【レポート】佐藤快磨監督登壇『泣く子はいねぇが』東京フィルメックスにて⽇本国内最速上映!Q&Aセッション実施

佐藤快磨監督の劇場デビュー作で、第 68回サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞した、仲野太賀主演の映画『泣く⼦はいねぇが』(配給︓バンダイナムコアーツ/スターサンズ)が11⽉20⽇より公開される
本作は、監督・脚本・編集の佐藤快磨が、秋⽥県・男⿅半島の伝統⽂化「男⿅のナマハゲ」から、“⽗親としての責任”、“⼈としての道徳”というテーマを⾒出し、親になることからも、⼤⼈になることからも逃げてしまった主⼈公が、過去の過ちと向き合い、不器⽤ながらも⻘年から⼤⼈へ成⻑する姿を描いた完全オリジナル作品だ。
⼤⼈として、そして⽗親としての⾃覚も曖昧な主⼈公たすくを演じるのは仲野太賀。妻ことね役には吉岡⾥帆、親友の志波役の寛 ⼀ 郎に加え、⼭中 崇余貴美⼦柳葉敏郎ら実⼒派俳優が集結し、物語を彩り魅了する。

第68回サン・セバスティアン国際映画祭での最優秀撮影賞を受賞したほか、本作はシカゴ国際映画祭などでも新⼈部⾨のコンペティションに選出、さらに東京フィルメックスにて⽇本国内最速上映された。このたび、東京フィルメックスにて登壇した佐藤快磨監督によるQ&A セッションのオフィシャルレポートが到着。以下、レポートを紹介する。

『泣く⼦はいねぇが』舞台挨拶/上映後Q&A セッション 概要
■登 壇︓佐藤 快磨(さとう たくま)監督
■⽇ 時︓11⽉3⽇(⽕・祝) 18:40〜18:50<舞台挨拶>
20:40〜21:00<上映後Q&A>
■場 所︓TOHO シネマズ シャンテ1

映画『泣く⼦はいねぇが』

本編上映前に佐藤監督による挨拶からスタート。「ジャパンプレミアという事で⼤変緊張しております。ここからどんどん拡がっていってくれることを願っています」と緊張を滲ませながらご挨拶。その後、観客と⼀緒に本作の⽇本初上映を鑑賞した佐藤監督は、上映中に湧き上がった笑い声や感動、感嘆の声、終映後に巻き起こった拍⼿を直接感じながら、少し照れた様⼦で上映後に再登壇した。

早速、今映画を⾒たばかりのお客様からの質疑応答がスタート。”本作はオリジナル脚本ということだが、どのようにキャラクターを作り上げていったのか︖“という質問に対して「⾃分が20代後半を迎えて、同級⽣たちが結婚して⽗親になっていく中で、僕も当たり前のように⽗親になれる思っていましたけど、その未来がどんどん遠ざかっていく感じがありました」と振り返り、「僕も⽗親になれるのかということを映画の中で探してみたかったんです。⽗親ではない⾃分が“⽗性を探す”映画を撮りたいというところがスタートだったので、主⼈公のたすくには⾃分が投影されていると思います」とコメント。

続けて、“佐藤監督と秋⽥県男⿅市の繋がりは︖”という質問については、「秋⽥市の⽣まれなので男⿅市は隣接してはいましたが、実は男⿅のことはあまり良く分かっていませんでした。ただ、幼い時に⼀度だけナマハゲを友⼈の家で体験したことがありました。その時、友⼈は泣き叫んで⾃分の⽗親に泣きついていたんですけど、僕には泣きつける⽗親がいなくて⼼細い思いをした記憶がトラウマのように残っていたんです。ナマハゲは⼦供を泣かせるというイメージが強いと思いますが、⼦供が⽗親に泣きつくとか、⽗親が⼦供を守るとか、そういった中で⽗親としての⾃覚や責任を芽⽣えさせる側⾯もあると思ったんです。だからこそ、男⿅を舞台に映画を撮りたかった。そして、この映画を応援してくださる⽅々と知り合えて、今はふるさとのように思っています」と⾃⾝のナハマゲ体験から本作への着想があったことを明かしつつ、舞台になった男⿅市、そして映画製作をサポートしてくれた男⿅の⼈たちへの感謝を述べた。

また、ナマハゲについての別の質問では、「普通⼦供はお正⽉になるとお年⽟がもらえたりするので、⼤晦⽇はすごくワクワクすると思うんですけど、男⿅市の⼦供たちは、まずおっかないナマハゲを耐えないといけないので憂鬱だと思います (笑)。でも男⿅のみなさんはそういった体験があって良かったと思っているからこそ、ナマハゲを残そうとしてるんだと思います」と伝統⽂化のナマハゲに触れて、改めて⼤切な伝統⽂化であると認識したそうだ。

