作曲家ヨハン・ヨハンソン監督作『最後にして最初の人類』ポスタービジュアル、場面写真、推薦コメント到着!

最後にして最初の人類

作曲家ヨハン・ヨハンソンの初長編監督作品であり、遺作となった映画『最後にして最初の人類』(7月23日(金)公開)のポスタービジュアル、場面写真が解禁。ゲームクリエイターの小島秀夫氏らからの推薦コメントも公開された

アイスランド出身のヨハン・ヨハンソン(1969~2018)は、クラシックと電子音を融合させた音楽スタイルで知られ、映画をはじめ舞台・コンテンポラリーダンスなど幅広いジャンルで活躍した作曲家だ。
中でも映画音楽での活躍はめざましく、アカデミー賞(主演男優賞)に輝いた『博士と彼女のセオリー』(2014/ジェームズ・マーシュ監督)でゴールデングローブ賞作曲賞を受賞すると、『メッセージ』(2016/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)でも同賞にノミネート。しかし、キャリア絶頂期にあった2018年2月9日にわずか48歳で急死。早すぎる逝去に、シガー・ロス、マックス・リヒターなど世界中のアーティストたちが数多くの追悼コメントを寄せた。

シネマ・コンサートの形式で生上演されていたものがベースとなっている本作。ヨハンソンが監督した16mmフィルムの映像をスクリーンに投影し、女優のティルダ・スウィントンが朗読を加え、ヨハンソンによるスコアをオーケストラが生演奏するというスタイルだ。

これをヨハンソンが亡くなった後、16mmフィルムの撮影監督を務めたシュトゥルラ・ブラント・グロヴレンを中心とした参加スタッフが、1本の長編映画として構成。ヨハンソンが目指したアーティスティックなビジョンを損なうことのないよう、2017年7月に行われた英国・マンチェスターでの初演を再現するべく努めた。
そして、ついにヨハンソンの死後2年を経て、ヨハンソンの“最後にして最初の長編監督作品”は映画として蘇り、2020年2月のベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映された。

原作は、英国の哲学者で作家オラフ・ステープルドンの「最後にして最初の人類」(1930/邦訳は絶版)。20世紀を代表するSF作家の一人であるアーサー・C・クラーク(「2001年宇宙の旅」)にも大きな影響を与えたといわれるSF小説の金字塔だ。
20億年先の未来に生きる人類第18世代のひとりが、20世紀に生きる第1世代の私たちにテレパシーで語りかけてくる内容は、期せずしてヨハンソンの出世作である『メッセージ』の世界観とも響き合うものとなっている。

このたび解禁となったポスタービジュアルで真っ先に目を惹かれる巨大で奇怪なデザインの石碑は、旧ユーゴスラビアに点在する「スポメニック」と呼ばれる巨大な戦争記念碑だ。第二次世界大戦の対ドイツ戦で犠牲となった人々を追悼し、社会主義の勝利をアピールすべく建設された数々のモニュメント。それらは現在、まるで放棄された未来の夢のような姿を晒し続けており、美しくも謎めいた想像力をかきたて、スウィントンのナレーションとともに、観客を時空を超えた時間旅行へと誘うだろう。

コメント(敬称略・順不同)

■坂本龍一(音楽家)
これから何度も共に音楽を作ることになるだろうと思っていました。
そんな彼が何も言わずに突然去ってしまい、
ぼくを含めて残された者はただ呆然としています。(追悼コメントより)

■小島秀夫(ゲームクリエイター)
静かに唸るヨハン・ヨハンソンの“音”に、
20億年先の未来から届くティルダ・スウィントンの“メッセージ”が重なる。
観客は幾何学的な記念碑(モニュメント)をただ仰ぎ観る。
いつの間にか、それらは“モノリス”へと変わり、宇宙と終焉への畏怖に繋がる。
これは亡きヨハン・ヨハンソンが奏でる最後にして最初の「2001年宇宙の旅」なのだ。
死は終わりではない。

最後にして最初の人類

■冲方丁(作家)
20億年後の未来という超越的なこの体験は、
まさに数万年前、原始の人類が宇宙を理解せんとしたときの追体験でもある。
即ち本作は、人類の知の始まりと終わりとを同時に体験させ、
真に世界へ耳を澄ませるための装置なのだ。

