本日5月30日より公開の映画『パフィンの小さな島』より、来日したジェレミー・パーセル監督とロレイン・ローダン助監督のインタビューが到着した。

TVアニメ「ウーナとババの島」は2~3歳を対象とした短編シリーズ。そこから、家族で楽しめる劇場映画へとどう変化させていったのか。パーセル監督は、「映画館で観るなら、ドラマ性が必要になります。そこで“家を失う”という喪失のテーマを中心に据え、主人公をウーナではなくイザベルに切り替える決断をしました。彼女は“新しい環境に馴染めない”存在として描かれていて、観客が彼女の視点を通して物語を体験できるようにしています。映画として成立させるために、より豊かなストーリーテリングと感情の厚みが必要だったんです」と話す。
そんなイザベルは、実在する海鳥「エトピリカ」であり、彼女の視点から描かれる物語は、過去の幸せな記憶と向き合いながら、新しい“家”を見つけていく成長の旅でもある。「イザベルは弟フェニックスと強い絆で結ばれていますが、それは過去への執着でもあります。環境の変化に戸惑い、心を閉ざす彼女が、自分の過ちを認めて成長していく姿がこの作品の核となっています」とローダン助監督が語ると、パーセル監督は「私たちは製作中、“What is Home?”という問いをホワイトボードに掲げていました。彼女にとっての“家”とは何なのか。それを見つけていく物語なんです」と舞台裏を明かした。
また、物語の中盤でイザベルが“ある嘘”をつくシーンは、観客の子どもたちが見せた反応が制作陣にとっても大きな驚きだったという。パーセル監督は「『知らない』と嘘をついたイザベルに対して、スクリーンに向かって“知ってるよ!”と叫ぶ子どもたちがいました。あの瞬間、彼女の感情に共鳴してくれたことが何より嬉しかったです」と語る。
カートゥーン・サルーンが生み出す豊かな映像について話が及ぶと、イザベルの回想シーンで、水墨画を思わせる幻想的なビジュアルが採用されていることについて、ローダン助監督は「最初は“美しい”と感じた水墨画のスタイルですが、アニメーションとして動かすのは本当に難かしく、何度も試作を重ね、2ヶ月ぐらい試行錯誤してようやく映像として成立させることができました」と、実現には苦労も多かったことを振り返った。


そんな本作の映像表現には、スタジオの哲学が色濃く反映されており、特に、“丸”や“円”といったモチーフには、“調和”や“再生”といった意味が込められているという。パーセル監督は「キャラクターが円を描くように泳いだり、タンポポの綿毛が舞ったり。そうした描写はすべて、世界が優しくつながっていることを象徴しています」と語り、象徴的なシーンとしてマーヴィンが海の中でシルキーたちと一緒に円を描いて泳ぐシーンや、後半でタンポポが花開く場面を例に挙げた。
最後に、二人はカートゥーン・サルーンの作品づくりにおける信念について、「私たちはいつも、“自分たちが観たい映画”を作ろうとしています。クリエイティブな好奇心を持って、世界中の子どもたちに届くように、誠実に作品と向き合っているんです」(パーセル監督)「文化や国によって反応は違いますが、今回の日本の観客がどんなふうにイザベルの旅を受け取ってくれるか、とても楽しみです」(ローダン助監督)と語り、インタビューを締め括った。
ストーリー
アイルランドの西の海に浮かぶ小さなトンガリ島に暮らす海鳥パフィン(ニシツノメドリ)の女の子ウーナと弟のババ、そして様々な動物たちが繰り広げる愛らしい冒険と、友情の物語。ある日、大きな嵐によって故郷の島に住めなくなった動物たちがトンガリ島にやってくる。慣れない環境に戸惑うエトピリカの女の子、イザベルが心ならずも巻き起こした“ある事件”を通じて、新たな友情が育まれる。
『パフィンの小さな島』
声の出演:上野樹里/新田恵海/田所あずさ/チョー
監督:ジェレミー・パーセル
助監督:ロレイン・ローダン
原案:トム・ムーア(『ウルフウォーカー』)/リリー・バーナード、ポール・ヤング
脚本:サラ・ダディ
提供:チャイルド・フィルム/代々木アニメーション学院/チャンス イン/ミッドシップ
後援:駐日アイルランド大使館
2023年/アイルランド・イギリス/80分/アメリカン・ヴィスタ/5.1ch
配給:チャイルド・フィルム
(C) 2023 Puffin Rock and The New Friends
公式サイト:Child-film.com/puffin
公式X:@cartoonsaloonjp
5月30日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
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