【レポート】『トリとロキタ』作家・俳優・映画監督、高校生まで!豪華鼎談が実現!ダルデンヌ兄弟ジャパン滞在記

トリとロキタ

2度のパルムドール大賞受賞をはじめ、世界中で100賞以上もの映画賞を受賞しているベルギーの名匠、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作『トリとロキタ』が3月31日(金)より公開となる。

この度、本作のプロモーションのため約6年ぶりの来日を果たしたダルデンヌ兄弟。短い滞在期間で、取材やプレミア上映に登壇するなどタイトなスケジュールをこなしつつ、各界著名人との鼎談や、様々な場所を訪問、日本食を楽しんだ。今回はその滞在記をお伝えする。

◎俳優の仲野太賀、井之脇海と鼎談!

中学生の頃に観た『ある子供』に衝撃を受けて以来、ダルデンヌ監督のファンだという仲野太賀。ダルデンヌ兄弟と対面直後は緊張した面持ちだったが、次第に緊張が溶けていき、最後の質問になると、「まだ聞きたいことがたくさんある!」と焦る場面も。写真撮影中も質問が止まらない仲野に、にこやかに丁寧に質問に答えていたが、アルチュール・アラリ監督『ONODA 一万夜を越えて』(21)に出演していると聞き、「おお…!」と感激する監督たち。仲野の鼎談が、監督の来日最後の取材ということもあり、撮影後は「お疲れ様でした!」と互いに労いの言葉を掛け合っていた。この鼎談の詳細は4/1発売のBRUTUSにて掲載予定。

ダルデンヌ作品の中では『息子のまなざし』が一番好きだという井之脇海。本作では主人公2人の演技がとても印象に残ったといい、キャスティングの経緯や演技の演出方法など、俳優視点の質問に興味深く耳を傾けていた監督たち。そして話の中で、井之脇も『ONODA 一万夜を越えて』に出演していると聞いたダルデンヌ兄弟は、井之脇にその現場での様子や役作りについて興奮気味に尋ね興味津々。「これからも素晴らしい作品に出てほしい」というメッセージを井之脇に残し鼎談が終了。この鼎談の様子はELLE Digitalにて公開日付近に掲載予定。

◎早川千絵監督、川和田恵真監督、ドキュメンタリー作家の想田和弘監督と鼎談!

日本の難民問題を扱った映画『マイスモールランド』を監督した川和田恵真監督との鼎談では、川和田監督が作品を製作するに至った経緯など、お互いに共感し合いながら進行。「ロケセットをすべて作ってからリハーサルをする」というダルデンヌ兄弟の言葉に思わず「羨ましい……」とため息が漏れる川和田監督。「ベルギーに戻ったら必ずあなたの映画を観ますね」と約束するダルデンヌ兄弟。この鼎談の模様は近日朝日新聞に掲載予定。

『PLAN 75』を引っ提げて参加した去年のカンヌ国際映画祭ですでに『トリとロキタ』を鑑賞し、応援宣言をしていた早川千絵監督。『トリとロキタ』には「作り手の静かな覚悟を感じた」そうで、いくつもの質問案を持って準備万端。鼎談が始まるやいなやジャン=ピエールが「あなたの『PLAN 75』観ました。主演を演じられた倍賞千恵子さんは本当に素晴らしい。美しかった」と感想を伝え、感激ひとしおの早川監督。監督ならではの鋭い視点の質問が次々と繰り出された。この鼎談の模様は3/20発売のキネマ旬報に掲載予定。

「ダルデンヌ監督は最も尊敬する映画作家」と想田和弘監督。作品を作るうえでどのようにリサーチを重ねているのかなどドキュメンタリー監督ならではの視点で質問が続き、ダルデンヌ監督も前のめりで答える展開に。質問の最後に互いの好きなところ、嫌いなところを尋ねられると兄弟ともに「すべてが好き」と答え、思わず現場はほっこりムードに。そして写真撮影の最後には想田のカメラでもセルフィ―。鼎談の様子は3/31発売の「週刊金曜日」にて掲載予定。

◎作家の天童荒太、小野正嗣、樋口毅宏と鼎談!

事前の打ち合わせで、本作への質問と監督の作品作りについての質問を大量に用意、高い熱量で鼎談に臨んだ天童荒太。鼎談前の挨拶で自身の作品「悼む人」のフランス翻訳版をダルデンヌ兄弟にプレゼントすると、「存じ上げています。ありがとう!」と笑顔を見せたダルデンヌ兄弟。その後、時間の許す限り、創作の根幹にあるものや監督たちの願いを尋ねるなど、まるで哲学談義のような非常に充実した鼎談に。鼎談後、「自分の書物を尊敬するダルデンヌ監督に渡せてよかった」「想像以上に温かい2人だった」と終始嬉しそうに語った。天童との鼎談の様子は公開日付近のAERAにて掲載予定。

