【レポート】映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』公開直前試写会開催!タイと日本の学校システムの違いとは?

バッド・ジーニアス 危険な天才たち

一人の天才女子高生を中心とした高校生“犯罪チーム”が知恵と度胸だけを武器に、世界を股にかけた一大“カンニング・プロジェクト”に挑む様を青春クライム・エンタテイメントに仕立て上げた、映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(配給:ザジフィルムズ/マクザム)は、9月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開となる。

この度、本作の公開に先立って、9月4日に渋谷・映画美学校試写室にてトークイベント付き公開直前試写会が行われた。登壇したのは、タイ人タレントのブンシリさん。13年間日本でタレントとして活躍し続けているが、実はタイの歴代首相等を輩出している国立難関大学タマサート大学を優等生二位という首席で卒業した天才。更に2002年に来日した後、日本語能力試験1級に見事合格し、ロンドンやシドニーにも留学している、まさに本作の天才高校生リンやバンクと同じ“天才的”な経歴の持ち主。そんな本作の主人公たちと同じ境遇にいたことから、登壇が実現。映画ソムリエとして多方面で活躍している東紗友美さんと共にトークを繰り広げた。

はじめに感想を聞かれたブンシリさんは、「見た時に思わず『ヤッター!!!』と叫びました!」と発言。映画の感想としては不思議な言葉に会場がざわつくなか、経緯を話しはじめてくれた。「本作を始めて観たとき、14年前に日本でもヒットとなったタイ映画『マッハ!』を超えたすごい作品だと思い、観ている間に思わず「ヤッター!!」と“心の中で”叫んでしまったんです。あの時タイ映画がすごくフューチャーされたけど、また日本でタイ映画が注目される時がきた。『マッハ!』より更に抜群におもしろい作品が出てきた、と嬉しくなったのです。」と説明。また東さんも「『桐島、部活やめるってよ』のような変化球学園ムービーのジャンルにも捉えられるすごい作品がタイからきたぞ!と興奮しました。」と、二人とも本作のファーストインプレッションが衝撃的だったことを述懐。またブンシリさんが一番印象に残ったシーンは最初のカンニングシーンで、観ていて自分の幼少時代を思い出したとのこと。
タイと日本では学校のシステムが違い、「タイは日本とは比にならないくらいのかなり厳しい学歴社会。そのため幼稚園ですでに“落第”という概念があり、若干3、4歳の時から、次のクラスに上がれないという屈辱を味わう可能性があります。だからこそ、タイの子どもたちのテストに対する思いは幼少期から並々ならぬものがあるのです。何としてでもテストに受からなければという切迫感から、勉強のできる子でも“答え合わせ”の意味でカンニングをしたり、友達に答えを意図的に見せることが日常化していて、“カンニングで友情を育む”という状況も不思議なことではないのです。」と驚愕なリアルなタイの学校の試験でのエピソードを紹介。

画像01
ほかにも日本と違うタイの学校エピソードを聞かれると、「制服のスカートの長さや髪型に対してすごく厳しく、スカートの丈が長すぎたら、その場で先生にハサミで切られてしまうこともあります。反対に短すぎると、スカートの上から違う布を巻かれて一日過ごさなければならないことも。」と仰天エピソードを紹介。しかし、その反対に成績が良かったり部活で賞をとったりすると、本作の予告編でも出てくるように校舎の壁に顔写真付きで大きな横断幕を掲げて学校をあげてお祝いします、と説明。東さんが、学業・身なりの面でも厳しいと自由が何もないのでは?と問うと、ブンシリさんは「今考えると社会のルールを小さい時から学べることはとても良いことだと思う」と振り返っていた。
さらに主要な高校生メンバー4人に話が及ぶと、ブンシリさんは「4人それぞれに友情や家族との関係性が描かれていて、共通点を感じました。この作品はカンニングを題材にしている学園ドラマだけれど、本作はそれだけでは全く収まらない「家族」がテーマの作品でもある。そんな中でも一番気に入ったのは、苦学生の“バンク”。彼には家族の物語をより深く感じ、なぜ彼があの行動を起こしたのか、どうしてあのようにしなくてはならなかったのかと考えると、やっぱり自分の学生時代を少し思い出し、自分の分身のように感じました」と語った。そしてこれから見る観客の皆さんに向かって、「なぜ彼らがカンニングをしなければならなかったのか、ということに寄り添って見てください。」と語りかけ、タイの知られざる一面を知ることができながら、ブンシリさんの陽気な話で終始笑いの絶えないイベントとなった。

画像02

ストーリー
小学生の頃からずっと成績はオールA、さらに中学時代は首席と天才的な頭脳を持つ女子高生リン。裕福とは言えない父子家庭で育った彼女は、その明晰な頭脳を見込まれ、晴れて進学校に特待奨学生として転入を果たす。新しい学校で最初に友人となったグレースを、リンはテストの最中に“ある方法”で救った。その噂を聞きつけたグレースの彼氏・パットは、リンに“ビジネス”をもちかけるのだった。それは、より高度な方法でカンニングを行い、答えと引き換えに代金をもらう――というもの。“リン先生”の元には、瞬く間に学生たちが殺到した。リンが編み出したのは、“ピアノレッスン”方式。指の動きを暗号化して多くの生徒を高得点に導いたリンは、クラスメートから賞賛され、報酬も貯まっていく。しかし、学校が誇るもう一人の天才・生真面目なバンクとの出会いが、波乱の種に。そのビジネスの集大成として、アメリカの大学に留学するため世界各国で行われる大学統一入試「STIC」を舞台に、最後の、最大のトリックを仕掛けようとするリンたちは、バンクを仲間に引き入れようとするが…。

作品タイトル:『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、イッサヤー・ホースワン、ティーラドン・スパパンピンヨー、タネート・ワラークンヌクロ
監督:ナタウット・プーンピリヤ
脚本:ナタウット・プーンピリヤ、タニーダ・ハンタウィーワッタナー、ワスドーン・ピヤロンナ
撮影:パクラオ・ジランクーンクム
音楽:フアランポン・リディム、ウィチャヤー・ワタナサップ
原題:Chalard Games Goeng/2017年/タイ/タイ語/130分
字幕翻訳:小田代和子
監修:高杉美和
提供:マクザム
後援:タイ王国大使館、タイ国政府観光庁
配給:ザジフィルムズ/マクザム

公式サイト:http://maxam.jp/badgenius/
コピーライト:(c)GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.

9月22日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

↑上に戻る