映画『4アウト ─もう一度、プレイボール─』の完成披露試写会が10月13日に東京・有楽町朝日ホールで実施され、相葉雅紀、黒島結菜、松本利夫、佐々木蔵之介、福松凜、日向亘、DAIKI、寺田ユースケ、そして稲垣壮洋監督が登壇した。

作家・平山讓によるノンフィクション小説「4アウト -ある障害者野球チームの挑戦」(中央公論新社刊)を原作に、東京で初めて結成された身体障害者野球チーム「東京ブルーサンダース」創設の実話を映画化。主人公は、社会人野球で戦力外通告を受け、夢を失った男・矢上雄一。再就職先の障害者スポーツセンターで「野球がしたい」と願う仲間たちと出会い、身体障害者野球チームの監督として新たな挑戦を始める。
場内が歓声と拍手に包まれる中、相葉は「この映画は、本当にひとりひとり、出ている人たちの熱い思いが詰まっている作品です。監督が構想から8年をかけて、ここまで形にしたすごい大作です。見てくださるみなさんの心が少しでも動いてくれたら…という思いで、撮影させていただきました。ぜひ、本日は楽しんでいってください」と作品に込めた思いを語った。

本作への参加をきっかけに、初めて身体障害者野球に触れたという相葉だが、そこで目の当たりにした選手たちのプレーについて「(身体障害者野球の)トップの人たちが集まっているチームと、(劇中の)うちのチームが対戦や練習をさせてもらっていたんですけど、とにかくピッチャーの球が速いです!僕なんかが打てるような球じゃないボールをバンバン投げます。盗塁がないので、バッターとピッチャーの真剣勝負で、そこにもヒリヒリするし、野手の人も、隻腕の選手はボールを捕球してから、グローブとボールを一回投げて、ボールだけ捕ってファーストに送球したり、プレーのひとつひとつに圧倒されました!すごい世界です。『そこまでなるには、どれだけの努力をしてきたんだろう?』と想像させるような野球です」と彼らが築き上げてきた身体障害者野球のレベルの高さ、そして選手たちの努力を称えた。

撮影にあたっては、日本代表監督の井口資仁氏や元五輪代表の飯塚智広氏から指導を受けたが、相葉は「僕も小学校で野球をやっていたけど、選手だったのでノックをしたことなかったんです。ノックのバットは細くて長くて、なかなか(球が)当たらなくて大変でした…(苦笑)」と苦労を口にしつつ「飯塚さんや井口さんに教えていただいたこともあって、本番で外野フライを3回連続で打たないといけないシーンがあったんですけど、そこで一発で3発上げました。僕、すごいんですよ(笑)。我ながら『本番に強いな』と思いました」とニヤリ。会場は拍手がわき起こった。
黒島は、以前から野球好きで知られているが、今回はマネージャー役ということで、撮影現場について「みなさんが一生懸命、野球に取り組んでいて、かつ楽しそうにプレーするんです。私はベンチで応援したり、相葉さんにノックのボールをパスする役だったんですけど、私も野球がやりたくて、うずうずしました(笑)。みんな、カッコよく美しかったのが印象的でした」とふり返った。ちなみに、ノックの球渡しは相葉と呼吸を合わせるべく現場で練習したという。

松本は、聴覚障害を抱える泉役を演じるにあたり「聴覚障害がある方の映像を拝見したら、軽度な方から重度な方まで様々で」としっかり役作りを行った上で現場に臨んだことを告白。さらに、「ただ、映画になった時に(観客が)セリフを聞き取れないと、ストレスに感じてしまうので、セリフはセリフとして聞こえるように……、ただし障害を持つ役柄として演じないといけないので、監督といろいろお話をさせていただきました」と撮影当時を回想。

特に難しかった部分として、「群像劇のシーンが多いんですけど、(聴覚障害を持つ役なのに、周囲の人の声に)どうしても反応しちゃうんですよ。本能的に人がしゃべっているところに目を向けちゃうんですね。そこに目がいかないようにしつつ、聴覚障害の方は、人の口を見て話すので、そこを意識して進めていきました」と振り返った。
佐々木は、身体障害者野球の礎を築いた岩崎広司氏をモデルにした男性を演じたが「世界の盗塁王・福本(豊)さんの『キャッチボールやろうや』という一言から、日本身体障害者野球連盟が発足したとお聞きしました。岩崎さんご自身が、制限や限界を考えて、夢を見ることを忘れていて、『あぁ、キャッチボールやればいいんだ』、『できる範囲でやればいいんだ』と考えて、自分の夢を実現したいと思い、夢をあきらめていた人に『一緒にやろうよ』と。その岩崎さんの情熱と実行力を僕は表現できたらと思っていました。夢を見るのは、ひとりではなく、全員野球であり、みんなで見るものなので、それはこの映画にも通じると思います。みんなで(力を合わせて)この映画ができたなと思います」と熱い思いを語った。

そんな、佐々木との共演について、相葉は「蔵之介さんとは、何度もお食事をしたり、いろんな相談もさせていただいている仲でして、役の関係と、実際の僕らの関係が全く一緒だったので、すごく安心感がありました」と明かした。芝居についても佐々木に相談を?という質問には、相葉は「お芝居についても聞きます。蔵さん、酔っ払っていると話してくれるんで(笑)。シラフではあんまりですけど、酔っ払ってきたら話してくれるので」と佐々木の意外な一面を明かし、会場の笑いを誘っていた。
オーディションで本作への出演が決まった福松は、野球の練習をふり返り「初めてみなさんにお会いした時に、練習場に行ったら、みなさん、底抜けに明るくて、そこで一瞬にして『あぁ、このチーム感、ついて行けば大丈夫かな』と思ったのをすごく覚えています」と語る。

