【レポート】片渕須直、池上彰が信友監督と連続トーク!『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』

ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~

令和元年度文化庁映画賞・文化記録映画大賞を受賞するなど、高い評価を得たドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』(18)の続編、『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』の公開を記念して、映画監督の片渕須直、ジャーナリストの池上彰をゲストに迎えたトークイベントが2会場で実施された。

本作は、東京でディレクターとして働く信友直子監督が、広島県呉市で暮らす認知症の母親と、耳の遠い父親の生活をありのままに映し、大ヒットしたドキュメンタリーの続編。母親の入院と、新型コロナの世界的拡大により、いつも一緒だった夫婦が顔を合わせることさえままならなくなった現実を、笑いあり、涙ありで映し出している。

新宿武蔵野館で行ったトークイベントには、アニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の片渕須直(映画監督)をゲストに迎え、同じ呉を舞台にした作品というだけではない両作の縁について信友監督と語り合った。

信友監督はもともと『ぼけますから』1作目で、『この世界~』のオマージュシーンを入れているほど片渕の大ファン。また、片渕も「『この世界~』の登場人物が、呉で今も生活していたら『ぼけます~』のお父さんお母さんのようになっていたのでは、と以前から感じていた」と明かし、信友監督も感激。

綿密な時代考証やリサーチを繰り返し、リアリティをアニメーションに落とし込むことで知られる片渕は、「(地元のように)町の様子も分かりますし、お家がどの辺りにあるのかも分かりました」と笑顔でコメント。さらに「『この世界~』で描いた呉の町にお父さんお母さんの小さなお家が建ち、『ぼけます~』で描かれる信友家の物語に繋がることがとても自然なこととして捉えられる。時の経過が映像になって押し寄せてくる感覚があった」とアニメーションとドキュメンタリーという全く違うジャンルの映像作品ながら両作の繋がりについて語った。

ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~

シネスイッチ銀座では、NHK広島放送局呉通信部に在籍していたこともあり、呉の街にも詳しいジャーナリストの池上彰をゲストに迎え、語りも務める信友監督の、現実を冷静に映し出そうとするドキュメンタリー監督としての立場と、実の娘であるというふたつの立場での葛藤についてなど、映画の魅力についてトークが繰り広げられた。

池上は「日本全体が抱える高齢化社会の問題を含みながらも、誰もが受け入れやすい映画」と本作を解説。

部屋に辞書がいくつも積み上げられているのが気になったそうで、「お父さんの知識欲はすごいですね!」と池上。それを受けて信友監督は「父は今でも新聞3紙を毎日読み、同じ事柄を取り上げていても書き方で見え方が変わることもある。物事を一方から見て判断してはいけないと教えられてきました」と話した。

信友監督は両会場で「悲しい場面もあるけれど、60年連れ添った父と母の絆は美しく、我が親ながら崇高に見えた。決して暗い映画ではないので、本作を観て明るく爽やかな気持ちになっていただければ」とアピールし、イベントは終了した。

『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』は、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開中。


前作『ぼけますから、よろしくお願いします。』とは……
フジテレビ「Mr.サンデー」の企画として始まり、2018年に劇場公開されたドキュメンタリー映画。認知症の母親と耳の遠い父親の暮らしを、ひとり娘である信友直子監督が自身の視点で丹念に映し出したことにより、広く多くの人に普遍的な物語として捉えられ、夫婦や家族のあり方を改めて見つめるきっかけとなった作品である。年々深刻化する老老介護や認知症に関する問題の実態も浮き彫りにし、単館公開としては異例のロングランを記録。口コミがひろがり、約100館まで上映劇場が拡大するなど想定を上回る大ヒットとなった。また、公開の翌年には、同名書籍が発売されるなど大きな話題となった。

ストーリー
東京で働くひとり娘の「私」(監督・信友直子)は、広島県呉市に暮らす90代の両親を1作目完成後も撮り続けた。
2018年。父は家事全般を取り仕切れるまでになり日々奮闘しているが、母の認知症はさらに進行し、ついに脳梗塞を発症、入院生活が始まる。外出時には手押し車が欠かせない父だったが、毎日1時間かけて母に面会するため足を運び、励まし続け、いつか母が帰ってくるときのためにと98歳にして筋トレを始める。その後、一時は歩けるまでに回復した母だったが新たな脳梗塞が見つかり、病状は深刻さを極めていく。そんな中、2020年3月に新型コロナの感染が世界的に拡大。病院の面会すら困難な状況が訪れる。それでも決してあきらめず奮闘する父の姿は娘に美しく映るのだった――

作品タイトル:『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』
監督・撮影・語り:信友直子
プロデューサー:濱潤、大島新、堀治樹
制作プロデューサー:稲葉友紀子
編集:目見田健
撮影:南幸男、河合輝久
音響効果:金田智子
ライン編集:池田聡
整音:富永憲一
製作プロダクション:スタッフラビ
製作:フジテレビ、ネツゲン、関西テレビ、信友家
2022年/日本/ドキュメンタリー/101分/ビスタ/2.0ch
配給・宣伝:アンプラグド

公式サイト:https://bokemasu.com/
公式Twitter:@bokemasukara2
公式Facebook:https://www.facebook.com/bokemasu
コピーライト:(c)2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会

3月25日(金)より全国順次公開

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