【レポート】『スペンサー』第78回ベネチア国際映画祭ワールドプレミアに主演クリステン・スチュワート登壇!

スぺンサー
(C)Kazuko Wakayama

映画『スぺンサー(原題)』(2022年公開)が、第78回ベネチア国際映画祭(9月1日(水)〜11日(土))コンペティション部門でワールドプレミアとなり、本作の公式上映、記者会見が現地時間9月3日(金)に行われた。

本作は、ダイアナが1991年のクリスマス休暇に、イギリス王室のメンバーとともにノーフォークにあるサンドリンガム・ハウスで過ごす3日間を描く物語。チャールズ皇太子との関係は冷え切り、王室の中でも浮いた存在となっていたダイアナが、離婚を決意するまでの心の動きを綴っている。

監督は、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』で第73回ベネチア映画祭脚本賞を受賞、主演のナタリー・ポートマンをアカデミー賞主演女優賞に導いたチリの鬼才パブロ・ラライン監督。同映画祭では常連なだけに、本作でも受賞に期待がかかる中、各メディアでのレビューも高く「ザ・ガーディアン」「ザ・テレグラフ」はともに5つ星、「フィナンシャル・タイムズ」は4つ星となっている。

特に主演クリステン・スチュワートの演技が「スリリングで勇敢で魅惑的な作品でクリスティンは見事にダイアナである」、「クリステンは今年、最も煌びやかな変身を成し遂げた」「クリステンの演技は完璧」と評されている。

公式上映

メイン会場のサラ・グランデ前のレッドカーペットには、主演のクリステン・スチュワートがリボンベルトがポイントのペパーミント・グリーンのスリップ・ドレス(シャネル)に同素材の細身のパンツを合わせた可憐なコーディネートのドレスアップで登場。タキシード姿のパブロ・ラライン監督と共に詰めかけたカメラマンたちの前でフォトコールに応じた。

今年はコロナの感染対策を考慮し、一般観客の密を避けるためにレッドカーペット前には高い壁が設置され、クローズドで行われたレッドカーペットセレモニーだったが、場外にあるモニターにレッドカーペット場のクリステンやラライン監督の姿が映し出されると大きな歓声が上がるなど、人気の高さが感じさせた。

スぺンサー
(C)Kazuko Wakayama
スぺンサー
(C)Kazuko Wakayama

映画祭ディレクターのアルベルト・バルベラ氏のエスコートで、1席空けながら満席のサラ・グランデ(1200席)に入ったふたりは大きな拍手とともに迎えられた。また、会場には、今年のコンペ部門の審査員長である韓国のポン・ジュノ監督、同じく審査員で去年、『ノマドランド』で金獅子賞を受賞した監督のクロエ・ジャオも姿を見せた。

そして、上映中はコミカルなシーンで時折笑いが起こり、またサスペンスフルなシーンでは息を飲むような緊張感が走るなど、観客が集中している様子を感じさせた。エンドクレジットが流れ、場内が明るくなるや否や「ブラボー!」という声と共に拍手が起こり、スタンディングオベーションは約5分間続いた。クリステンとラライン監督も歓声に応え立ち上がり、普段はクールであまり表情を崩さない印象のクリステンが、恥ずかしそうにしながらも満面の笑顔で観客に応える姿が印象的だった。

スぺンサー
(C)Kazuko Wakayama

記者会見

クリステンは、アイコニックな女優ジーン・セバーグを演じた『セバーグ』がプレミア上映された第76回以来、2年ぶりのベネチア映画祭参加となった。

スぺンサー
(C)Kazuko Wakayama

会見冒頭、司会者から「なぜ、ダイアナというテーマを選んだのか」という質問に対し、ラライン監督は「私の母に気に入ってもらえる映画を作りたいと思っていました。ダイアナは著名で美しさにあふれたアイコンでしたが、同時に彼女は母親でもあり、私の母のような普通の人々に深く共感させる力をもった人でした。非常に恵まれた環境に生まれ、貴族出身の人が、なぜあれほどまでにごく普通の人物でいられたのかに、私は長年興味があったんです」とコメント。

クリステンも、監督の言葉を引き継ぎ、ダイアナの人々の心に訴えかける力について「彼女の生まれ持った力。この世界には、突き抜けたエネルギーを持っている人がいますから。ただ、彼女がどんなにカジュアルで魅力的であったにも関わらず、孤独で寂しい思いをしていたことが、本当に悲しい。人に喜びを与える代わりに、心の中では嫌な思いをしている。人とのつながりを心から欲し、エネルギーを惜しみなく使っている…歴史上、そのような人はいなかったでしょう。だから、彼女は本当に光輝くように飛び抜けた存在となったのだと思います」と、ダイアナの魅力的な人となりについて語った。

さらに、「誰もが彼女のことを知っているような気がするのは、それが彼女の才能だからであり、親しみやすく、彼女が自分の友達や母親のように感じられるところに、彼女の美しさがありました。しかし皮肉なことに、彼女は心の内を知ることができない人物であり、心の底では孤独になりたくない人物だったのです」とコメントした。

通常の伝記映画と異なり、ダイアナが離婚を決意する1991年の3日間に焦点を当てた構成としたことについて、ラライン監督は「彼女の長い人生を振り返るのではなく、大きな危機に瀕した瞬間を選べば、彼女の本質にうまく迫ることができるのではないかと思った」と、その意図を明かした。

また、ダイアナと同様にパパラッチの標的となった経験もあるクリステンだが、セレブリティの私生活をスクリーンで見せることについて聞かれると、「他人の私生活に立ち入ることと、芸術が世界にもたらす多様性には違いがあります。この映画は何か新たな情報を提供するわけではありません。この映画の狙いは人々の間にある溝を埋めることにあると思います。仮にもし誰かが私についての映画を作ることがあったとしても、私は盗用されたとか、何かが奪われたとは思わないと思います」と本作への誇りを滲ませた。

映画『スぺンサー(原題)』は、2022年日本公開。

スぺンサー
(C)Kazuko Wakayama

世界は、誰も知らないダイアナを知る―

ストーリー
1997年8月31日、世界に衝撃が走った―
ダイアナ元皇太子妃が交通事故で亡くなったというニュースは世界中を駆け巡った。
スペンサー伯爵家の令嬢として誕生し、両親が7歳で離婚、チャールズ皇太子と恋に落ち、20歳で結婚すると瞬く間に人気者となったダイアナ。世界中で「ダイアナ・フィーバー」を巻き起こし、2人の息子を育て、死の直前まで人道支援活動に心を注いだ「愛の人」。36歳という短い生涯を駆け抜けた彼女の生きざまは世界中の人々に希望と共感を与え今なお愛され続けている。
物語は、1991年12月。週末をロイヤルファミリーたちと過ごすためにエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスを訪れたダイアナ。チャールズとの離婚を決意し、家族と過ごした最後のクリスマス休暇が描かれる。
チャールズ皇太子との離婚を決定してからの3日間、彼女は何を思い、何が起こったのか‥‥。
ダイアナの魅力、そして死の真相が、彼女の死後25年を経た今、描かれる―。

作品タイトル:『スぺンサー(原題)』
出演:クリステン・スチュワート(『トワイライト』シリーズ、『チャーリーズ・エンジェル』)
ティモシー・スポール(『英国王のスピーチ』)
ジャック・ファーシング(「風の勇士 ポルダーク」)他
監督:パプロ・ラライン(『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』)
全米公開:2021年11月5日
配給:STAR CHANNEL MOVIES

2021年11月5日、全米公開予定

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