
松竹創業130周年記念作品となる本作は、フランスで初登場新作1位を獲得し、2023年に日本でも公開され大ヒットを記録したフランス映画『パリタクシー』が原作。昭和から、平成、令和と、各時代を生きる人々を温かい眼差しで描いてきた山田監督が、刻々と変化する大都市<東京>を舞台に、人生の喜びを謳いあげるヒューマンドラマだ。
『ハウルの動く城』でソフィーとハウルとして出会った当時を振り返り、倍賞は「あの時はひとりずつアフレコする予定で、木村さんとは色々なお話ができなかったです。鈴木敏夫プロデューサーにお願いして、1日だけ一緒の場面でアフレコしました」と、木村と顔を合わせてコミュニケーションを取るためにスケジュールの調整をプロデューサーに直談判していたことを告白する。
倍賞の粋な計らいにより“たった一日”の倍賞と木村の同日収録が実現したが、このことを事前に知らされていなかった木村は「目の前にエプロンをしている宮崎駿監督がいて、下駄を履いた鈴木敏夫さんというプロデューサーがいて、ついに現れた倍賞千恵子さんとなったら、そりゃ話せないですよね」と当時を回顧。
本作では、まるでソフィーとハウルが時を越えて現実の世界で再会したかのような、2人にしか生み出せない特別な雰囲気にも注目したい。
そして、この度第55回ロッテルダム国際映画祭「Limelight」部門(現地時間2026年1月29日~2月8日)にて正式出品されることが決定した。「Limelight」部門は観客賞・NETPAC賞(Network for the Promotion of Asian Cinema=最優秀アジア映画賞)が対象となり、その年の映画界で注目を集めるハイライト作品で構成されている。
本作の選考理由についてディレクターのVanja Kaludjercicは「東京の街を縫うように走る一台のタクシー。その車内で交わされる、他愛もない、けれどどこか胸に残る会話が、運転手と乗客それぞれの人生をそっと記録していく――本作は、そんな“移動する時間の箱”のような映画です。窓の外に流れる光景には、東京の今と、変わりゆく日本の気配が淡く重なります。そして何より、この小さな物語を豊かに立ち上げているのは、山田洋次監督の静かな語り口と、倍賞千恵子、木村拓哉という二人の俳優の確かな存在感です。山田作品に受け継がれる、日常に宿る可笑しさと儚さ。その日本的なやわらかさが、ふとした仕草や間合いの中に息づいています。物語が静かに幕を下ろしたあとも、どこか心の奥にやわらかい温度が残り続ける作品。その余韻は、観客一人ひとりのTOKYOの記憶と静かに重なっていくはずです」とコメントを寄せた。
ストーリー
毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)。娘の入学金や車検代、家の更新料など次々にのしかかる現実に、頭を悩ませていた。そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込む。最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と浩二に寄り道を依頼する。東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が、やがて二人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる―
『TOKYOタクシー』
出演:倍賞千恵子 木村拓哉
蒼井優 迫田孝也 優香 中島瑠菜
神野三鈴 イ・ジュニョン マキタスポーツ 北山雅康 木村優来
小林稔侍 笹野高史
監督:山田洋次
脚本:山田洋次 朝原雄三
原作:映画『パリタクシー』(監督 クリスチャン・カリオン)
配給:松竹
(C)2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
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11月21日(金)全国公開