映画『港のひかり』の公開御礼舞台挨拶が行われ、舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、撮影を務めた木村大作キャメラマンが登壇した。

本作は、藤井道人監督と木村が初タッグを組んで撮影した、北陸の港町が舞台の完全オリジナル作品。過去を捨てた元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太の、十数年にも及ぶ年の差を超えた友情と再会のものがたりが描かれる。
元ヤクザの“おじさん”を演じるのは7年ぶりの単独主演作となる舘。歌舞伎界の新星として注目を集める尾上が少年時代の幸太を、成長した青年時代の幸太を眞栄田が演じる。
舞台挨拶では、まず舘が「本日はお運びいただきありがとうございます。この作品は、日本映画の将来を担う藤井道人監督の演出を、眞栄田郷敦くんをはじめとする素晴らしい俳優さんたちが表現し、そして日本映画界を代表する木村大作キャメラマンが35ミリのフィルムに焼き付けてくださいました。本当に素晴らしい作品になったと思います」と挨拶。

続けて眞栄田が「公開から数日が経って多くの方にこの映画が愛されている声をたくさんいただいて、本当に嬉しく思っております。もっともっと多くの方に届くようにお話しできたらと思います」とコメントした。

そして尾上が「この映画を早く皆さんに観ていただきたいなと思っていたので、すごく嬉しいです。今日は楽しんで行ってください」と、さらに木村が「今日観ている方はお金を払って観てくださっている方です。ただ、責任があります。この映画をもっともっと多くの方に観ていただきたいんですが、まだまだ届いていません。『国宝』までとは言いませんが(笑)皆さんが今日から宣伝を、この映画の営業部長としてお頼み申します!」とそれぞれ語った。


無事に公開を迎え、周囲からの反応や感想についての質問が投げかけられると、舘は「皆さん口を揃えておっしゃるのは、“泣けた”と。そういう意味では良かったなと思います。何年振りかで突然連絡があって“観ましたよ”という声もあったりして、嬉しかったです」とニッコリ。
そんな舘の言葉に眞栄田も頷きながら、「本当に良い映画だった、いいお話だったというお言葉をたくさんいただきましたね」と回顧し、「普段あまり連絡を取らないような方からも連絡いただいたり…上の世代の方からも日本映画って良いねっていう声もいただきました」と周囲の反響を明かしていた。
尾上は「友達や担任の先生に観てもらって。良かったよと言ってもらって嬉しかったです」と照れ笑いを浮かべた。そして木村は「舘さんよりも年上のある俳優さんから電話をいただいて…」と話し出し、「(その方が)舘ひろしさんを絶賛していました。この映画を観て、“舘さんってすごいわね”とおっしゃっていました」とエピソードを披露。「絶賛していましたね。僕は舘ひろしさんを今まで以上に哀愁を漂う男として撮影できたという自負があります」と語った。

今回本作のプロモーションのために、舘をはじめとするキャスト陣は多数のイベントやTV出演などをこなしてきたが、トークでは特に印象に残っていることについての話題に。舘は「私の希望で輪島での試写やらせていただいて。撮影を行なった朝市通りが(震災で)跡形もなくなっていたりとショックを受けることもありましたが、印象に残っています」と振り返った。
続く眞栄田は「僕も輪島で行ったイベントですかね。地元の皆さんに喜んでいただいて逆に元気をもらった気がします。あとは何より舘さんと昼の生放送に出れたことが嬉しかったです」と笑顔を見せ、尾上も「僕もやっぱり輪島のイベントがすごく思い出です。学生の方々の熱気もすごくて、熱くて…」と続き、忘れられない思い出を語っていた。
そして本作のイベントには今回が初登壇となった木村。意外にも木村とタッグを組むのは今回が初だったという舘は、「雨のシーンや、雪のシーンは圧巻です。これこそ、“木村ワールド”かなと。僕らはそういう状況を作ってくれると、もうお芝居をしなくていいくらい。その場にいるだけで成立するような感覚もあって、やりやすかったですね。大作さんありがとうございました」と感謝を語っていた。
一方、眞栄田も木村について「本当に嘘のない方で。いつもエネルギッシュで(その力に)現場が伝染されて活気に溢れていた気がします」と当時の様子を明かし、尾上も「すごく元気で、エネルギーがすごい」と頷いていた。
さらにイベントでは一般客から寄せられた質問に回答するコーナーも。「(舘演じる)おじさんと(眞栄田・尾上演じる)幸太は、お揃いの鈴をお大切にしていましたが、皆さんがずっと大切にしているもの、思い出深いものはありますか?」という質問が読み上げられると、眞栄田は「僕は思い出を形に残すタイプではないのですが…」と前置きしながらも、「3年前に父が亡くなったのですが、ある約束をして。それはいつも大切にしていますし、今回この作品で舘さんや大作さんをはじめとする皆さんとご一緒していることを喜んでいるんじゃないかなと思います」としみじみ語ると、温かいエピソードに会場から拍手が湧き起こった。
一方の木村は、「この映画界が、自分の居場所です。最後まで映画の現場に立ちたいと思っています。もう86歳になり、人生の終末を歩いていますが、いなくなる寸前まで現場にいたいと思っています!」と力強く映画作りにかける思いを語っていた。
続く尾上はペットを挙げながら、「一目惚れで、出会った瞬間に飼いたい!と思って…。家族になって今は5歳なんですが、おとなしくもあり、凶暴でもあり…(笑)」と溺愛している様子を語った。
そして舘は、恩師・渡哲也の存在を挙げ、「十数年前の話ですが、渡さんから時計を頂きまして…。それはすごく自分の中では大事なものです。なので、普段はあまり身につけていないようにしていますが、きっと渡さんが僕に残してくれたもの、(教えてもらった)生き様や俳優としてのあり方は、今でも心にあります。僕があるのは渡さんのおかげかなと思っています」と語りかけていた。
イベントの締めくくりにはフォトセッションが行われ、最後に代表として舘から「本日はお越しいただきありがとうございます。この作品は私の俳優人生50年の中でも集大成になったような作品だと自負しております。ご家族の方、ご近所の方に映画を勧めてくださったら嬉しく思います」と挨拶し、イベントは幕を閉じた。
『港のひかり』
出演:舘ひろし 眞栄田郷敦 尾上眞秀 黒島結菜 斎藤工 ピエール瀧 一ノ瀬ワタル MEGUMI 赤堀雅秋 市村正親 宇崎竜童 笹野高史 椎名桔平
監督・脚本:藤井道人
企画:河村光庸
撮影:木村大作
美術:原田満生
音楽:岩代太郎
配給:東映 スターサンズ
(C)2025「港のひかり」製作委員会
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