映画『旅立つ息子へ』ニル・ベルグマン監督のインタビューが到着&新場面写真解禁! ―3月26日(金)公開

旅立つ息子へ

2020年カンヌ国際映画祭など世界中の映画祭に正式出品され観客を感動で包んだニル・ベルグマン監督最新作『旅立つ息子へ』が3月26日(金)にTOHOシネマズ シャンテほか全国公開される

世界でいちばん愛する息子のために、キャリアも捨て、子育てに人生を捧げてきた元グラフィックデザイナーの父。田舎で2人だけの世界を楽しんできた。ところがある日、彼らに突然の試練が訪れて…。自閉症スペクトラムを抱える息子を全力で守る父と、父の愛を受けとめて心優しい青年に成長した息子。世界中で共感と感動の涙がこぼれた、実話を基にした感動作。

監督はイスラエルを代表する巨匠ニル・ベルグマン。1969年イスラエル・ハイファで生まれ、98年にエルサレムのサム・スピーゲル映画テレビ学校を優秀な成績で卒業。父親を失った家族の崩壊と再生を描いた『ブロークン・ウィング』(02)で長編デビューし、第15回東京国際映画祭でグランプリ受賞。小さい頃、監督自身の両親が離婚した経験をきっかけに描かれた。二作目の『僕の心の奥の文法』(10)では、思春期の心の揺れと大人への抵抗を描き、第23回同映画祭でグランプリを受賞、史上初にして唯一、東京国際映画祭で二度のグランプリ受賞を果たした。

『ブロークン・ウィング』
(c) Public Relations – Norma Productions
『僕の心の奥の文法』
(c)Binyamin Chiram

原作の「The Book of Intimate Grammar」を読んだ時、自分の人生と重なったことから映画化したという。脚本家ダナ・イディシスの自閉症スペクトラムの弟と父親をモデルに描かれた長編5作目の本作は、イスラエル・アカデミー賞で監督賞、脚本賞、主演男優賞、助演男優賞受賞を総ナメし、世界中で高い評価を得て話題を呼んだ。自らの体験も重ね、繊細な家族の姿を描き続けてきたベルグマン監督。続く監督インタビューでは本作への思いを語る。

ニル・ベルグマン監督
(c) Dan Hirsch

まずこのテーマで映画を撮ろうと思ったことについてベルグマン監督は振り返る。「自閉症スペクトラムの息子を育てる父親を描いていますが、私はシンプルに“父親”を描きました。私自身、初めて父親になった日に息子を見て、心が震えたからです。この子は世界で一番、おだやかで優しく、壊れやすい存在だと。私は危険な世界から、この子を守れるだろうかと。本作のアハロンも同じことを考えたはずです。」と父親になって初めて感じた思いを重ねたと語る。

親子を描く上で、監督自身が意識したことについて「息子を守ろうという父の思いは、国境や文化を越えて共感を呼ぶものだと思います。危険な世界から愛しい誰かを守るというテーマは、身近なものですからね。私は劇中にある“ねじれ”がとても気に入っています。父親は息子のためにキャリアを捨てたのではなく、自分の繊細かつもろい性格ゆえに、子育てという盾を手にして現実逃避したのです。実は息子を利用しているのです。アハロンを苦しめる葛藤は、人生に悩む人々の共感も得られると思います。」と父の愛だけではなく、その裏にあるねじれを巧みに描く。

キャラクターのリサーチについては「ウリ役のノアム・インベルと私で、自閉症スペクトラムの人々が暮らす施設へ数カ所出向きました。そこで分かったのは、自閉症スペクトラムはかなり幅広いということです。施設で出会った人々は、それぞれが違い特別だったので、私たちもウリのキャラクターを、特別なものにしようと試みました。」と話す。

本作の参考にした映画については「撮影監督のシャイ・ゴールドマンと、カメラと登場人物との間に、適切な距離感がある作品を参考にしようと話していました。選んだのはケネス・ロナーガン監督の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(16)です。思いやりをもって彼らを観察しているような透明感ある演出に、感銘を受けました。私たちが目指したのは、この方法にならい、登場人物と彼らの関係性によって展開されていく映画でした。」とコメント。

好きな日本の映画について尋ねられると「小津安二郎や黒澤明といった名匠はもちろん、滝田洋二郎監督、北野武監督、そして是枝裕和監督を尊敬しています。イスラエルで最も有名な映画評論家の1人から、本作と是枝監督の作品を比較され、とても誇りに思いました。」と語る。

本国イスラエルではコロナ禍の影響により、まだ公開の目処が立っていない本作。そんななか、縁ある日本でいよいよ公開を迎える。最後に、日本の観客に向けて「この映画が上映される瞬間、どれほど皆さんと一緒にいたいか、どれほど皆さんと一緒にこの映画を感じたかったか。私は本当に日本が大好きで、観光客として、また2度もグランプリをいただいた東京国際映画祭に監督として訪日しています。この映画では、日本的なものを感じてもらえると思っていますが、それが何かは私はうまく説明することができません。きっと皆さんの方が、発見し、理解してもらえるものと信じています。この映画を観て、共感して、楽しんでもらえますように願っています。そして近い将来、お会いできる日が来ることを心待ちにしています。その時まで、皆さんと、皆さんの大切な人たちの健康を祈り、一日も早く日常に戻ることを祈っています。」と思いを語り、インタビューを締めくくった。

あわせて解禁された新場面写真では、息子ウリを心配げに見つめる父親アハロンの姿、リゾート地でふたり離れて腰掛けている場面、愛おしそうに体を寄せあっているカット。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を彷彿とさせるような親子の繊細な瞬間を絶妙に捉えている。

是枝裕和監督作品と並べられるように、これまで家族の心の機微を捉え続け、東京国際映画祭では2度のグランプリ受賞を果たしたベルグマン監督。父親の愛だけでなく、その裏にある複雑な“ねじれ”も描くほど巧みに親子の姿を描く。国境や文化を越えて共感を呼ぶ、涙なしでは観られない父親の愛を描いた『旅立つ息子へ』は3月26日(金)より公開。

ストーリー
売れっ子のグラフィックデザイナーを引退したアハロン(シャイ・アヴィヴィ)は、ひとり息子のウリ(ノアム・インベル)と田舎町でのんびりと2人暮らししている。実はウリは自閉症スペクトラムを抱えていて、アハロンが24時間、世話してきたのだ。しかし、別居中の妻、タマラ(スマダル・ヴォルフマン)は将来を心配して、全寮制の特別支援施設への入所を決める。定収入のないアハロンは養育不適合と判断され、裁判所の決定に従うしかなかった。入所の日。ウリは大好きな父との別れにパニックを起こしてしまう。アハロンは決意した。「息子は自分が守る」こうして2人の逃避行が始まった。

作品タイトル:『旅立つ息子へ』
出演:シャイ・アヴィヴィ、ノアム・インベル、スマダル・ヴォルフマン
監督:ニル・ベルグマン(『僕の心の奥の文法』第23回東京国際映画祭グランプリ受賞)
脚本:ダナ・イディシス
2020年/イスラエル・イタリア/ヘブライ語/94分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/英題:Here We Are/日本語字幕:原田りえ
PG12
配給:ロングライド

公式サイト:https://longride.jp/musukoe
公式Twitter:https://twitter.com/musukoe_movie
コピーライト:(C) 2020 Spiro Films LTD.

3月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

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