アカデミー賞国際長編映画賞のハンガリー代表作品に選出された経歴を持つ、鬼才パールフィ・ジョルジ監督による異色のヒューマンドラマ『雌鶏』より、メイキング映像が公開された。

搬送中に逃走した1羽の雌鶏(めんどり)の旅を通して人間の尽きない欲望や社会の理不尽さをユーモラスに描き、CGIや特殊効果に頼ることなく8羽の雌鶏の実演による撮影を敢行。その高い芸術性と独特な作家性で世界の映画ファンを唸らせた。

主人公の雌鶏をはじめ、本作に登場する動物たちのトレーニングを手掛けたのは、ブダペストを拠点に活躍するアルパード・ハラシュ。『エイリアン:ロムルス』(2024年)、『哀れなるものたち』(2023年)、『クロール ―凶暴領域―』(2019年)、『ミッドサマー』(2019年)、『ブレードランナー 2049』(2017年)など、数多くの作品に携わってきたスペシャリストだ。映画制作に携わる一方、動物保護施設を運営し、後進の動物トレーナーの育成にも力を注いでいる。


今回、アルパードと彼のチームは、数か月もの時間をかけて雌鶏をはじめとする動物たちを撮影に向けてトレーニング。その後、動物たちとともにトラックで撮影地ギリシャへと渡った。パールフィ・ジョルジ監督も、アルパードの存在こそが、主人公である雌鶏がスクリーン上でその役目を果たせるという「最大の保証だった」と振り返る。
メイキングでは、雌鶏たちに音と合図を結びつけて覚えさせるトレーニング方法も明かされる。また、触れられることで人間に慣れさせ、スタッフ総出で優しく抱き抱えたり、餌を与えたりする様子も映し出されている。動物たちをリードでつなぐことなく、自由に行き来させている撮影現場には人間と動物たちの間に築かれた深い信頼関係が感じられる。
アルパードが、動物トレーナーを育成する際、最初に課すという意外な課題がある。それは、ニワトリに芸を教えること。その理由を象徴するのが、「ニワトリを訓練できないなら、犬に試すな」という彼の信条だ。
一見、自由気ままに動いているように見える雌鶏たち。しかし、その“名演技”の裏には、動物の習性を知り尽くしたプロフェッショナルたちによる、長期間にわたる準備と試行錯誤があった。


併せて解禁されたメイキング写真は、雌鶏のトレーニング風景や、撮影現場のカチンコに興味を示す姿を捉えたショットなど全5点。レストランを営むおじさん役のヤニス・コキアスメノスと、その飼い犬としてスクリーンで活躍する犬の満面の笑顔を捉えた写真からは、現場に流れる穏やかな空気と、互いの信頼関係が見てとれる。
映画『雌鶏』は9月25日公開。
ストーリー
養鶏場で生まれ育った1羽の雌鶏が、出荷用トラックから脱走!人生初の自由を手に入れた彼女は、刺激と危険に満ちた世界を走り抜け、ワケあり一家が暮らす家へと辿り着く。庭に建つニワトリ小屋で新生活を送るなか、初恋を知り、初めて産んだ卵を温め育てようと決意する。ところが大切な卵は毎日人間に回収されてしまう過酷な現実に直面。人生とは?生きるとは?雌鶏は我が子がヒヨコになる日を夢見る一方、飼い主一家はとある事件に巻き込まれる。そこには両者にとって思いがけない運命が待ち受けていた――。