相葉は、そんな福松との共演シーンに触れ「すごく印象的だったのが、自分の生い立ちを話し出す大事なシーンがあって、そのシーンの撮影の前日に『相葉さん、ちょっと僕のことを抱きしめてください』とおっしゃって。俺も最初は戸惑ったけど『あ、役のことか!』と思ってギューッとして『明日、頑張ろうな』って。でも唐突に言うから戸惑ったよ!」と笑って明かす。
そんな相葉のコメントに対し福松は「僕が、感情的にならなきゃいけない大事なシーンがあって、そこが相葉さんと『初めまして』のシーンで、いきなりトップスピードのところで、どうしようと思って、前日にお願いしたら、優しく抱きしめてくださいました(笑)。温もりを感じさせていただきました」と感謝を口にし、相葉も力強くうなずいた。
日向もオーディションを経ての出演となったが「僕が演じさせていただいた雅が、左足のつま先の部分が欠損しているという障害のある選手でした。なかなかその症例が珍しいということで、参考になるものがすごく少なくて。稲垣監督とたくさん話し合いながら演じさせていただきました。右投げのピッチャーで、(投げる時に左足に)体重を乗せるので、そこが欠損してしまうというのは、プロを目指していた高校球児にとっては、致命傷に近い障害だと思うんです。そこに対する葛藤や絶望感みたいなのも、監督と細かく話し合いながらつくっていきました」と述懐した。

そんな日向や福松が、相葉のノックの練習を兼ねた守備練習についても思わぬエピソードを告白する場面も。日向が「どっちも負けたくなくて、みんなが動くから(相葉さんも)振り続けるし、みんなは『相葉さん、いつやめてくれるかな…』と思ってるんですけど…(笑)」と我慢比べのようになっていたと明かすと、相葉も「俺だって疲れてたんだから!でもメチャメチャ煽ってくるじゃん?僕が空振りすると『おいおい!』って、みなさん、ノッカーに対してスパルタでした」と苦笑を浮かべつつ「それくらい、野球を通して(チームワークを深める)キャッチボールができていて、撮影に入るころにはチーム感があったのかもしれません」と語っていた。
ちなみに、そんな中でも相葉が「優しかった」と明かしたのが、野球経験なしで本作に臨んだ松本だ。野球未経験でサードという重要なポジションを務めたが、参考にした選手として「長嶋(茂雄)監督」を挙げた松本。横から投げる独特の仕草を舞台上でも実演し、会場をわかせた。
DAIKIは野球経験10年ということで、撮影では「上手すぎて怒られるというのは初めてでした」と苦笑い。「もともと、僕は低身長症という障害があって、お芝居をやらせていただいているんですけれども、(以前に)今回のモデルになったブルーサンダースさんに入ろうと思ったこともあったんです。でも、それが、お芝居の道を選んで、こういうふうに野球ができているのは、何かの運命だなと思いました」と感慨深げに語った。

寺田は開口一番「僕は正直、野球が大嫌いでした」と衝撃の告白。「なぜかというと、小学校4年生の時に健常者の野球チームに入って20歳まで野球をやり続けたんですが、走れないからレギュラーになれなかったんです。20歳の時に野球をやめて、ずっと悔しくて…。でもそれから16年経って、まさか(劇中で)野球チームに入れて、相葉さんに車椅子を押してもらえるなんて!」と喜びをあらわに。さらに、「この映画をみんなに見てもらって、大旋風を巻き起こし、車椅子の子どもたちが『僕も役者の道に進みます』となるきっかけが『4アウト』です!となるように、個人的にアピールしていきたいと思っています!」と熱い野望を口にし、会場は温かい拍手に包まれた。

8年をかけて、本作を完成に導いた稲垣監督は「いま思えば、8年というのは本当にあっという間の出来事でした。ハッピーなことも、ラッキーなことも、困難もいろいろあって、今日ここにみなさんに映画をご覧いただけるところまでたどり着けたことを本当に嬉しく思います。撮影現場はもうみなさん、本当に元気で明るくて、チームワーク抜群のキャスト陣でしたし、この作品のために、みなさんが役に情熱を傾けてくださったことが、本当に幸せでした」と感謝の思いを口にした。

最後には、相葉が率いる身体障害者野球チーム<ブルーフェニックス>のメンバーとして、撮影をともに駆け抜け、作品を力強く支えてくれたメンバーが全員集結。劇中でも着用している鮮やかなブルーのユニフォームを身にまとい、会場を大いに沸かせながら、まるで劇中のワンシーンのような一体感あふれる撮影を行った。
登壇陣を代表し、相葉は「このメンバーで全力で作った映画ですので、先ほどの話を思い出しながら見ていただけると嬉しいなと思います」と場内に語りかける一幕も。温かな拍手に包まれ、苦楽をともにした仲間たちの笑顔が弾ける中、舞台挨拶は大盛況のうちに幕を閉じた。
『4アウト ─もう一度、プレイボール─』は11月6日より、全国公開。
『4アウト ─もう一度、プレイボール─』
出演:相葉雅紀、黒島結菜、松本利夫、福松凜、日向亘、花瀬琴音、古村比呂、前田亜季、DAIKI、寺田ユースケ、丸山聡、水越大暉、山口周太、吉田葵、塩島心海、小川颯介、川西努、斉藤由貴、佐々木蔵之介
監督・脚本:稲垣壮洋
原作・脚本:平山讓「4アウト -ある障害者野球チームの挑戦」(中央公論新社刊)
音楽:小林洋平
主題歌:GRe4N BOYZ「Green boys」(ユニバーサル ミュージック)
配給:S・D・P
©2026映画「4アウト」製作委員会
4out-movie.com
11月6日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー