【レポート】『ジオラマボーイ・パノラマガール』瀬田なつき監督&トクマルシューゴ「自由に走り回るふたりを楽しんで」

1980～90年代に若者たちのリアルな恋や友情を描くマンガを数多く生み出し、今も尚、熱狂的なファンを持つ漫画家・岡崎京子が1989年に刊行した同名作品を原作にした、映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』が11月6日（金）より新宿ピカデリー他にて全国公開される。

脚本・監督は映画『PARKS パークス』(2017)、ドラマ「東京アリス」(2017)、「セトウツミ」(2017)、「声ガール」(2018)や、多くのCM・MVを手がける瀬田なつき。W主演に山田杏奈＆鈴木仁をむかえ、未来へ向かって移り変わっていく東京の街を舞台に、喜びと不安を抱えつつも「今」を生きる若者たちを、ファンタジックでポップな世界観で映画化した。

そして10月29日（木）には、全国公開に先駆け、J-WAVE J-me SPECIAL PREVIEW 試写会＆特別トークショーが開催され、ゲストに本作でメガホンをとった瀬田なつき監督、瀬田監督作品『PARKS パークス』で音楽監修を務めたトクマルシューゴが登壇した。

映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』
J-WAVE J-me SPECIAL PREVIEW 試写会＆特別トークショー

日程：2020年10月29日（木）20：15～20：45
登壇者（敬称略）：瀬田なつき（監督）／ゲスト：トクマルシューゴ（音楽家）
場所：新宿ピカデリー

瀬田なつき監督は冒頭の挨拶で、ちょうど昨年の10月頃に撮影した当時を振り返り、コロナ禍で変わった街並みを思い浮かべながら「あの時にしか撮影できない東京をカメラにおさめることができた」「街中を自由に走り回る主人公ふたりをぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです」と率直な気持ちを語った。

トクマルシューゴは「岡崎京子さんの原作漫画にはトゲトゲしさとドロドロとしたものがある。さらにその中にある純粋さがこの映画ではしっかりと描かれている」「とても感動しました」と感想を述べた。

80～90年代の原作漫画の映画化について、瀬田監督は「岡崎京子さんの漫画には時代を超えて突き刺さる言葉がたくさんある」と触れると、トクマルシューゴも岡崎漫画の人物像について言及。「常にトレンドの最先端をゆくような、こんな生き方があるんだという新しさをいつまでも感じる」「この映画もどのキャラクターに共感するかは見た人の自由」と世代を超えて愛され続ける岡崎作品の魅力をたっぷりと語った。

2017年に映画『PARKS パークス』の撮影現場で瀬田監督と一緒に仕事をしたトクマルシューゴは、当時の瀬田監督の演出について「声が小さすぎて驚いた（笑）」と正直な気持ちを伝え、場内は笑い声に包まれた。

瀬田監督はキャスト陣への感謝とともに、周りを翻弄する森田望智、まるでハルコそのものの山田杏奈、つかみどころがないケンイチを試行錯誤しながら協力して作り上げた鈴木仁の演技を絶賛。「映画のラストを見て、この先彼らがどう生きていくのかリアルに追いかけたくなる面白さがある」とトクマルシューゴもその演技を讃えた。

最後に、瀬田監督が岡崎京子と所縁のある小沢健二から伝えられた嬉しい言葉について「初号試写をご覧いただき、すごく楽しんで下さり、長いメールをもらいました」「『10代の自分に伝えたい』みたいなことを仰って下さり、嬉しかったです」と語った。

成長するだけじゃ、オトナになれない。
時代が、街が変わっても、「好き」の気持ちは、しぶとく残る。
——恋するふたりの小さな助走の物語

Ｗ主演・山田杏奈、鈴木仁に加え、主人公ケンイチをオトナの世界へと誘う重要なキャラクター・マユミを『全裸監督』(19/Netflix)で注目を集めた森田望智が熱演。その他、滝澤エリカ、若杉凩、きいた、遊屋慎太郎といった次世代を担う若手俳優たちが勢揃いした。

さらに、ケンイチをぶっきらぼうにも優しく支える姉・サカエ役に成海璃子、もう一人の主人公ハルコに時に厳しくもそっと寄り添う母・フユミ役に大塚寧々が出演する他、斉藤陽一郎、黒田大輔ら個性際立つ実力派俳優たちが集結した。

ハルコやケンイチたちが恋に潜む葛藤や喜びを通じて大人になっていく姿を彩る音楽は、ドラマーとして多くのバンド・アーティストたちに参加し活躍する山口元輝が手掛ける。

ストーリー
東京に住む平坦で平凡な高校生・渋谷ハルコ、16歳。ある夜、橋の上で倒れていた神奈川ケンイチにひとめぼれする。“世紀の恋”だとはしゃぐハルコに対して、真面目でおとなしげなケンイチは、受験目前、衝動的に学校を辞めてしまいそれどころではない。さらに、勢いでナンパした危険な香りのする女の子・マユミに夢中になっていく。二人の平行線の恋はどこへ行くのか。友だちや家族や自分、悩みもがく少年少女の刹那的な視線を切り取った、恋と成長の物語。

作品タイトル：『ジオラマボーイ・パノラマガール』
出演：山田杏奈　鈴木仁／滝澤エリカ　若杉凩　平田空　持田唯颯　きいた　遊屋慎太郎／斉藤陽一郎　黒田大輔／成海璃子　森田望智／大塚寧々
脚本・監督：瀬田なつき
原作：岡崎京子「ジオラマボーイ・パノラマガール」（マガジンハウス刊）
エグゼクティブプロデューサー：遠藤日登思
プロデューサー：松田広子　樋口泰人
共同プロデューサー：佐藤崇行・本田拓夫・村上凌太
撮影・照明：佐々木靖之
録音：髙田伸也　美術：安藤真人　装飾：小谷直美
衣裳：宮本茉莉
ヘアメイク：有路涼子　編集：今井俊裕　音響効果：齋藤昌利
VFX：浅野秀二　本編集：野間実　助監督：玉澤恭平　制作担当：芳野峻大　音楽：山口元輔
企画・製作プロダクション：オフィス・シロウズ
助成：文化庁文化藝術振興費補助金（映画創造活動支援事業）独立行政法人日本芸術文化振興会
2020年/日本/105分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
配給：イオンエンターテイメント　boid