映画『殺し屋のプロット』より、キャスト陣と製作陣の特別インタビュー映像、新メイキング写真が解禁。あわせて9名の著名人による推薦コメントが到着した。

本作は、病によって記憶を失いつつある孤高の老ヒットマンが、人生最期の完全犯罪に挑むLAネオ・ノワール。『バットマン』や『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で知られるキートンが監督・主演・製作を務めた、彼にとってキャリアの集大成とも言える一作だ。
解禁された特別インタビュー映像には、キートンに加え、ジェームズ・マースデン、スージー・ナカムラらキャスト陣、さらにアカデミー賞10部門にノミネートされた『ブルータリスト』を手掛けた一流プロデューサーであるトレヴァー・マシューズやニック・ゴードンらが登場。作品の魅力から撮影の裏側まで、たっぷりと語られている。
本作の出発点となったのは、キートンが「素晴らしい脚本」と称賛し、長く手元に置いていた一本のシナリオ。息子・マイルズ役のマースデンも「この脚本は本当に素晴らしくて、だからこそ、マイケルが監督を希望したんだ」と語り、脚本の強度が俳優陣を惹きつけたことがうかがえる。
キートンは本作について、「ヒットマン映画を撮りたいとは思っていない。これは人間関係の映画なんだ」と強調する。いわゆる殺し屋映画でありながらも、元泥棒の友人ゼイヴィアとの師弟関係、疎遠だった息子マイルズとの親子関係など、複雑に絡み合う人間模様が丁寧に紡がれていくのが本作の大きな魅力だ。
また、監督・主演・製作を兼任した苦労についてキートンは、「何よりも大きかったのは、役作りよりも、集中力を持続させることだった。役を演じきるために、どうやって自分をコントロールするか、撮影の仕方を工夫したんだ」と明かし、本作ならではの挑戦を語っている。

物語の大きな見どころとなるのは、ノックスと息子マイルズの親子関係。映像では、2人がダイナーで緊迫した会話を繰り広げるシーンが新たに公開されている。マイルズが「俺は親父とは違う。殺しは素人」と不安を吐露すると、ノックスは「でもない」と冷ややかに返す。このシーンについて、マースデンは「マイルズは父親が殺し屋だと知って、自分の中に父の殺し屋としての影を感じたんだ。だから父親みたいにならないよう必死になったんだと思う」と語り、キャラクターの深い葛藤を明かしている。
一方ノックスは、感情を表に出さない冷静沈着なキャラクターとして描かれる。キートンは、マイルズが殺人を犯してしまったことを告白するシーンでは「怒りがわき上がっているのに、冷静でいなくてはいけない」と語る。またその演技については、「俳優としての直観を信じて、“ただそこにあること”に集中したんだ」と述懐。その静かな佇まいが、キートンの積み重ねてきた演技の深みを物語っている。
物語が進むにつれ、父と息子の距離感も変化していく。マースデンは「問題はノックスに償いの機会があるのか」と語り、キートン自身も「これは償いの物語」だと明言している。緻密でスリリングな犯罪計画の裏で、殺し屋として生きてきたノックスは、どのような最期を選ぶのか。その結末に注目だ。

なお、キートンと同じく俳優兼映画監督として活躍する竹中直人をはじめ、脳科学者・茂木健一郎、ミステリ作家・深町秋生、世界最高峰のミステリー文学賞であるダガー賞を日本人として初受賞した「ババヤガの夜」著者・王谷晶ら著名人からのコメントは以下の通り。
コメント一覧(五十音順・敬称略)
ISO(ライター)
冷徹なヒットマンの哀愁に満ちた終活ノワール。もちろん善人の物語ではない。だが急速に記憶を失いゆく中、殺しではなく負の連鎖を断ち切るための仕事に挑むマイケル・キートンの姿が思わぬ共感を呼ぶ。まさかこれほど心揺さぶるドラマがあろうとは。
王谷晶(作家)
消えていく記憶の中ですべきことをする、プロフェッショナルの激渋クライムサスペンス。でも渋いだけでなく、マイケル・キートンやアル・パチーノの可愛げや茶目っ気も光る、いいおじさん映画です。
加藤よしき(ライター)
終活ノワールの傑作登場!実力派俳優たちが紡ぐのは、まさに殺し屋流星群。
クールなキートンが、キュートなパチーノが、時代錯誤な男のロマンすら魅力的に映し出す。
心の本棚にビッグコミックが並ぶ人を狙い撃ち!
斉藤博昭(映画ライター)
プロとしてこなしてきた仕事ができなくなる「切実さ」。その切実さは、やがて究極の「カッコよさ」に変わる。ありえない喜びを、本作は奇跡のように実現した。監督と役者の両面で、この奇跡をなしとげたマイケル・キートン。ラストの表情は文字どおり、神がかりである。
竹中直人(俳優・映画監督)
マイケル・キートンの演出に打ちのめされた!静かにシンプル。しかし、なんと力強い映画だろう。どんどん世界に引き込まれてゆく。俳優ひとりひとりのお芝居がとても素晴らしい!そして、想像を超える見事なエンディング!すごい映画を観てしまった…!
心と身体が体感する映画だ!
南波克行(映画批評家)
今や社会問題となった認知症の宣告。進行する病に抗い、息子のために仕組む完全犯罪のプロット。それは失った家族の絆を取り戻し、自分が生きた証をも刻まんとする。失われゆく記憶の中で実行する、愛と知力にあふれた彼の策略は、人間の尊厳をも呼び起こす。必見の感動作!
深町秋生(ミステリ作家)
絶望的な孤独と土壇場な状況、容赦なく迫る病。いくつもの窮地に囲まれながらも、感情を殺して困難なミッションに挑むキートンの幽玄な佇まいが渋い。殺し屋のカーテンコールを静かに見守るパチーノとの絆にも酔わされた。静謐で格調高い幕引きのノワールだ。
茂木健一郎(脳科学者)
残された時間のありったけで、愛する者を救おうとするマイケル・キートンの企みに感動。アル・パチーノとの競演の贅沢なたたずまいの中に、私は人生の「真実」を見た。独創的な脚本で、全ての映画愛好者必見の一本!
吉田広明(映画評論家)
認知症により自分が自分でなくなる精神の死を宿命づけられた男。そこに息子の犯罪の後始末という難題が降りかかる。自分の人生に落とし前をつけながら、息子を救うことはできるのか。男の引き際。そのダンディズム。マイケル・キートンは、ノワールに老いという新たなテーマを拓いた。

ストーリー
博士号を有するという異色の経歴を持つ凄腕の殺し屋ジョン・ノックス。ある日予期せぬ事態が降りかかる。急速に記憶を失う病だと診断され、残された時間は、あと数週間というのだ。やむなく引退を決意したノックスの前に、疎遠だった一人息子のマイルズが現れ、人を殺した罪をプロである父の手で隠蔽してほしいと涙ながらに訴える。刻々と記憶が消えていく中、ノックスは息子のために人生最期の完全犯罪に挑む――。
『殺し屋のプロット』
出演:マイケル・キートン ジェームズ・マースデン マーシャ・ゲイ・ハーデン アル・パチーノ
監督・製作:マイケル・キートン
2023年/アメリカ/英語/カラー/ビスタサイズ/115分/原題:KNOX GOES AWAY/字幕翻訳:大城弥生/映倫区分:G
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
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12月5日(金)より、kino cinéma新宿ほか全国公開