【レポート】『怪物』第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で公式上映!9分半に及ぶスタンディングオベーション

怪物

第76回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門で映画『怪物』(インターナショナルタイトル:MONSTER/6月2日(金)公開)が公式上映された。

『怪物』第76回カンヌ国際映画祭 公式上映&日本用囲み取材

日程:5月17日(水)夜 ※現地時間
登壇者(敬称略):是枝裕和監督、坂元裕二(脚本)、安藤サクラ、永山瑛太
場所:GRAND THEATRE LUMIERE(公式上映)/FIVE SEAS HOTEL CANNES GROUND FLOORロビー(日本用囲み取材)

是枝裕和監督をはじめ、脚本家の坂元裕二、主演の安藤サクラ永山瑛太黒川想矢柊木陽太がレッドカーペットを歩き、大きな拍手で迎えられた後、着席し上映がスタート。エンドロールが始まると、2200人もの観客を収容する会場からは拍手が起こり、坂本龍一さんへの追悼文が流れた際には、さらに割れんばかりの拍手や歓声もあがり、その後も9分半にもわたるスタンディングオベーションが続いた。

その間、是枝監督は少しホッとしたような表情を見せながら、大きく会場内を見渡し、おじぎをしながら称賛に応え、両脇の安藤と永山ともハグしつつ言葉を交わし、喜びを分かち合った。また脚本の坂元ともしっかり肩を組み、『怪物』が多くの観客に届いた手応えを確かめ合っていた。

スタンディングオベーションの後、マイクを渡された是枝監督は「こんなに多くのスタッフとキャストに支えられて作ることができました。まずはそのスタッフとキャストに感謝します。そのスタッフとキャストの多くが今日ここに集まってくれたことがすごくうれしいです。でも色々な事情でみんながここに集まるわけにもいかなくて、でもここに来られないスタッフとキャストの思いもここ(胸に手をあてて)に抱いて今ここに立っているつもりです。戻って皆さんのこの拍手と、皆さんの顔を、ここに来られなかったチームのみんなに報告したいと思います。とても良いワールドプレミアになったとおもいます。有難うございました。」と語った。

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また上映後、日本の媒体向け取材に応じた脚本の坂元は「カンヌのスタンディングオベーションしか見たことないものですから、どれくらいのレベルかわからず監督を見たら微笑んでいたのでいい反応だとおもいました。胸が震えるような思いがしました。」と語り、永山は「まずは本当に感謝したい。是枝さん坂本さんさくらさん皆さん含め怪物に携われたことが今まで俳優やって来れて良かったなと思いました。」と感慨深げ。

続いて安藤は「地響きのような拍手で圧倒されました。監督の姿を目に焼き付けようとずっと監督をみていました。なにより主役の(黒川)想矢と(柊木)陽太と一緒に感じられたら良かったのになと思いながらいました。夜遅い時間での上映だったので、2人が一緒にいられなかったのが、もやもやっとしました。しっかり2人に伝えたいなと思います。」と、是枝監督は「トップバッターだったんで責任重大だなと思いながら現場にいましたが、上映後の見てくれた方達の顔がとても輝いていたので、良かったなって思いました」とコメントした。

さらに、音楽を担当した坂本さんとのやりとりを問われた是枝監督は、「映画の中で3回繰り返される夜の湖のシーンについて、ロケハンで諏訪に行った時に、ここに坂本龍一さんのピアノが入ると確信しました。ご体調のことはありましたが、一回自分の好きな坂本さんの曲を仮当てし、それをお手紙と共に送って見てもらいました。お返事が来て、映画全体を引き受ける体力はないのだけど、1−2曲閃いたから書いてみます、気に入ったら使ってくださいと返事のお手紙をもらいました。観た直後に音楽室のシーンがすごく好きだと言ってもらい、あのホルンとトロンボーンの音を邪魔しない音楽を作ろうと思ったという意見をもらいました。映画の中から聞こえてくるような曲になったんじゃないかなと、おこがましいけれど思いました。今日も最後に大好きなAquaが流れて良かったなと思いました。」と明かした。

イントロダクション
今回審査員長を務めるのは、昨年のカンヌで2度目となる最高賞パルム・ドールを受賞した『ザ・スクエア 思いやりの聖域』『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンド監督。さらに、審査員には俳優のブリー・ラーソンやポール・ダノらが名を連ねている。そしてフランス時間の5月27日の授賞式で、コンペティション部門に選出された計21作品の中から最高賞となるパルム・ドールをはじめ各賞が発表される予定だ。

是枝監督作品がカンヌ国際映画祭で【コンペティション部門】に選出されるのは、昨年の韓国映画『ベイビー・ブローカー』以来2年連続、7回目(カンヌ国際映画祭への出品自体は9回目)。なお昨年の『ベイビー・ブローカー』では、エキュメニカル審査員賞、そして主演のソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞した。これまでも、2004年『誰も知らない』では主演を務めた柳楽優弥が《最優秀男優賞》を受賞、2013年『そして父になる』では《審査員賞》を受賞、2018年『万引き家族』では最高賞である《パルム・ドール》を受賞している。

ストーリー
大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。それは、よくある子供同士のケンカに見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した――。

作品タイトル:『怪物』
出演:安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 高畑充希 角田晃広 中村獅童 / 田中裕子
監督・編集:是枝裕和『万引き家族』
脚本:坂元裕二『花束みたいな恋をした』
音楽:坂本龍一『レヴェナント:蘇えりし者』
企画・プロデュース:川村元気 山田兼司
製作:東宝、ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.、分福
配給:東宝 ギャガ

公式サイト:gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
公式Twitter:@KaibutsuMovie
公式Instagram:@kaibutsumovie
コピーライト:(C)2023「怪物」製作委員会

6月2日(金) 全国ロードショー

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