続けて、“折坂悠太さんが今回初めて映画⾳楽を⼿掛けたが、どのような経緯で起⽤したのか︖”という質問に対して、「劇伴を誰にお願いするのかをプロデューサーたちとも話し合いながら、現場でもずっと悩んでいました。その話を聞いていた太賀君が『折坂さんはどうですか︖』と提案してくれて、僕もプロデューサーも『いいですね︕』となったんです。今思い返せば、太賀君はロケハンの時から『いま折坂さんの“さびしさ”ていう曲を聴いてるんですよ︕』とかちょくちょく薦めてくれていたんです。その時はいいよね︕とか普通に返事しちゃってたんですが(笑)」という経緯を発⾔し、会場は笑いに包まれた。

そして、「僕と折坂さんは同じ年で、折坂さんはお⽗さんでもあります。なのでこの映画に⽗親としての視点で⾳楽をつけてくれたのだと思います。折坂さんは最初、『この映画、⾳楽をつけなくてもいいんじゃないのか』と⾔ってくださり、それは素直に嬉しかったですね」と語った。
当初はリモート会議でスタートした打ち合わせも、途中でLINE や電話でのやりとりを始めてからどんどん加速していき、折坂ならではの独⾃の意⾒や視点をしっかりと伝えてくれたことで、この作品に深みが加わったと、⾳楽制作の裏話も披露した。

続けて、⼀番ラストのシーンで⼀気に気持ちが込み上げて、涙が零れたという観客から、“ラストシーンは当初から決めていたのか︖”という質問について「ラストシーンから着想した作品なので、あそこは5年前から変わっていないんです。⼀番⼤事なシーンでもあるので、キャストさんもスタッフも全員でそこを共有してた分、ラストシーンは緊張感が⼀番⼤きかったと思います」と撮影当時のことを振り返り、「⾃分が想像していたよりも素晴らしいシーンになったと思いますし、僕⾃⾝が撮り終えたときに感動できたのが良かったです」とスタッフ・キャスト全員で作り上げたということ本作について感慨深そうにコメント。

最後に佐藤監督は「今回、初めて商業映画を撮らせてもらいましたが、本当に恵まれた環境で好きなように撮らせてもらいました。ちゃんとキャストのみなさん、スタッフのみんなと全員で作ったという感覚があります。本当に⼀⼈でも多くの⼈に観てもらえたら嬉しいです」とコメントし、会場からは⼤きな拍⼿が送られ、イベントは終了した。

 

ストーリー
秋⽥県・男⿅半島で暮らす、たすく(仲野太賀)は、娘が⽣まれ喜びの中にいた。⼀⽅、妻・ことね(吉岡⾥帆)は、⼦供じみていて ⽗になる覚悟が⾒えないたすくに苛⽴っていた。⼤晦⽇の夜、たすくはことねに「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、地元の伝統⾏事「ナマハゲ」に例年通り参加する。しかし結果、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ鬱憤を晴らすように「ナマハゲ」の⾯をつけたまま全裸で男⿅の街へ⾛り出す。そしてその姿がテレビで全国放送されてしまうのだった。ことねには愛想をつかされ、地元にも到底いられず、逃げるように上京したものの、そこにも居場所は⾒つからず、くすぶった⽣活を送っていた。そんな⽮先、親友の志波(寛 ⼀ 郎)からことねの近況を聞く。ことねと娘への強い想いを再認識したたすくは、ようやく⾃らの愚⾏と向き合い、地元に戻る決意をする。だが、現実はそう容易いものではなかった…。果たしてたすくは、⾃分の“⽣きる道”、“居場所”を⾒つけることができるのか︖

作品タイトル:『泣く子はいねぇが』
出演︓仲野太賀 吉岡⾥帆 寛 ⼀ 郎 ⼭中 崇 / 余 貴美⼦ 柳葉敏郎
監督・脚本・編集︓佐藤快磨
企画︓是枝裕和
エクゼクティブ・プロデューサー︓河村光庸 / プロデューサー︓⼤⽇向隼、伴瀬萌、古市秀⼈ / 企画協⼒︓分福
制作プロダクション︓AOI Pro.
製作︓『泣く⼦はいねぇが』製作委員会
配給︓バンダイナムコアーツ/スターサンズ

公式サイト:nakukohainega.com
公式Twitter:@nakukohainega
公式Instagram:@nakukohainega
公式Facebook:@nakukohainega2020
コピーライト:(c)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

11/20(金)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー

 

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