『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』検問シーン本編映像&監督メッセージ動画公開

第97回アカデミー賞国際長編映画賞のイラク代表作品『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』より、本編映像が公開。監督インタビューと監督メッセージ動画が解禁された。

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2009年、イラク戦争下のバグダッド。イラク戦争が奪ったのは、メッシに憧れる少年の左脚と夢。戦争に翻弄されながらも「サッカーへの想い」を胸に歩み続ける少年と、彼を懸命に支える家族の姿を描く。

19分間の短編映画として制作された『バグダッド・メッシ』は、2015年アカデミー賞短編実写部門の最終候補に選出され、世界中で高い評価を獲得。そして9年の歳月を経て、物語をさらに壮大なスケールへと昇華させた長編映画が本作である。

今回公開されたのは、片足を失った少年ハムディが地元サッカーチームへの入団を目指し、チームメンバーにテレビを見せることを条件に交渉を進める中、その大切なテレビが壊れてしまい、修理のために戦争で危険なバグダッドへ向かう父子の姿を捉えた一幕だ。

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父 ・カディムは危険すぎる道中を懸念して反対していたが、紛争で片足を失った我が子の唯一の希望であるサッカーを奪いたくない一心で、バグダッド行きを決意する。しかし、車に乗った親子を待ち受けていたのは、一瞬の油断が死に直結する検問所であった。

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兵士から開口一番問われたのは「宗派は?」という質問。カディムは自らの本当のアイデンティティであるシーア派であることを必死に隠し、命がけで「スンニ派だ」と偽る。さらに、理由もなく大切なテレビを取り上げようとする兵士に返却を懇願するカディム。しかしその願いを遮るように銃口が突きつけられる。

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この検問の裏には、イラクが抱える複雑な宗教対立の歴史が存在する。当時のイラクは少数派のスンニ派と多数派のシーア派に分かれており、少数派に属するフセイン大統領はスンニ派を優遇し、シーア派住民を抑圧していた。宗派の違いによる内戦状態に突入したイラクでは、双方が幹線道路で独自の検問を実施。スンニ派が支配する検問所でシーア派であることが露見すれば、彼らの命の保証はない。小さな荷台で寄り添い合い、過酷な運命に立ち向かう親子の姿が映し出されている。

『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』本編映像

サヒム・オマール・カリファ監督インタビュー

―短編を長編映画にすることになった経緯を教えてください。
元々短編として制作された本作は、2015年にアカデミー賞短編実写部門の最終候補に選出されたほか、多くの国際映画祭で受賞するなど、大きな成功を収めることができました。元から長編化を目指して立ち上がった企画ではありませんでしたが、この大きな反響を受けて、プロデューサーから「非常に力強い物語だから、ぜひ長編映画にしよう」と提案をいただいたのです。それから10年近い歳月をかけて脚本や登場人物を深く練り直し、長編として制作することを決断しました。短編をご覧になった皆様にとっても、改めて観る価値が十分にある作品に仕上げることを何よりも重視しました。

―映画の題材として「サッカー」を選んだ理由は何でしょうか?
イラクにおいて、サッカーは最も人気のあるスポーツの一つです。特に当時のような戦争のさ中においては、スポーツという存在が人々の心を支える極めて重要な役割を果たしていました。私自身、24年前にベルギーへ移住した際、それまでイラクでずっと続けていたサッカーをやめてしまいました。家族と一緒に移住でき、幸せなはずなのに、なぜか心が満たされない感覚が続いていたのです。「何かが足りない」と自問自答を重ねて気づいたのは、自分にとってその欠けていたピースがサッカーだったということでした。サッカーをやめてしまったから、幸せを感じられなくなっていたのだと気がつきました。だからこそ本作では、サッカーが持つ魔法や、人々を動かす力そのものを描きたかったのです。

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サヒム・オマール・カリファ監督とアフマドくん

―映画のタイトルにもなっている「リオネル・メッシ選手」をモチーフとして選んだのはなぜでしょうか?
実は映画を制作する前、私自身はメッシ選手に特別な思いがあったわけではありませんでした。ではなぜメッシだったのかというと、2009年にUEFAチャンピオンズリーグ決勝(マンチェスター・ユナイテッド対バルセロナ)があり、そこでメッシ選手が大活躍をしたからです。当時、世界で最も象徴的な選手のひとりだった彼をタイトルに据えれば、一目で「サッカーを巡る物語だ」と理解できると考えました。ただし同時に意識していたのは、ストーリーがメッシ中心になりすぎないようにすることです。これはメッシの物語ではなく、あくまでイラクの物語であるということを常に念頭に置いて制作しました。
しかし何より嬉しい驚きだったのは、タイトルに名前を使わせていただいた後の周囲の反応でした。なんとバルセロナが公式にこの映画を取り上げて紹介してくれ、メッシ選手本人も本作の存在を知ってくれたのです。彼らが作品や、主演を務めたアフマド君のことを多くの人々へ発信し応援してくれたことには、心から深く敬意と感謝を抱いています。

―監督が考える「戦争がもたらすもの」とは何でしょうか?
イラクは常に戦争と隣り合わせの国でした。当然、戦争は即刻終結すべきものです。しかし戦争は破壊をもたらす一方で、人々や社会を大きく変革させる力も持っています。かつてヨーロッパや日本が悲惨な戦争を経て大きく発展したように、イラクにもまた、未来へ向けて変わっていく可能性があると信じています。

―日本の観客の皆様へのメッセージをお願いします。
私の母国の物語を、日本の皆さんと共有できる機会をいただけたことを大変嬉しく思っています。私は常に、観客の方々が映画館を出て家に帰った後も、描かれた物語や登場人物たちに思いを馳せ、深く心に残り続けるような作品づくりを目指しています。イラクは、子どもたちが子どもでいられる時間が短く、ヨーロッパなどの諸国に比べても、あまりに早い段階で大人になることを強いられてしまう国です。本作をご覧になった後は、ぜひ彼らが置かれた現実や物語、登場人物の胸中に深く思いを巡らせてみてください。それこそがこの映画の核心であり、そこからきっと新しい発見があるはずです。

『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』監督メッセージ動画

『バグダッド・メッシ ⽚⾜のサッカー少年』
出演:アフマド・モハメド・アブドラ、ザフラー・ガンドゥール、アセール・アデル
監督:サヒム・オマール・カリファ
2023年|イラク、ベルギー、オランダ合作|アラビア語、クルド語|84分|シネスコ|カラー|5.1ch|原題 Baghdad Messi|日本語字幕 長夏実|後援 イラク共和国大使館|提供 ハーク|
配給:Elles Films
(C) A Team Productions | Column Film | 10.80 Films | Macgyver

8月7日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

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