本日公開の映画『ふつうの子ども』より、蒼井優と呉美保監督の対談インタビュー映像が公開された。

本作は、『そこのみにて光輝く』(14)『きみはいい子』(15)の監督・呉美保と脚本・高田亮が三たび手を組み、今の日本に生きる子どもたちと、彼らと同じ時間に向き合う大人たちにフォーカスした作品だ。
主人公の唯士には、嶋田鉄太が抜擢され、唯士が恋心のようなものを抱く、大人びた同級生の心愛を瑠璃、そして二人と一緒に“環境活動”を始める陽斗を味元耀大が演じる。
さらに、唯士の母親・恵子には、蒼井優。唯士の担任教師・浅井役には風間俊介。また心愛の母親・冬役を瀧内公美が演じた。

まず、今回唯士の母・恵子役を蒼井にオファーした理由について、呉監督は「今回“初めまして”ですが、私は一方的に蒼井さんの作品を観続けていました。ホントに憧れで大好きな俳優さん。蒼井さんがティーンエイジャーの時から、その時代その時代で常に旬である俳優さん」と熱い思いを語ったうえで、「今回お願いさせていただいたのは、母親役をどういう人にしてもらったらいいのかなと思ったときに、これは“ふつうの子ども”っていうタイトルにあるように、“ふつうの家族”でもやっぱり一人一人ちゃんと個性があるよねっていうものを描きたかった。ちょっと間違ってしまったらステレオタイプな話になってしまうのを、そうではないものにしてくれる方って誰だろうと思ったときに“蒼井優さんしかいない!”」と思ったという。

そして「現場では、自分の作品だからというのもあるんですけれども、凄くベストに大好きなお芝居を生で見させていただきました。蒼井さんがお母さんになられたっていうのもあるから、その肩の力の抜け具合が凄く私は心地よかった」と撮影時を振り返り、「すごいプロだと思いました」と絶賛。

監督からの熱い言葉が続き、恐縮した表情の蒼井は、本作出演オファーを振り返り、「“呉さんからやっとお話しいただけた!”と思いました。“いつか”って思っていたのですごく嬉しかった」と念願の呉作品出演だったことを明かす。さらに「台本読んだら“今回こっちなんだ!”と。“これを呉さんが撮られるんだ。絶対面白いじゃない”って思って、すぐ“やります!”」と答えたという。この言葉には、呉監督も「ホントにありがたかった!」と大きく頷き笑顔。お互い相思相愛での初タッグだったことがうかがえる。

続いて、話題は蒼井が演じた唯士の母・恵子をふくめ、唯士、心愛、陽斗の3人の母親のうち、自分はどのタイプか?という話へ。
物語の終盤、その3人の親が会する場面は、蒼井そして心愛の母を演じた瀧内公美らが圧巻の演技を見せるが「私はその3人の親(の要素)は全部あると思いました」と呉監督。一方、蒼井は、「私は(自分が演じた)恵子です」と唯士の母のタイプだという。さらに、蒼井は瀧内公美との共演裏話も披露する。

そして働くママとして呉監督は「子どもファーストだった」と本作の撮影現場を通して感じたことを振り返り、蒼井は「もっとのびやかな脳みそでいたいな、というのはすごく感じました」と語る。
「私たちからしたら夕方までに撮影が終わって、と思うけれど、子どもたちの頭の中はいっぱい、その時間でいっぱいいっぱい働いて、みんな本当に“やり切った!”という感じでいつも帰っていました。(その様子を見て)そのエネルギーの消費の仕方ってすごく学ばせてもらってましたね。私も“まだまだ脳が使えるぞ”と思いながらやっていました」と撮影現場での良い雰囲気も垣間見られる対談インタビューとなっている。
テアトル新宿ほか全国公開中