杉咲花、南琴奈、板垣李光人、蒼井優が「私のミーツ・ザ・ワールド」を発表 『ミーツ・ザ・ワールド』公開記念舞台挨拶

映画『ミーツ・ザ・ワールド』の公開記念舞台挨拶が10月25日に東京・新宿バルト9にて開催され、杉咲花、南琴奈、板垣李光人、蒼井優、松居大悟監督が登壇した。

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左から松居大悟監督、南琴奈、杉咲花、板垣李光人、蒼井優

歌舞伎町を舞台に、擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」をこよなく愛するも自分のことは好きになれない27歳の主人公・由嘉里(杉咲)の新たな世界との出会いを描く本作。原作は、第35回柴田錬三郎賞を受賞した金原ひとみの同名小説。自著の映画化は、第130回芥川賞を受賞したデビュー作「蛇にピアス」以来17年ぶりとなる。

主人公・由嘉里を演じた杉咲は、役作りについて「まず原作の人物造形の素晴らしさがあると思うんですけど、クランクインする前に演出部のスタッフさんたちがいろんな方々にリサーチをしてくださったり、自分でもSNSを見たり、実際にお会いして、お話をお聞きしたりして、監督と一緒に試行錯誤して由嘉里を探していった感じでした」とふり返る。

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南は、希死念慮を抱える美しいキャバ嬢のライを演じたが「ライは掴みどころがないというふうに捉えていました。がっしりと掴めてしまうのも違うのかな…?と思っていて、監督には『オーディションの時のような、そのままでいてほしい』という言葉をいただいていたので、なるべく自然体でいられるように考えていました」と明かす。ライの仕事面に関しては「事前にお店にお伺いしてお話を、仕事内容から私生活までざっくばらんに聞かせていただきました」と明かす。

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ホストのアサヒを演じた板垣も、実際にホストの方に事前に話を聞いてリサーチしたそうで「本当に全部参考になりました。日々のこと、どういうルーティンで生活してらっしゃるのかもそうですし、実際にお店に伺ったときに、みなさんから名刺をいただいたんですが、それがすごくキラキラしていてキレイな名刺が印象的で、劇中でもアサヒの名刺を作っていただきました。それが現場でも人気で、スタッフのみなさんに渡し歩いたり(笑)。実際にうかがわないとわからない部分があって、肌で感じられたのは演じる上で大きかったです」と述懐。

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蒼井は毒舌な作家のユキを演じたが、松居監督との長編作品での仕事は2016年公開の『アズミ・ハルコは行方不明』以来。同作の撮影が行われたのは10年前(2015年)となるが蒼井は「10年ぶりにご一緒できて嬉しかったです」とニッコリ。

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「あの当時、29歳か30歳くらいで、プロデューサーも同い年で、私にとっては“最後の青春”で、商業映画ではあったんですが、マインドは学生映画をつくっているような『熱量と愛でどうにかするぞ!』みたいなところがありました。10年ぶりの今回もそういうところはあるんですけど、少しだけお互いに大人になって…『あぁ、10年経ってもこうやって映画に対する愛情を失うことなく再会できたことが嬉しいな』と思いました」としみじみ。

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蒼井の愛情あふれる言葉に松居監督も「嬉しいことを言ってくれますね…。プロデューサーとかスタッフ、役者とか肩書きに関係なく、全員野球みたいにつくった映画で思い出に残っています」とふり返り、今回の蒼井の出演に関して「『出ていただけるかな?』と思ったんですけど、祈りながら返事を待っていました」と語った。

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蒼井は「どこかで、私の中でアズミハルコという役をやらせていただいて、ハルコが出会う人がこうだったら、きっとユキになっているだろうな…と何となく、自分の中で勝手なストーリーがあったので、やりたいなと思いました」と出演を決めた理由を明かした。

本作は食べるシーンが多く登場し、非常に魅力的にスクリーンに描き出されるが、松居監督は「生きることと食べることってつながってくると思った」と食事のシーンへの思いを語る。

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杉咲は印象深い食事シーンとして「ラーメン屋さんのシーンが何度か出てくるんですが、そのラーメンが本当においしくて、みんなカットが掛かった後もずっと食べてました(笑)」と明かし、蒼井も「(夜中に撮影を行なう)ナイトシフトが多かったんですが、深夜のラーメン最高でした!」と満面の笑みを浮かべ「本当に花ちゃんが素晴らしくて、こんなに泣ける食べ方あるか!っていう感じなので、ぜひ楽しみにしていただけたら」とコメント。

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そして、この日は映画にちなんで、キャスト陣が自身にとって新しい世界との出会いとなった経験を発表。
杉咲は「山」と書かれたフリップを掲げ「ずっと登山がしたかったんですが、最近、やっと行けて、木曽駒ケ岳に登りました。すっごくキツかったんですけど、山頂で食べたサラミがメチャクチャおいしくて…『こんなにおいしかったんだ!』と。初めて経験して幸せでした」と苦しい登山の末に山頂で体験した感動を明かした。

