【レポート】『スイート・マイホーム』ニューヨークでも大絶賛!北米プレミアに齊藤工監督が登壇

(c)New York Asian Film Festival

齊藤 工が監督を務める映画『スイート・マイホーム』(9月1日(金)公開)が、現在開催中の「第22回ニューヨーク・アジアン映画祭」コンペティション部門に出品され、北米プレミア上映となった同映画祭に齊藤監督が参加し、舞台挨拶が行われた。

第22回ニューヨーク・アジアン映画祭『スイート・マイホーム』舞台挨拶概要

■実施日時:7月27日(木)22時30分~(日本時間)7月28日(金)11時30分~
■内容:舞台挨拶(上映前)/Q&A(上映後)

上映後に再び登壇した齊藤監督に、観客から惜しみない大きな拍手が送られた。「20年前に初めてニューヨークに来たのが、この映画祭でした。『海猿』に訓練生の役で出ていまして、ウェットスーツに酸素ボンベを背負ってトレーニングをするパフォーマンスをしました(笑)。ニューヨークの入り口はこの映画祭だったので、監督として再びこの映画祭に戻って来れて光栄です」と語った。

Q:監督を務めた経緯は?
「2019年の冬に、(本作の)中村プロデューサーから監督をしてほしいと言われました。僕はあまりにも悲惨な物語に、何度もページを閉じて、本当にこれを映像にしていいのかと疑いました。僕もこの作品を監督する想像は当初できていませんでした。そしてパンデミックが起こり、ステイ・ホームという時間を皆さんも僕も過ごして、一番守られるべきサンクチュアリー(聖域)である家の中で、さまざまな悲惨なニュースが目に耳に飛び込んで来ました。家の中というのは、必ずしも守られた安全な場所ではない。家だからこそ起こる悲惨な悲劇が、悲しいニュースがパンデミック禍に目に飛び込んできたことも、この作品を今、監督すべきと思った理由の一つです。そして人間は一つの綻びで、雪だるまのようにどんどん大きく悪魔になっていく。その悪魔を作るきっかけも人間の脆さだったりすることが自分にも当てはまり、この物語にどんどん興味を持って、監督することになりました」

(c)New York Asian Film Festival

Q:撮影監督の芦澤明子さんについて
「撮影監督の芦澤明子さんは、黒沢清さんや原田眞人さんらの作品を撮られてきた、僕も尊敬する日本を代表する、日本映画には欠かせない女性カメラマンです。彼女の(撮る)フレームで、素晴らしい役者さんたちが切り取られるのであれば、原作に負けない作品になるんじゃないかと思いました。当初は、クローズアップではなく、ロングショットをたくさん用いた作品にしようと思っていたんですけど、撮影が進むにつれて、芦澤さんが俳優さんに寄っていくんです。これは役者さんたちのアップのカットが強い、アップのカットで見せていくべきだと彼女に言われ、途中からこの作品の方向やフレームがどんどん変わっていって、強い表情の作品になりました。今、皆さんと一緒に観て、彼女の指摘や感性は素晴らしかったなと、ここアメリカでも思いました。
僕が生まれて初めてカメラの前に立ったのは、小学生の時に、父の仕事仲間だった芦澤さんが構えるカメラの前で全裸になって、とある教育ビデオの出演の時でした。なので、現場でもそうですけど、彼女にはすべてを見られるところから始まっているので、すべてを知ってもらっている思いで、ずっとその僕を見守る母親のような存在でした」

Q:キャストについて
「窪田正孝さんは、彼が受けてくれなかったらこのプロジェクトは進まない思いでした。原作にもジムのトレーナーで、グッドルッキングで、だけどその奥の奥に秘めた人間の醜い部分を持っている。だけど、最後まで観客に嫌われないような、絶妙な何かを繋ぎ続けてくれるような繊細なお芝居ができる日本の役者さんは数少ないし、僕ならできなかったし、彼が主役であることはひとつの大きな条件でした。彼が務めてくれたことで完成しました。
窪塚洋介さんも、彼のアイディアで、目の動きだったり、しゃべり方だったり、原作の聡(さとる)のキャラクターより、強いキャラクターにしていただきました。
奈緒さんと蓮佛美沙子さんもそうです。それぞれが難しい役なんですけど、自分からアイディアをたくさんくださって、原作を越えるキャラクターを共に作れたと思っています。すべて理想的なキャスティングがはまりました。
僕はいつまで経っても一映画ファンで、(観客の)皆さんが座っている席に自分の目があります。自分が観たい映画、観たいキャスティング、観たいショットを、一観客として欲張りに願っているんです。なので、キャスティングに関しても、まずわがままを貫く、わがままを言わせてもらうのが、唯一俳優である僕が監督をする責任、責務だと思っているので、こういう奇跡が起こるんだなと、我ながら恵まれているなと実感しています」

