パオロ・ソレンティーノ監督最新作で、イタリア国内で監督史上最大のヒットを記録した『パルテノペ ナポリの宝石』(8月22日公開)より、本編映像が解禁された。

第86回アカデミー賞(R)外国語映画賞を受賞した『グレート・ビューティー/追憶のローマ』(13)をはじめ、その映像美で<21世紀の映像の魔術師>と呼ばれ、最新作『La grazia(原題)』で本年度の第82回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門にも選出、オープニング上映が決定したソレンティーノ監督。
今作の舞台は1950年。人魚伝説が根付く南イタリア・ナポリに生を受け、街を意味する“パルテノペ”と名付けられた美しいひとりの女性の生涯を描く。ソレンティーノ監督が初めて女性を主人公に据えた本作は、第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された。
製作を手掛けたのは、異なる分野の先鋭的なアーティストたちとコラボレーションするという、サンローランのクリエイティブ・ディレクター、アンソニー・ヴァカレロの継続的な取り組みを反映して映画界へ参入したサンローラン プロダクション。さらに北米配給権を配給会社A24が獲得している。
今回解禁されたのは、本作で銀幕デビューを飾った新星セレステ・ダッラ・ポルタ演じるパルテノペと、先月、英国ナイトの称号を授与されたゲイリー・オールドマン演じる実在のアメリカ人作家ジョン・チーヴァーの運命的な出会いを描いた本編映像。
ほぼ無一文で、カプリ島へひと夏の思い出づくりにやってきたパルテノペは、プールサイドで憧れの作家、ジョン・チーヴァーと運命的な出会いを果たし、ランチを共にする。酒に溺れて朦朧としているチーヴァーが憂いの表情で「あなたの美がもたらす破壊にお気づきかな?」と問いかけると、パルテノペは周りの人々の好奇の視線を感じながら、「最近少しずつ…そんな気が」と答える。自身の美しさによる力に無頓着だったパルテノペが、チーヴァーとの会話の中で、“美しさ”の持つ力を自覚し、周囲の視線すらも奔放に楽しむことで、その魅力を最大限に花咲かせるきっかけとなる瞬間を描いたシーンだ。
かねてよりソレンティーノ監督の大ファンだったというオールドマンは「彼の映画には哲学、ウィット、驚きがあり、いつも豪華に撮影されていて、欠点がありながらも魅力的なキャラクター達を描く柔軟性がある。インタビューで『誰と一緒に仕事がしたいか』と聞かれ彼の名前を挙げたことが監督にまで伝わったようで、彼から連絡がきて、『君が僕のファンだと聞いたが、僕も君の作品がとても好きなんだ。脇役だけど素敵な役があって、ぜひ来てくれないか?』と言われたんだ。僕は『壁の影の役でも演じるよ!脚本を読む必要もなく、やります』と返事をした。そうして私たちは結ばれ、撮影初日には自分自身をつねってこれが現実かを確認したよ」とお互いのラブコールによって出演が実現したことを明かす。
オールドマンが演じるに相応しいキャラクターを切り拓かねばならないと考えたソレンティーノ監督は、1950年代を中心にJ・D・サリンジャーやアーウィン・ショーらと同時代に活躍し、ピュリッツァー賞も受賞した著名なアメリカ人作家のジョン・チーヴァーを“架空のチーヴァー”としてパルテノペの前に登場させることを決意。
代表作の「泳ぐ人」は1968年に映画化され、日本でも彼の短篇集は村上春樹訳で刊行されているチーヴァーだが、彼の小説や日記を読み感銘を受けたというソレンティーノ監督は「彼は同性愛とアルコールの問題で不安を抱えていて、彼が記した日記は、表に出したくない感情に囚われていた。人生の旅を始めたばかりのパルテノペが、自分自身を解放できないために自由への旅路を歩めずにいる大人と出会うことに面白みがあると思ったのです」とチーヴァーを登場させた理由を説明している。

パルテノペを演じたセレステは、オールドマンとの共演を楽しんだといい「二人が出会った瞬間はとても特別です。パルテノペは、彼の本から感じるのと同じ磁力を感じ、彼の魂が見えるような気がしているのです。彼女は、チーヴァーの中に自分自身や自分の兄を見ているのかもしれません。彼らはみな、周囲の世界に馴染むことができない人々なのです」とパルテノペとチーヴァーの精神的な結びつきについて語っている。
ストーリー
1950年、南イタリア・ナポリで生まれた赤ん坊は、人魚の名でナポリの街を意味する“パルテノペ”と名付けられた。美しく聡明で誰からも愛されるパルテノペは、兄・ライモンドと深い絆で結ばれていた。年齢と出会いを重ねるにつれ、美しく変貌を遂げてゆくパルテノペ。だが彼女の輝きが増すほど、対照的に兄の孤独は暴かれていく。そしてあの夏、兄は自ら死を選んだ…。彼女に幸せをもたらしていた<美>が、愛する人々に悲劇を招く刃と変わる。それでも人生を歩み続けるパルテノペが果てなき愛と自由の探求の先に辿り着いたのは――。
『パルテノペ ナポリの宝石』
出演:セレステ・ダッラ・ポルタ、ステファニア・サンドレッリ、ゲイリー・オールドマン、シルヴィオ・オルランド、ルイーザ・ラニエリ、ペッペ・ランツェッタ、イザベラ・フェラーリ
監督:パオロ・ソレンティーノ
原題:PARTHENOPE|2024|イタリア、フランス|137分|カラー|ドルビーデジタル|シネスコ|字幕翻訳:岡本太郎|R15+
後援:イタリア文化会館
配給:ギャガ
(C)2024 The Apartment Srl – Numero 10 Srl – Pathé Films – Piperfilm Srl
https://gaga.ne.jp/parthenope/
8月22日(金)新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下他全国順次ロードショー