
本作オープニングのタイトル・デザインには、今や紙幣コレクターの間でしか流通していない東ドイツマルク札の図案がさまざまにコラージュされて使われている。紙幣の細部を万華鏡を通して見たような幾何学模様がカラフルに回転する。

タイトル・バックに流れるのは、カナダのブルーグラス/フォークロック・バンド、デッド・サウスの代表曲“In hell I’ll be in good company”(地獄に墜ちても退屈はしないさ、の意)。しゃがれ声のヴォーカル、哀愁の口笛と軽快なバンジョーの音色、チェロを叩く打楽器的なリズムが心地よい名曲だ。

続けて画面上は、キャスト/スタッフの人名クレジットを彩るように、ドイツ史上の偉人たちの肖像画の図案が、CGI加工によって立体的にコラージュされていく。
デザインは、フィルムグラフィック社のオリー・ペータースとスヴェン・ツューゲが担当。ツューゲはハリウッド大作『インクレディブル・ハルク』と『スピード・レーサー』(共に2008年)のタイトル制作にも参加している。
著名人・専門家コメント(順不同・敬称略)
マライ・メントライン(翻訳・通訳・文筆業)
まさかの東西ドイツ統一が急に実現を見せたその歴史的瞬間。歓喜と驚きの裏でひそかに始まっていた、マネー&資源の争奪戦。俺たちは搾取「する」のか「される」のか。ドイツ的にクソマジメな集団大泥棒活劇が、いま始まる!
吉川美奈子(字幕監修)
通貨統合と東西再統一を目前に控えて大混乱の東ドイツ。そんな中、大量の埋蔵金が見つかった。これが史実だなんてヤバすぎる。さあ、どうする?!転んでもただじゃ起きない、ハルバーシュタット市民の熱い夏。
柳原伸洋(東京女子大学・歴史文化専攻)
東ドイツ出身の役者たちの演技が光る。共演「車」もトラバントやバルカスといった東ドイツ車たち。まん丸なヘッドライトが光り、人類を見つめて問う。「資本主義の未来は、本当にこれで良いのか」と。21世紀に響く、東ドイツからの声をぜひ聞いてほしい。
金原由佳(映画ジャーナリスト)
「こんなことがあるなんて!」と驚く私に、ザンドラ・ヒュラーは静かに語った。
「旧東ドイツで育った人に根付く姿勢は、わたしではなく、わたしたちが、と考えること」
わたしではなく、わたしたちが苦境を乗り越える術について、笑いながら、考えさせられる。