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南は「コーヒー」との出会いで新たな世界の扉を開けたそうで「本当に最近、2週間くらい前に飲めるようになりました。ずっと苦手で『まだ飲まなくていいや』という気持ちだったんですが、高校を卒業して一日お仕事ができるようになって、眠くなった時にスタッフさんから『コーヒーいかがですか?』と言ってもらえることが増えて、飲んでみたらおいしかったです」と笑顔を見せた。

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板垣の“ミーツ・ザ・ワールド”は「海外での仕事」。最近、韓国での仕事があったそうで「ヘアメイクさんとかも韓国のクルーの方だったんですけど、韓国のメイクさんはホクロとかを一度、全部消すんです。僕は目の下にホクロがあるんですけど『これは活かしますか?』と聞かれて『はい、活かします』と言ったら、一度消されて、上から描かれるんです。日本で仕事をしている感覚や価値観と全く違うので、日本で仕事をする上でも、いままで自分がやってきたことと違う経験をすると、良い刺激になるなと思いました」と語った。

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蒼井は「30歳」と書かれたフリップを見せ「30歳になった瞬間に、自分の中でしっくりくる年齢になったぞという感じがありました」と告白。先ほどの話にもあるように、当時は松居組で仕事をしており「(本作の由嘉里、ライ、アサヒの)3人が過ごしたような時間を松居組のみんなと過ごしていて、30歳になったタイミングで、同じ映画界で異業種の仲間がいるということの心強さもあって、『私の足で立った』という感じがして、新しい扉が開いた気がしました」と改めて10年前の松居組での経験が自身のキャリア、人生においても特別なことだったと語る。この蒼井の言葉に松居監督は「家に帰って泣いちゃうかもしれないです」と感慨深げだった。

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舞台挨拶の最後に松居監督は「『ミーツ・ザ・ワールド』は他人と自分を比べて落ち込んでしまったり、人や周りに気を遣い過ぎて疲れてしまったり、そういう時代になってしまっているなと思った時に、この映画を見て少しでも息がしやすくなればという祈りを込めてつくりました。映画の中の登場人物や新宿が活き活きとしていると思いますので、ぜひ楽しんでください」と呼びかける。

蒼井は「由嘉里がいろんなものにぶつかりながらも真ん中に持っているものは、この世界を生きていくのに必要なものなんじゃないかと私は感じました。みなさんも私も、由嘉里が持っている温かさ、ピュアな部分に自信をもって、これからもいろんな人と出会っていくことを一緒に楽しんでいけたらと思います」と語る。

板垣は「この物語の主人公は由嘉里ですが、見てくださるみなさんの中にも由嘉里はたくさんいて、自分のアイデンティティがわからなかったり、何かをあきらめてしまっている心の片隅に、そっと寄り添ってくれるような作品になっているのではないかと思います。寒くなってきたので、ちょっと心がこの映画で温かくなっていただけたらと思います」と優しく語り掛ける。

南は「生きていたら、いろんな人との出会いがあって、価値観が合わなかったり、生きてきた環境が違ったり、本当にいろんな人との出会いがあると思います。わかり合えなさに直面した時、わかり合えないからと境界線を引くのではなく、絶妙な距離感で人と人が思いやっていく温かさは愛おしいものなんだと、この映画で感じました。見ていただいた方が『明日も頑張ろう』と思えたり、『好きなものを好き』って言えたり、そんな優しい力が与えられていたら嬉しいです」と映画に込められたメッセージを口にする。

そして、杉咲は「この撮影期間をすごく苦しい日々だったなと思い返していました。私は、あまり演じる時に個人的な感情を持ち込む方じゃないんですが、それでも由嘉里を演じていて、他者と自分を比較してしまうところとか、自分を好きになれない部分とか、なんだか他人事じゃない、他人に見せてはいけないものを見せているような感覚になる撮影の日々でした。撮影中はその苦しみの中にいて気づかなかったんですけど、完成した映画を客観的に見た時、そういう他人に見られて恥ずかしいなって思うところを案外、人は面白がってくれるかもしれないと気づいて救われました。自分を好きになれなくてもいいから、そういうところも含めて自分だと思わせてもらえる、エールをもらえる作品になりました。見てくださるみなさまの心の琴線に触れてくれたら嬉しいです」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。

『ミーツ・ザ・ワールド』
出演:杉咲花 南琴奈 板垣李光人 くるま(令和ロマン) 加藤千尋 和田光沙 安藤裕子 中山祐一朗 佐藤寛太 渋川清彦 筒井真理子 蒼井優
(劇中アニメ「ミート・イズ・マイン」)村瀬歩 坂田将吾 阿座上洋平 田丸篤志
監督:松居大悟
原作:金原ひとみ「ミーツ・ザ・ワールド」(集英社文庫 刊)
脚本:國吉咲貴 松居大悟
音楽:クリープハイプ
主題歌:クリープハイプ「だからなんだって話」(ユニバーサルシグマ)
2025年/日本/カラー/アカデミー(1.37:1)/5.1ch/126分/G
配給:クロックワークス
(C)金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会
mtwmovie.com

全国公開中

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