか?』と気を使って僕に話を振ってくれたけれど、僕は入れず。お二人は楽しそうでした」とガールズトークの圧にタジタジの様子を見せて場内爆笑となった。

キャスト陣の和気あいあいの様子に行定監督は「映画の80%はキャスティングで決まる。これは上手くいったなと思った。このキャストが集まらなかったらこの映画にはならなかったと思う。特に本作は皆さんが演じてくれたことで一人一人のキャラが豊かになって、グッとくる場面が沢山ありました」と自信。
『世界の中心で、愛をさけぶ』から約20年、行定監督は「もう一度ラブストーリーに挑んでみるのは僕にとっても思い入れが強く、撮影させていただきました。人を想う気持ちが届くことを期待しています」と述べた。そんな行定監督とのコラボレーションに福士は「有意義な時間でした」としみじみし、福原も「撮影前に沢山お話をさせていただいたので、安心して撮影ができました」と感謝した。

作品の内容にちなんで「まだ言っていない秘密カミングアウト」企画を実施。
福士は「秘密?僕はこの映画のPRキャンペーンで秘密を聞かれ過ぎてなくなりそう!」と苦笑いも「秘密というか勘違いですが、氷魚くんの事をずっと年上だと思っていました。落ち着きがメチャクチャあるから。でも実は一個下だった」と驚いていた。
福原は「小学校の時にランドセルを背負わないまま登校したことがあります」とのエピソード披露。福士が「え?どういう事!?」と理解が追い付かないと、「30分くらい学校までみんなで登校して、教室で準備しようと思ったら『あれ?ランドセル背負ってない!』と気付いてダッシュで家に帰りました」と詳細説明。福原は「ウフフフ。そんな事もあったなあと。初出しでございます」と無邪気な様子を見せていた。

宮沢は「銭湯で誰もいないと歌っちゃう。反響がライブ会場みたいで。人が来たら何事もなかったかのような顔をする」と密かな楽しみを暴露。英語勉強中の石井は撮影中に福士からおススメの英語本を紹介されて購入したというも、「でも届いてから半年…まだ読んでいません!今福士さんの顔を見て『ヤバい!』と思いました」と反省。宮近は中学時代に友人からシャーペンの芯を1本貰った時のエピソードを披露した。
その後実施された舞台挨拶では、ニュージーランドロケの思い出話も飛び出した。
福士は「景色が壮大で、テカポ湖は波がなくて静かだけれど近くで見ると迫力があって、静けさと壮大さが両立していた。そして周りの風景は見渡す限り綺麗な山たちがあって、それも素敵でした」と思い出し、福原も「本当に景色が綺麗で、見ていて癒されました。緑が生い茂り動物も多くて羊がとにかく可愛くて。天気によって空の表情も違っていて、夕方になるとピンクで早朝はエメラルドグリーン。本当に綺麗で食べ物も美味しくて楽しみました」とすっかりお気に入りだった。
宮沢は楽曲「楓」について「本編では4回流れるけれど、歌い手とシチュエーションが違うと、何100回も聴いているはずなのに、初めて感じるものがありました」と述べると、石井も「本作を通して楽曲の深みが増しました。映画を観る前と観た後とでは感じ方が違うはず」と予告。

これに福士も「本作を通して『楓』を聴くと感想や感覚が変わります。皆さんが本作を通してどう聴いたのか、感想が気になります」と興味津々。宮近は「この映画は主演のお二人が紡ぐラブストーリーと聞いていたけれど、『楓』を含めて3人になった!二人の物語を追っていたはずなのに、『楓』という音楽に感情を乗っ取られて…不思議だった。映画を観れば、僕のこの言葉の意味がわかります!」と呼び掛けていた。
石井は、「宮近さんと私は撮影日数が少ないのに、打ち上げの際に撮影の思い出を話す流れになったら、2日間の撮影だった宮近さんは『人生で一番楽しい作品でした!』とみんなの前で仰っていました!」と大爆笑。
当の宮近は「今のお話しを聞いて少しばかり言葉に責任を持たなければ…と今思いました」と赤面も「でも本当にそう感じられた。一番グッと来た作品です。…同率一位はありますが」と答えて笑いを誘った。
最後に主演の福原は「本作には切なさが沢山ありますが、別れや喪失からどう立ち上がってどう前に進んでいくのか。本作が皆さんの背中を押せるような作品になっていたら嬉しいです。秘密が沢山隠されているので二度三度楽しんで欲しいです」と期待。
福士は「本作は人間の心の底をつついた作品です。素敵な恋愛物語である一方、人間の姿を美化せずリアルに映し出しています。少しずつ心と心、点と点が繋がって物語が終結した時に『楓』という曲が僕にはレクイエムのように感じました。僕が好きなシーンは外来語禁止ゲームをする場面です。そこになぜ注目するのか?その意味も含めて考えて楽しんでいただければ幸いです」と呼び掛け、会場からは大きな拍手が送られた。
また、11月13日より、語りたくなる【#楓泣き】感想&期待投稿キャンペーンも開催。詳細は下記URLよりご覧いただける。
https://cp.cinecon.jp/kaede-review/


ストーリー
須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)は、共通の趣味の天文の本や望遠鏡に囲まれながら、幸せに暮らしていた。しかし朝、亜子を見送ると、恵は眼鏡を外し、髪を崩す。実は、彼は双子の弟のフリをした、兄・須永涼だった。1ヶ月前、ニュージーランドで事故に遭い、恵はこの世を去る。ショックで混乱した亜子は、目の前に現れた涼を恵だと思い込んでしまうが、涼は本当のことを言えずにいた。幼馴染の梶野(宮沢氷魚)だけが真実を知り涼を見守っていたが、涼を慕う後輩の日和(石井杏奈)、亜子の行きつけの店の店長・雄介(宮近海斗)が、違和感を抱き始める。二重の生活に戸惑いながらも、明るく真っ直ぐな亜子に惹かれていく涼。いつしか彼にとって、亜子は一番大事な人になっていた。一方、亜子にもまた、打ち明けられない秘密があったー。
『楓』
出演:福士蒼汰 福原遥 宮沢氷魚 石井杏奈 宮近海斗 大塚寧々 加藤雅也
監督:行定勲
脚本:髙橋泉
原案・主題歌:スピッツ「楓」(Polydor Records)
音楽:Yaffle
プロデューサー:井手陽子 八尾香澄
製作:映画『楓』製作委員会
制作プロダクション:アスミック・エース C&Iエンタテインメント
2025/日本/カラー/120分/シネスコ/Dolby5.1c
配給:東映/アスミック・エース
(C)2025 映画『楓』製作委員会
https://kaede-movie.asmik-ace.co.jp
12月19日(金)全国公開