Q:日本のホラー映画などインスパイアされた作品について
「仰るようにJホラーを意識しました。なぜなら日本のホラーというのは、海外に向かって強みになると思ったからです。ただ、新築のホラーというものがなかなか無かったので、『Servant』と『Vivarium』には影響を受けました。
自分が作るものは、家族の特殊な形だったり、母性というものだったり、作った後に指摘されて気づいたんですけど、どこかいつも作るものに自分なりのテーマが一貫しているというのもあるので、また新たなジャンルで皆さんに再会することも願っています」

Q:ゴーストはいると思う?
「僕はいると思っていて。彼らの世界から見たら、僕たちがゴーストなんじゃないかなと。人間の方が恐れられるべき存在な気がしています。『シン・ウルトラマン』でも怪獣の目線から見ると人間の方が恐ろしくて、人間が人間のために作ったものが多くの生物を害しているという、いろいろな作品に実はそういったメッセージがあるんじゃないかなと思っています」

(c)New York Asian Film Festival

最後にMCから、「今度は20年じゃなくすぐに次回作でまた戻ってきて」と懇願されると、会場は笑いと温かい拍手に包まれて、Q&Aセッションは締めくくられた。

上映後の観客たちに本作の感想を聞くと、「最高!不気味で素晴らしかった」「ふつふつと怒りが燃えていく感じとカメラワークが気に入った」「本当に不気味でとても興奮した」「物語がゆっくりスリリングに展開していくところがよかった」「窪田正孝さんの演技は素晴らしかった。ホラー映画、ホラーストーリーとしての彼の演技はとても才能があって感銘を受けた」など大絶賛。

降壇後の齊藤監督も、「僕らの意図とは違うところで、面白いリアクションがありました。とあるキャラクターを観客たちは支持しているんだなという感覚がありましたし、上海に続き、いろいろな発見が海外の映画祭ではありますね。この感覚、基準、目線というものを忘れずに、日本で引き続きものづくりをしたいと思っていますし、いよいよ(本作の)公開が9月1日に迫るので、このニューヨークや上海でもらったエネルギーを、これからの宣伝活動や、最高の初日を迎えられるように監督として頑張っていきたいと思います」と語った。

ストーリー
極寒の地・長野県に住むスポーツインストラクターの清沢賢二は、愛する妻と幼い娘のために念願の一軒家を購入する。“まほうの家”と謳われたその住宅の地下には、巨大な暖房設備があり、家全体を温めてくれるという。理想のマイホームを手に入れ、充実を噛みしめながら新居生活をスタートさせた清沢一家。だが、その温かい幸せは、ある不可解な出来事をきっかけに身の毛立つ恐怖へと転じていく。
差出人不明の脅迫メール、地下に魅せられる娘、赤ん坊の瞳に映り込んだ「何か」に戦慄する妻、監視の目に怯えて暮らす実家の兄、周囲で起きる関係者たちの変死事件。そして蘇る、賢二の隠された記憶。その「家」には何があるのか、それとも何者かの思惑なのか。最後に一家が辿り着いた驚愕の真相とは?

作品タイトル:『スイート・マイホーム』
出演:窪田正孝
蓮佛美沙子 奈緒
中島 歩 里々佳 吉田健悟 磯村アメリ
松角洋平 岩谷健司 根岸季衣
窪塚洋介
監督:齊藤 工
原作:神津凛子「スイート・マイホーム」(講談社文庫)
脚本:倉持 裕
音楽:南方裕里衣
制作プロダクション:日活 ジャンゴフィルム
企画協力:フラミンゴ
製作幹事・配給:日活 東京テアトル

公式サイト:sweetmyhome.jp
公式Twitter:@sweetmyhome_jp
コピーライト:(C)2023『スイート・マイホーム』製作委員会 (C)神津凛子/講談社

91日(金)全国公開

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