■ヤマザキマリ(漫画家・随筆家)
ステープルドンが残した未来の人類からの警告は、
ヨハン・ヨハンソンの途方も無い音と映像によって壮大な抒情詩となった。
我々はこの作品を通じて、自分たちの中に潜む重要な感受性を呼び覚ますことになるだろう。

最後にして最初の人類

■小田香(映画作家)
サラエボで映画を学んでいた頃にスポメニックをいくつか訪れたことがある。
重厚で硬質なそれらは土地のもつリニアな時空間に属さず、イモータルであるかの如く圧倒的に異なっていた。
20億年先の子孫たちが送ってきたメッセージは、虚無への誘惑になりえると同時に、
瞬きの中に生まれる悦びを思い出させる。(一部抜粋)

■真鍋大度(アーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマ、DJ)
最初から最後まで、終始一貫無駄も隙もなく、荘厳かつ美しい音と映像で鑑賞者の姿勢を試してくる。
もしもあなたがクリエイターだったら、この作品を鑑賞して背筋が伸びる思いをするだろう。

最後にして最初の人類

■ermhoi(Black Boboi,millennium parade)
想像した事もない神聖な生物を見たかのような、畏怖と歓喜。
あのなんとも神秘的で奇妙な音楽と映像、そして言葉の世界に完全に取り込まれた私の体は次第に鉛のように重くなり、沈まないように必死であった。
一世一代の貴重な体験。

■前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)
望むと望まざるとに関わらず、自らの生涯をこの作品の内容に重ね合わせることで、
『最後にして最初の人類』の作品世界と一体化したヨハン・ヨハンソンは、
「人間というこの束の間の音楽を美しく」奏でたアーティストとして、
永遠に記憶されるだろう。

最後にして最初の人類

■五十嵐太郎(建築史家)
有名なSF映画のある構築物を連想させる冒頭のシーン。
だが、本作の風景を織りなすのは、実在する荒々しくも美しいコンクリートの記念碑群だ。
その幾何学的な造形は、音楽と共鳴し、未来の遺跡として圧倒的な存在感を放つ。

■星野藍(写真家)
永劫の果ての時間旅行、それはあの日あの時、
己がたった一人で対峙したスポメニックに抱いた遥かなる精神の飛翔そのものだった。
過去の遺物に宿りし未来への警笛は、星の瞬きを超脱するあたたかで無機質な救済。

最後にして最初の人類

■佐藤健寿(写真家)
オシロスコープが受信した未来の黙示録は、
戦争と芸術を発明した最初の人類、つまり我々の物語であった。
スポメニックとヨハン・ヨハンソンの音楽が、存在しない楽園を夢見て共振する映像は、
人類最後の、あるいは最初の映画のように、ただ美しい。

■原 摩利彦(音楽家)
描かれていないものを浮かび上がらせる映像と音楽/音響。壮大で重厚な美しい時間。
ヨハンソンのことを考えながら観始めましたが、最後には彼の不在は不在でなくなり、
ある境地にたどり着いたような幸せを感じました。

最後にして最初の人類
最後にして最初の人類
Swinton Tilda (c) Brigitte Lacombe


第70回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門正式出品

作品タイトル:『最後にして最初の人類』
監督:ヨハン・ヨハンソン
ナレーション:ティルダ・スウィントン
原作:オラフ・ステープルドン著「最後にして最初の人類」
プロデューサー:ヨハン・ヨハンソン、ソール・シグルヨンソン、シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン
撮影:シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン
音楽:ヨハン・ヨハンソン、ヤイール・エラザール・グロットマン
原題:Last and First Men
2020年/アイスランド/英語 /70分/ ヨーロッパビスタ1.66 : 1/5.1 ch/
配給:シンカ

公式サイト:https://synca.jp/johannsson
公式Twitter:@SYNCACreations
公式Facebook:@SYNCACreations
コピーライト:(c)2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson (c)Sturla Brandth Grøvlen

7月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他順次公開

 

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