『侍タイムスリッパ―』の全国拡大公開記念舞台挨拶が9月14日に東京都内で実施され、主演の山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、庄野﨑謙、井上 肇、安藤彰則、安田淳一監督が登壇した。
『侍タイムスリッパ―』略して「侍タイ」(サムタイ)。8月17日に「池袋シネマ・ロサ」1館で封切られてから、評判が評判を呼び、9月13日より新宿ピカデリーほか全国100館以上の劇場で拡大公開となった本作は、武士が落雷によって現代の“時代劇撮影所”にタイムスリップし「斬られ役」として生きていく姿を描いたコメディ作品。時代劇の本場である東映京都撮影所が特別協力したことでも話題になっている。
大きな拍手に迎えられてキャスト陣が登壇し、監督・脚本・照明などひとりで11役以上務めた安田監督は「京都で映画とお米を作っている安田淳一です」と自己紹介。
公開から1か月経たないうちに100館以上での全国拡大公開という快挙について、主役の高坂新左衛門役を演じた山口は「たった1館での上映から全国に作品が飛び出すことができて。ちょっとあまりにも速く進んでいくので、僕ら一同は困惑しているんですけど、皆様が本当にこの作品を愛してくださるので、全国で上映しても大丈夫だと信じています。本当にお客様に感謝しています」と嬉しさと戸惑いの心境を吐露。
2022年の7月から半年かけて撮影された本作だが、人気俳優の風見恭⼀郎役の冨家も「みんなはしゃいでいます。ここまで大きくなるなんて誰も思わなかった。撮影中はこの作品が世に出るのかもわからなかった」とコメント。安田監督から「実は今年の4月にも追加して。本当に完成したのは今年の6月なんです」ということも明らかにされた。
たくさんの方々のクチコミによってこのように異例な拡大公開が広まっているが「ここにいること自体も嬉しいんですけれども、こうやって見渡して、客席で応援してくださるみなさんのお顔を見ると本当に嬉しくて。歳のせいか、これ以上しゃべると涙腺が非常に弱くなるので」と、安田監督はうれし涙をこらえているようす。
劇中では助監督役・優子でありながら、撮影現場でも助監督をこなした沙倉は「スタッフとしても入るのははじめてで。小道具や刀の管理などをしたり、全員とコミュニケーションを取って仲良く映画を作れたことがいちばん嬉しかった」と振り返り、撮影中に大変だったところを聞かれた庄野﨑は「僕と(山口)馬木也さんが対峙するシーンで。途中で中止になったんです」と切り出すと、山口から「借りているところの時間がオーバーしてしまって。いちばん盛り上がっているシーンなのに」と事情説明。さらには「撮影が楽しすぎて、誰も時計を見ていなかったんです(笑)」と、夢中になるほどのシーンも注目ポイント。
冨家が「僕の好きなセリフをもう一度聞きたい」と井上にリクエストすると、「一生懸命頑張っていれば、どこかで誰かが見てくれている」と劇中のまま再現。客席からは拍手が沸き起こった。
また、本作はカナダ・モントリオールで開催された「ファンタジア国際映画祭」にて観客賞金賞を受賞。安田監督、山口、沙倉が現地入りしたが、海外での反応について山口は「時代劇というものがどこまで伝わるか不安だったが、思った以上に伝わった」と拍手やリアクションの大きさに手ごたえを感じていたそう。
最後に安田監督が「この作品はタイムスリップを扱っている映画ですが、上映中に起きる笑い声や拍手は昔の映画館の雰囲気に似ていて。客席ごとタイムスリップできるような作品になっているのでぜひ劇場にお越しください」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
ストーリー
時は幕末、京の夜。会津藩士・高坂新左衛門は、密命のターゲットである長州藩士と刃を交えた刹那、落雷により気を失う。眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。行く先々で騒ぎを起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだと知り愕然となる新左衛門。一度は死を覚悟したものの、やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と、磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩く。「斬られ役」として生きていくために…。
『侍タイムスリッパ―』
出演:山口馬木也 冨家ノリマサ 沙倉ゆうの
監督・脚本・撮影・編集:安田淳一
殺陣:清家一斗
撮影協力:東映京都撮影所
2024年/日本/131分/カラー/1.85:1/ステレオ/DCP
配給:ギャガ 未来映画社
(C)2024未来映画社
公式サイト:https://www.samutai.net/
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