冨永昌敬監督最新作『白鍵と黒鍵の間に』（10月6日(金)公開）のメイキング映像が解禁された。
本作の舞台は昭和末期、夜の街・銀座。未来に夢を見る「博」と夢を見失っている「南」。二人のピアニストの運命が大きく狂い出す一夜を描く物語。原作はジャズミュージシャンで、エッセイストとしても才能を発揮する南博の「白鍵と黒鍵の間に-ジャズピアニスト・エレジー銀座編-」。ピアニストとしてキャバレーや高級クラブを渡り歩いた3年間の青春の日々を綴った回想録だが、共同脚本を手がけた冨永監督と高橋知由が一夜の物語に大胆にアレンジ。南博がモデルの主人公を「南」と「博」という二人の人物に分けて、“3年”におよぶタイムラインがメビウスの輪のようにつながる“一夜”へと誘い、観る者を翻弄する。
そんな本作で、夢に向かって邁進する若きピアニストと、夜の街のしがらみに囚われて夢を見失ってしまったピアニスト、というある意味対極にいる二人の人物を見事に演じ分けた池松は、役として必要不可欠なピアノ演奏でも観る者を魅了している。挑んだのは、劇中、弾いてはならないあの曲として重要な場面で流れる「ゴッドファーザー 愛のテーマ」。しかも、本作の音楽を担当した、いまジャズ界で最も注目される若きピアニスト・魚返明未によるジャズアレンジver.となっており、難易度がグッと上がった名曲だ。
池松自身、本作のオファーを受けるタイミングでは、ピアノ経験はほぼゼロに等しかったと言うが、自ら「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を演奏することを宣言。ジャズのアレンジが入っている曲は譜面に落とすのが難しいといい、練習は魚返が弾いた音源を元に、耳で聴きながら弾いてみることを繰り返していたという。あまりの難しさに“弾くなんて言わなきゃよかった…”と後悔する事もあったというが、半年間の猛特訓を経て、見事に習得する俳優魂を見せつけた。今回解禁された映像では、集中してピアノに向き合う姿が映し出されており、繊細なタッチと真剣な様子でピアノの音色を奏でる様子は、本物のピアニストさながらの雰囲気を纏っている。
ピアノの猛練習と緻密な役作りを経て披露された撮影時の演奏は、生粋のジャズ好きを公言し、ジャズ喫茶で10年以上もアルバイトを続けていた冨永監督も絶賛するほどで、その演奏を聴き、急遽池松が演奏した音楽をそのまま本編に活かす方向に変更したという。
そんな本作は、「odessa EDITION」で上映されることも決定。
スタジオクオリティのスピーカーを導入し、各劇場ごとに配置・チューニングされたテアトルシネマグループ独自音響である「odessa」システム。その特徴を最大限に活かすため、実際の劇場でマスタリング作業を行われたのが今回の「odessa EDITION」。今までにないプロセスを組むことによって、より映画館ごとに最適化された音響体験と鑑賞環境を提供することを可能にした。なお、実際にサウンドを構築したエンジニアの兼重哲哉からコメントも寄せられている。
■ 兼重哲也 コメント（敬称略）
「なんて情熱的なんだ！」劇場と音響のスタッフの方々の「音」に対するお話を伺ったときの、第一印象でした。
もっともっと臨場感を出せるサウンドシステムを構築したい。ワイドに再生できる「odessa」の可能性を存分に活かして欲しい。
打ち合わせをさせていただく中で、「実際にテアトル新宿さんで作業を行わせていただけないでしょうか？」という提案をさせていただきました。お客さんがいなくなった夜間に行われた作業。映画制作に携われた、たくさんの音響のスタッフの方々から受け取ったサラウンド音源というバトンを、odessaにどう届けるか。当初は「リマスタリング」という想定でしたが、作業が進むにつれ、これは「オプティマイズ」ということなんだと、意識が変わっていったのを覚えています。足を運ぶエンターテインメントの醍醐味は「体感」一択。odessaの臨場感は耳で、スタッフの方々の情熱は肌で。少しでも感じていただけたら、うれしいなと思っています。
odessa EDITION 実施劇場
ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル新宿、シネ･リーブル梅田、シネ･リーブル神戸
※その他、詳細は下記をご確認ください。
『白鍵と黒鍵の間に』odessa EDITION上映 ウェブページURL
https://ttcg.jp/topics/2023/09251700_24318.html