公開中の映画『キムズビデオ』の本編映像が解禁された。

本作は、アメリカ・ニューヨークに実在したシネフィルの聖地、キムズビデオの5万5000本にも上る唯一無二なビデオ・コレクションの行方を巡るドキュメンタリー。
ワールドプレミアとなったサンダンス映画祭で、映画ファンたちからの熱狂的な⽀持を受けて⼤きな話題となり、トライベッカ映画祭など計61の映画祭で上映され、シッチェス映画祭・ドキュメンタリー部門の最優秀作品賞をはじめ、計7つの賞を受賞するなど、世界中の映画祭を席巻してきた本作。
パンフレットは上映後に行列になるほどの売れ行きで、有楽町、渋谷、梅田、名古屋の劇場では初回納品分が完売となり、数度の追加出荷で対応中。ヒューマントラストシネマ有楽町の3日目終了時点では、鑑賞人数に対して35%の購買率と、一般的な作品が10%前後であることに比べると圧倒的な高さを記録。増刷も決定した。
さらに、公開初日から“本編字幕版VHS”が発売され、自宅にVHSビデオデッキが無いにも関わらず購入する人が続出。キムズビデオ店頭に長年並び、色褪せや紙擦れが生じたような“ダメージ”まで演出された紙ジャケット仕様となっている。公開初日から初回納品分が完売となる劇場もあり、公開後3日間では、有楽町、渋谷、梅田、京都、名古屋、栃木の各劇場で初回納品分が完売。VHSは完全限定生産で、生産した450本は全て出荷済みのため、入手できるのは既存上映館の店頭在庫分と、これから公開を迎える劇場への納品分のみとなっている。

この度解禁されたのは、本作で大きな展開を迎える、サレーミ市に移設された映画たちの墓場を映した本編映像。キムズビデオ創業者のキム・ヨンマンがシチリア島に出向くと、ビデオテープにとってはあまりにも劣悪なホコリだらけの雨漏りする湿った所蔵庫で放置されていることが発覚。思わず「Oh my God…(これは、ひどい…)」と絶句する。
落胆したまま所蔵庫を出て、町中のバーに向かうと、そこにはサレーミ市長のドミニコ・ヴェヌーティ氏の姿があった。本来であれば、このコレクションはきちんと管理された上で、市民に貸し出され、市民たちが映像鑑賞をする約束だった。キム・ヨンマンがこのコレクションの重要性を説くが、市長は上の空。娘を空港に送ることしか頭にない。諦めずに自分が受けた悲しみを伝えるキム・ヨンマンだが、市長の心には全く刺さらない。
今回の映像はここまでだが、この問題の根本的な原因は市長ではない。この後で、かつてのサレーミ市長やその取り巻きたち、現地の警察、その陰で暗躍するマフィア、マフィア撲滅委員会会長、マフィアとの繋がりが疑われる謎の人物…と、次々怪しい人物が登場。アルフレッド・ヒッチコックやチャールズ・チャップリン、イングマール・ベルイマン、ジャッキー・チェンといった映画の巨匠の“精霊”らによる、墓場に埋もれた映画たちの奪還作戦に注目だ。
ストーリー
ニューヨークの映画ファンたちが通い詰めたレンタルビデオショップ「キムズビデオ」。そこは、5万5000本もの貴重かつマニアックな映画の宝庫だった。配信サービスの隆盛で閉店に追い込まれた2008年、謎めいた社⻑キム・ヨンマンは、⼤量のコレクションをイタリアのシチリア島にあるサレーミという村に譲渡することを決意する。4000マイルの旅を無事に終えた伝説のコレクションだったが、数年後に「キムズビデオ」元会員であるデイヴィッド・レッドモンがシチリアを訪れると、ずさんな管理体制の中、ホコリだらけの湿った所蔵庫でひっそりと息を潜めていた。助けを求める映画たちの“声”にかき⽴てられ、映画たちを救う荒唐無稽な奪還作戦が始動。その奪還作戦は、カーニバルの夜に映画の撮影だと偽り、アルフレッド・ヒッチコックやチャールズ・チャップリン、ジャン=リュック・ゴダール、イングマール・ベルイマン、ジャッキー・チェンといった映画の巨匠たちの“精霊”を召喚し、所蔵庫から映画たちを解放する前代未聞の計画だった。
ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開中