「国宝」「横道世之介」で知られる吉田修一の短編集「逃亡小説集」(角川文庫/KADOKAWA)内に収められている「逃げろお嬢さん」が映画化、10月2日に公開されることが決定した。King Gnuの井口理が主演を務め、深川麻衣が共演する。併せて、予告編映像とポスタービジュアルが解禁された。

親の仕事を継ぎ、つつましやかに温泉宿を営む康太。いつもの日常の中、ある小道で前を走る車の様子がおかしい。心配した康太が車を止めると、運転していたのは、高校時代から康太が推している元アイドル”鮎川舞子”だった!しかしテレビのニュース速報では、舞子の夫が薬物で逮捕され、舞子自身も疑惑の中行方不明になっているとの報道を見たばかり・・・。混乱する康太だったが、これまで康太の人生を照らし続けてくれた推しである舞子に、今自分ができることを全うしようと心に決める。

吉田修一「逃亡小説集」(角川文庫/KADOKAWA 刊)
主人公の康太を演じる井口は、本作の出演に際し、「吉田修一さん原作の世界観と監督の持つ世界観が合わさり『逃げろお嬢さん』は美しさと滑稽さが両立した世界として描かれています」と作品の世界観を語り、「昔好きだった人、自分の人生を救ってくれた人のことをどこまで信じ守れるかがこの作品の見所になっていると思います」と、作品の注目ポイントを明かしている。
康太が長年推している元アイドル・鮎川舞子を演じる深川は、推される側である役柄を通して、「舞子を演じている中で、自分をただただ真っ直ぐに信じてくれる人の存在がどれほどあたたかく、心強く、その存在にどれほど救われるのかを、身をもって実感できました」と、心境の変化を語っている。
監督は、『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年)などの脚本家として活躍する一方、近年では、『ひとりぼっちじゃない』(2023年)で映画監督デビューをし(脚本・原作も担当)、同年には監督・脚本・原案を務めた『サイド バイ サイド 隣にいる人』が公開された、伊藤ちひろ。
伊藤は原作との出会いに関して、「いま世界で「推し活」によって輝きを増す人が広がるなかで、わたしは「応援すること」の本質について考えるようになり、そんなとき吉田修一さんの短編小説に出会うことができました」と語る。
また、原作者の吉田は、本作の映画化に関し、「誰かをずっと応援してきた人に訪れる小さな奇跡の物語。この小さな奇跡を伊藤ちひろ監督がきらきらと輝かせてくれた」とコメントを寄せている。
予告編映像の冒頭は、舞子がラジオ番組であるハガキを読み上げる声にのせて、親から温泉宿を引き継ぎ平凡に暮らす康太の姿を映し出す場面から始まる。
次に、舞子の夫が薬物で逮捕され、舞子自身も行方不明になっているというニュースに驚く康太の前に、出会うはずのなかった二人の偶然の出会いが描かれる。映像のラストでは、康太の想いが語られ、「俺、助けます」という康太の決意の言葉で締めくくられる、切なくも温かな予告編となっている。
ポスタービジュアルには、必死に走る康太、そっと空を見上げる舞子のカットに、二人がテーブルをはさんで向き合うカット、舞子の手をひっぱり歩く康太など、様々な二人の姿を切り取ったビジュアルに、「人生を支えてくれた推しに 今、僕ができることー」というこの作品を象徴するコピーが添えられている。
井口理(King Gnu) コメント
伊藤監督の作品への出演は「ひとりぼっちじゃない」から始まり、今回が3作品目になります。今回は山の民宿を営む康太という役柄を演じさせていただきました。
吉田修一さん原作の世界観と監督の持つ世界観が合わさり『逃げろお嬢さん』は美しさと滑稽さが両立した世界として描かれています。
昔好きだった人、自分の人生を救ってくれた人のことをどこまで信じ守れるかがこの作品の見所になっていると思います。康太の孤軍奮闘を、みなさんに楽しんでいただければ幸いです。
深川麻衣 コメント
舞子とは、名前も辿ってきた職種も近くて、だからこそ共感できる部分もたくさんあり、シンパシーを感じました。
康太と舞子の2人の関係性は、周りからみたら理解できない、滑稽なものに見えるかもしれません。でも2人の間にあった確かなものを見ていると、世論や常識をとっぱらった、自分にとっての真実や本当に大切なものについて、考えるきっかけになりました。
そして舞子を演じている中で、自分をただただ真っ直ぐに信じてくれる人の存在がどれほどあたたかく、心強く、その存在にどれほど救われるのかを、身をもって実感できました。
長野の豊かな自然の中での撮影は本当に心地よくて、撮影の日々が今でも恋しいです!
伊藤ちひろ(監督) コメント
誰かの活力や支えになりたくて、人の前に立って表現していく者たち。その想いを感じ取って、応援で応える者たち。その尊い循環を、わたしはとても美しいものだと感じています。
いま世界で「推し活」によって輝きを増す人が広がるなかで、わたしは「応援すること」の本質について考えるようになり、そんなとき吉田修一さんの短編小説に出会うことができました。この物語には、生きていく間にわたしたちがいくつか通る愛の触れ合いの、そのひとつが描かれていると感じています。康太と舞子は、自分が貰った愛に応える。その愛は、励ましです。人から受け取ったエネルギーに励まされ、それが巡る。
誰かのひとつの過ち、世間の枠からはみ出た者に対して、攻撃することよりも応援することのできる人がいる。真相を知ろうと弄って好奇心を満たすよりも本質を信じる気持ちを大切にできる人がいる。そういう人たちの心の美しさを映画に残したいと思いました。『逃げろお嬢さん』はそんな静かで確かな愛の循環を描いた映画だと思っています。
吉田修一(原作者) コメント
映画「逃げろお嬢さん」に寄せて
誰かをずっと応援してきた人に訪れる小さな奇跡の物語。この小さな奇跡を伊藤ちひろ監督がきらきらと輝かせてくれた。
風に揺れる金色のススキ原のようなその輝きは、井口理さんと深川麻衣さんの声や体からあふれてくる深い人間愛のようでもあり、気がつけば二人が体験する小さな奇跡を心から応援していました。
吉田修一
『逃げろお嬢さん』
出演:井口 理(King Gnu)、深川麻衣、浅香航大、河井青葉、田中偉登
監督・脚本:伊藤ちひろ
原作:吉田修一「逃げろお嬢さん」(「逃亡小説集」所収・角川文庫/KADOKAWA 刊)
配給:NAKACHIKA
(C)2026 吉田修一/KADOKAWA/In Her Room
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10月2日(金)公開