人間国宝・野村万作を追ったドキュメンタリー『六つの顔』 尾上右近、竹下景子ら著名人からのコメント到着

ドキュメンタリー映画『六つの顔』(8月22日公開)をいち早く鑑賞した著名人より、コメントが到着した。

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650年以上にわたり受け継がれ、人々を魅了してきた「狂言」。その第一人者であり、芸歴90年を超える今もなお、現役で舞台に立ち続ける人間国宝の狂言師・野村万作。本作は、ある特別な1日の公演に寄り添い、野村万作が磨き上げてきた珠玉の狂言「川上」と人生の軌跡に迫る。

監督は、『ジョゼと虎と魚たち』、『のぼうの城』の犬童一心。アニメーションを『頭山』の山村浩二、ナレーションをオダギリジョー、監修を野村万作と野村萬斎が務める。豊かな映像表現で織りなす、至高のドキュメンタリー映画が誕生した。

この度、歌舞伎俳優の尾上右近、俳優の竹下景子、現代美術家の杉本博司、漫画家の山岸凉子、成田美名子、元大関 貴景勝の湊川親方、映画評論家の森直人より、下記のコメントが寄せられた。

コメント(※順不同・敬称略)

「芸は人なり」。その言葉の真髄を拝見した思いです。万作先生の道を歩かれるお姿、お舞台に立たれるお姿、インタビューにお答えになるお姿、そしてナレーションに吹き込まれたそのお声。存在そのものが芸なのだと感じました。若輩の身で生意気を申し上げてすみません。
この映画は人間がひとつのことをやり続けることの素晴らしさ、尊さ、厳しさ、楽しさを観る人にひしひしと伝える大名作だと思います。最大限の尊敬を込めて。
尾上右近(歌舞伎俳優)

和泉流だけに伝わる「川上」に狂言の真髄を見ました。揚幕の後ろに控える万作先生の背中にはお父様、お祖父様、弟の万之介さんの魂も宿っています。幕が上がり踏み出した足取りは、とこしえに時を刻む時計のよう。そして、主人公の喜びや哀しみ、深い情愛が切々と伝わってきました。様式美の中にあるリアルだと思いました。
竹下景子(俳優)

私は野村万作のいくつもの顔を見てきた。パリでのフェスティバル・ドートンヌに招聘された時、私は迷わず、狂言師野村家3代に共演してもらうことにした。万作の演目は「月見座頭」。
盲目の老人が月見をするという、実存主義的な主題がフランス人の心に響くと読んだのだ。万作はすでに老境にある、その老人が老いを演ずるのだ。杖を叩いて舞台に登場した時、その存在感に私は痺れた。老いが老いを超えて、劇的とは何かという主題が顕現していた。
杉本博司(現代美術家)

私は大相撲という世界に身を置いていますが、同じ日本の伝統芸能である狂言の素晴らしさをこの映画で勉強させていただきました。野村万作さんが93歳という高齢でも舞台に立ち続ける信念や、表現する事の美しさは、28歳の自分にとって大きな活力になりました。狂言「川上」では極限状態での選択を迫られた夫婦の絆について考えさせられました。私も今後、日本の国技「大相撲」を次の世代に伝えていけるよう微力ながら精進してまいります。
湊川親方(元大関 貴景勝)

朝日新聞に正座に関しての記事があり、そこに載っていた野村万作さんの写真が目を引いたのです。なぜならそこには何の気負いもなく、それでいて何ものにもおかされることのない自然体の美しさがあったから!
この『六つの顔』の中で演じられる「川上」にも、動きや声音に少しも力みがなく、それでいて回りの情景や隣にいるであろう参詣者の姿までハッキリと見えるのです。狂言にしてはシビアな結末にも悲しみを優しさが包み込み、橋がかりを去っていく後姿から目がはなせなかったのです。
山岸凉子(漫画家)

20年程も前、初めて観たときに「これでいいのか?」と思った「川上」。その後何度か観て「これでいいのだ」と思った「川上」。
歳を取って自分が変わったのか、役者さんがそう演じられたのか。シテはどれも万作さんだった。そしてこの映画の「川上」は…
できたら多くの方に、観て、感じてほしい。私ももう一度行ってきます。
成田美名子(漫画家)

『名付けようのない踊り』に続くこの見事な一篇で、筆者は“ドキュメンタリー映画作家・犬童一心”のファンになっている。
ダニエル・シュミットの『トスカの接吻』や『書かれた顔』などと同様に、『六つの顔』はシネマの文体による柔らかい手招きで、我々を伝統文化の探究への道にそっと立たせてくれるのだ。
森直人(映画評論家)

『六つの顔』
出演:野村万作
野村萬斎 野村裕基
ナレーション:オダギリジョー
監督・脚本:犬童一心
製作:万作の会
制作プロダクション:ROBOT
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C) 2025 万作の会
https://www.culture-pub.jp/six-face

8月22日(金)よりシネスイッチ銀座、テアトル新宿、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開

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