菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、松本准平監督が登壇 『長崎―閃光の影で―』ワールドプレミアレポート

映画『長崎―閃光の影で―』の世界最速上映となるワールドプレミアイベントが7月6日、映画の舞台である長崎市のHAPPINESS ARENAにて開催され、菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、松本准平監督が登壇した。

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(左から)松本准平監督、川床明日香、菊池日菜子、小野花梨

イベントの冒頭、亡き祖父から譲り受けたというジャケットを着用して登壇した松本監督は、「僕はあの長崎の時津町の出身で、亡くなった祖父が被爆者でした。映画を始めた時に、いつか長崎原爆のことを描きたい、それを通して祖父のことを描きたいというふうに思って、今日この場に今日立つことができています、ありがとうございます。今日着ているこのジャケットは夏物ではないんですが、これは祖父から譲り受けた形見です。今日は祖父と一緒に、この場を見届けられればと思って着てきました」と感慨深げに挨拶した。

MCによる質問では、キャストたちが“役とどう向き合ったか”について語る時間が設けられた。菊池は「撮影期間中は、体も心も一度も休まることがなかった」と当時を振り返り、「1945年にたどり着けない不安、田中スミに近づけない感覚にさいなまれた」と語った。そのうえで、「自分ができる最大限の努力は、当時を想像し続けること。思考を止めないことだった」と真摯な姿勢をのぞかせた。

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小野は「役を通して何かの“光”になれるなら」という思いを抱いていたと語り、「全員が心を一つにして、日々撮影に向き合っていた」とチームの結束の強さを感じさせるエピソードを披露。

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川床も「80年前という時間の隔たりを埋めるには、自分一人の想像力だけでは足りなかった」と葛藤を吐露しつつ、「仲間と信頼し合いながら、丁寧に一つ一つのシーンに向き合った」と誠実に取り組んだ様子を明かした。

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イベント前日には、出演者らが実際の被爆者と面会する機会もあったという。その中で、キャスト陣が受け取った“記憶のバトン”についても、それぞれが思いを語った。

菊池は「これまでは爆心地周辺の惨禍ばかりに目を向けていたけれど、被害は“あの瞬間”だけではなく、今も続いていると気づかされた」と深く感銘を受けた様子で語り、「平和を願い、考え続ける責任が自分にもあると感じた」と決意を新たにした。

小野は、90歳の被爆者から聞いた「つらかろうが事実を伝え続けなければならない」という言葉にハッとさせられたと言い、「受け取ったものをしっかりと届けていかなければならない」という覚悟を語った。川床も「“平和の種を植え続ける”とおっしゃっていて、これから自分たちが受け継いでいかないといけないな」と、胸の内を語った。

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本作の制作背景についても、松本監督自らが言及。1988年に黒木和雄監督が手がけた『TOMORROW 明日』の“原爆投下前夜”を描いた作品に触れつつ、「今回は“その後”を描くことを託された」と語った。実在の看護学生の手記をもとに構成されたストーリーは、「すべてを破壊する原爆の下で、人間の命を救おうとした人々を描くことは重要なことだと思った」という強い思いから生まれたという。

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またこの日、会場ロビーには、島原出身の彫刻家・小鉢公史氏が本作に共鳴して制作した、一本のクスノキから作り出された看護婦の木造が展示された。松本監督は「こうして人の思いが共鳴し、つながっていくのが映画の力」と観客に語りかけた。

そして、イベント前に訪れた“被爆クスノキ”について、菊池は「木漏れ日の美しさに、生きていることのありがたさを痛感した」と話し、小野は「土地と人に共通するような温かさと力強さを感じた」と語った。川床も「これまでも、そしてこれからも、長崎を守ってくれる存在だと思えた」と言い、松本監督は「クスノキも一人の“被爆者”だと思う」と述べ、長崎の地に根差す“命”へのリスペクトをにじませた。

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さらに後半には、大石賢吾長崎県知事、鈴木史朗長崎市長が花束プレゼンターとして登場し、4人にメッセージを送った。

イベントの最後には、菊池が「本日は足を運んでいただき、本当にありがとうございます。この映画『長崎―閃光の影で―』は、今日登壇している私たち4人だけでなく、多くのキャスト・スタッフ、そして制作にご協力くださった方々の支えによって完成した作品です」と語り、「私の見た限り、誰一人として1945年の夏を妥協せず、心から真摯に向き合い続けていた」と、作品に込めた全員の思いを代表して観客へ感謝を述べた。

さらに、「このあと上映される109分間、そしてエンドロールの最後までじっくり観ていただけたら嬉しいです。その時間が、ここにいる皆さん、そして世界にとって、実りある時間になることを心から願っています」と言葉を結び、万感の思いを込めて舞台を後にした。

映画『長崎―閃光の影で―』は7月25日長崎先行公開、8月1日全国公開。

ストーリー
1945年、長崎。看護学生の田中スミ、大野アツ子、岩永ミサヲの3人は、空襲による休校を機に帰郷し、家族や友人との平穏な時間を過ごしていた。しかし、8月9日午前11時2分、原子爆弾が投下され、その日常は一瞬にして崩れ去る。街は廃墟と化し、彼女たちは未熟ながらも看護学生として負傷者の救護に奔走する。救える命よりも多くの命を葬らなければならないという非情な現実の中で、彼女たちは命の尊さ、そして生きる意味を問い続ける――

『長崎―閃光の影で―』
出演:菊池日菜子 小野花梨 川床明日香 水崎綾女 渡辺大 田中偉登 呉城久美 坂ノ上茜 田畑志真 松尾百華 KAKAZU 加藤雅也 有森也実 萩原聖人 利重剛 / 池田秀一 山下フジヱ 南果歩 美輪明宏(語り)
原案:「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」(日本赤十字社長崎県支部)
監督:松本准平
脚本:松本准平 保木本佳子
主題歌:「クスノキ ―閃光の影で―」(アミューズ/Polydor Records)
作詞・作曲:福山雅治 編曲:福山雅治/井上鑑 歌唱:スミ(菊池日菜子)/アツ子(小野花梨)/ミサヲ(川床明日香)
製作:岩本炯沢 荒木宏幸 吉田尚剛 髙田旭人 関顕嗣 川村英己 川畑年弘 福山雅治
制作プロダクション:SKY CASTLE FILM ふればり
推薦:日本カトリック司教協議会
後援:長崎県 長崎市 公益財団法人 長崎平和推進協会
配給:アークエンタテインメント
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
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7月25日(金)長崎先行公開 / 8月1日(金)全国公開

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