『午後8時の訪問者』での来日時にも対面を果たしている作家の小野正嗣。フランス在住時に移民の方々と交流を持っていた小野ならではの視座から溢れる質問の数々に兄弟が懇々と答えていく。「移民について語るならドキュメンタリーという手法もあったのでは?」と問うと「できる。でも目の前で危険にさらされている人がいたら、カメラを置いて、その人を助けなければいけない」という監督の言葉に深く納得。後日「彼は本当のインテリジェンスを持ってるよね」とダルデンヌ兄弟は小野についてコメント。鼎談は4/7発売の文學界にて掲載予定。

2014年に公開された映画の中で『サンドラの週末』が一番好きだという、ダルデンヌ愛溢れる作家の樋口毅宏。「世界がどんどん悪い方向に向かっていく中で、“映画”ができることは何だと思いますか」という質問には「詩や小説や映画などの芸術は、一人の個人を変えることはできるけれど、集団を変えるのは少し難しい。ただ映画は一つの手段として、“こういう現状が起こっている”と知らせることはできると思う」という監督の言葉に、大きく頷いていた。映画の話のみならず、樋口の最新刊の顛末を話すと「え、なんで?」を繰り返した監督たち。今の日本や海外の現状などについても意見交換し、深みのある鼎談となった。鼎談の様子は3/31の映画公開日付近にLEON.JPにアップされる予定。

◎現役高校生×ダルデンヌ兄弟の鼎談が実現!

高校生にして一般社団法人 Sustainable Gameを設立し、現在も個人の活動として入国管理局に収容されているビザが取れない学生などのドキュメンタリーを制作するなど精力的に活動している高校3年生の山口由人さん。今回、最年少の監督取材参加者となった。山口さんが実際に会った難民の友人の話に対して、兄弟側からも質問するなど山口さんの話を終始前のめりで聞いてた。最後に兄弟が「君の未来が楽しみです」と笑顔で握手を交わし鼎談が終了。その後も山口さんと話した内容を、他のインタビューでも例にだすなど、兄弟二人にとっても充実した鼎談となったようだ。鼎談の様子はneoneo webにて公開日付近にアップされる予定。

◎念願の神戸牛を堪能!お土産を買ったり、新宿の人通りにも興味津々!?

今回6年ぶりの来日とあって、多くの媒体から取材を受けることになったダルデンヌ兄弟。タイトなスケジュールの中でも、常に笑顔を絶やさずお茶目な様子が印象的。この写真はそのひとコマ。タイムキープ用紙を持って、スタッフの真似をする兄のジャン=ピエール。笑いながら「僕と代わってよ!」と冗談交じりにスタッフにお願いする姿はとってもチャーミング。

また、日本食も好きだというダルデンヌ兄弟。滞在中は、寿司、蕎麦、焼魚定食、しゃぶしゃぶなど日本料理を堪能。来日最終日、サプライズでお店に連れていかれ、神戸牛だと知った瞬間、「最高だ!」と声を出して喜ぶ2人。ベルギーにいる家族に神戸牛を食べるんだとメッセージを送信。これまでの来日時と同様に、ジャン=ピエールは日本のビール、リュックは赤ワインで神戸牛を堪能した。

取材が終わり、OFFの日は買い物や観光を楽しんだダルデンヌ兄弟。上野の公園周辺を散策したり、深大寺ではだるま市に巻き込まれ、座敷の蕎麦屋であぐらを組みながら「これも経験」と微笑んだり。彼らは観光地に行くにしても、市井の人の営みに興味があるようで、「こんなに駅に家が隣接していて大丈夫なの?」と質問したり、ネギ畑の写真を撮ったり…と寺の写真は撮らずに興味はそういったものばかり。深大寺に近い調布駅は映画の街だけあって、駅構内の案内にフィルムの模様が施されているよ、と伝えると嬉々としてジャン=ピエールが写真を撮っていた。

買い物タイムではジャン=ピエールは急須、湯呑み、醤油差し、豆皿などの日本らしい食器を、リュックは初孫に甚平を購入。あと絶対必須のお土産は「お饅頭」だそうで、「白皮の小豆餡じゃないと!」と茶饅頭や抹茶餡、この季節に出回る桜菓子に脇目もふらずに白饅頭一直線。そして、日本製のノートも大量に購入。外国の紙に比べて書きやすいそうで、そのノートに新作のシノプシスを書きこんでいくとのこと。

買い物を楽しんだ後は、新宿で行き交う人々をパシャリ。2人併せて140歳越えとは思えない体力と行動力で無事に来日プロモーションが終了した。

作品タイトル:『トリとロキタ』
出演:パブロ・シルズ、ジョエリー・ムブンドゥ、アウバン・ウカイ、ティヒメン・フーファールツ、シャルロット・デ・ブライネ、ナデージュ・エドラオゴ、マルク・ジンガほか
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
2022年/ベルギー=フランス/カラー/89分/Tori et Lokita
映倫:G
配給:ビターズ・エンド

公式サイト:https://bitters.co.jp/tori_lokita/
公式Twitter:https://twitter.com/Dardenne_cinema
公式Facebook:https://www.facebook.com/Dardenne.cinema/

コピーライト:(C)LES FILMS DU FLEUVE – ARCHIPEL 35 – SAVAGE FILM – FRANCE 2 CINÉMA – VOO et Be tv – PROXIMUS – RTBF(Télévision belge)
Photos (C)Christine Plenus

3/31(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー!

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