【レポート】『ホテルアイリス』舞台挨拶に永瀬正敏ら登壇!ヒロイン陸夏&名優リー・カンションからビデオメッセージも

ホテルアイリス

小川洋子の同名小説を映画化した日・台合作映画『ホテルアイリス』の公開記念舞台挨拶に、主演の永瀬正敏、ヒロインの母親役を務めた菜 葉 菜、永瀬演じる翻訳者の甥役の寛 一 郎奥原浩志監督が登壇した。

また台湾より、映画初出演となるヒロイン役の陸夏(ルシア)、船頭役の名優リー・カンションからはビデオメッセージが寄せられた。

『ホテルアイリス』公開記念舞台挨拶 概要

日時:2022年2月19日(土)12:05回 上映終了後(本編:100分)
登壇者(敬称略):永瀬正敏、菜 葉 菜、寛 一 郎、奥原浩志監督
ビデオメッセージ:陸夏(ルシア)、リー・カンション
MC:LiLiCo
会場:ヒューマントラストシネマ渋谷シアター1

<イベントレポート>

LiLiCo:(永瀬へ)謎めいていて、惹きつけられるすごく難しい役を演じられたと思うのですが、どのように役と向き合われたのでのでしょうか?

ホテルアイリス

永瀬正敏(以下 永瀬):原作が素晴らしいので、この原作に漂う、これは現実なのか、夢なのか、妄想なのか、浮遊感みたいなものを大事にするためにどうしたらいいんだろう?ということを監督にご相談させていただいて、やっていったという感じですかね。原作はもう少し僕よりも年齢が上の役なんですが、それを僕くらいまでに落としこむのにはどうしたらいいのか、現場でご相談しながら、みんなでつくっていったという感じですね。

LiLiCo:監督、永瀬さんの役について、どういうお話をされましたか?

奥原浩志監督(以下 監督):役については、原作の小川洋子さんの小説の読み方というのは、そんなに僕とずれはなかったと思います。現場は初日から撮影がはじまったんですが、永瀬さんがいらっしゃって、カメラで最初の歩き方を見た時に、「あ、これはもう、翻訳家だ」と思いましたね。ふと思ったのですが、劇中で「舌を出しなさい」という台詞があるのですが、永瀬さんはものすごく声がいいんですね。あの声じゃないと「舌を出しなさい」も成立しないんじゃないかな、と思いましたね。

LiLiCo:私も映画を見ながら、舌を出してしまいました(笑)。
そして菜 葉 菜さん、今上映中の映画もSMの映画で、今回も強い役でしたが、演じてみていかがですか?

菜 葉 菜:私が原作を読ませていただいたのが20代の前半で、「わあ、なんて素敵な世界観なんだろう」と思って、当時まだ若かったので、この主人公のマリみたいな役をやりたいな、って思っていたのですが、今だったら監督にはっ倒されますが(笑)。それくらい好きな小説だったので、今回映画で参加でいたことは本当にすごく嬉しかったです。
役の母親像については、監督とよく話し合って、監督はビジュアルをすごくこだわられていて、私、心配で永瀬さんに、「一人浮いてませんか?」「髪型ヅラっぽくないですか?」って思ったりもしたんです。
結果、マリの母親でもあるけど、女性でもあり、一人の人間であって、彼女にも生い立ちがあって、娘に対する歪んだ愛情表現や、固執した愛というのは、一見モンスター的に見えるかもしれないのですが、彼女の人間らしい部分は、少ない登場シーンですが、大切に演じたいなと思いました。このホテルアイリスの世界だからこそ、あのビジュアルも成立して、マリの母親像になれたのかな、と思います。

永瀬:髪をすくシーンが、マリと母親とうまく対比が出ていますよね。

LiLiCo:菜 葉 菜さんのルックス的にはいかがだったんでしょう?

監督:実は、自分の解釈だと、菜葉菜さんが演じる母親が、この映画の登場人物の中で、一番まともな人間なんです。他の登場人物と違う、別の意味で違和感を持たせたいなと思って、永瀬さんとも相談して「コスプレ大会やろっか」などと話しましたね。現場の役の中の菜葉菜さんに慣れちゃったので、今日久しぶりに本当の姿を見ました。

LiLiCo:寛 一 郎さんは、とても不思議だけど、魅力的な役でしたね。どのように心がけて演じたのですか?

寛 一 郎:いや、どうでしょうね。台詞が無かったので、(現場に)台詞を覚えていかなくっていいというのは、すごく幸せだったんですけど、その分、何か説得力を持たせるための何かが必要でした。でもこの作品の中で、リー・カンションさんと同じで、本線と近いんですが遊離したところにいるっていうすごく伝わりすぎない役だったので、しゃべれないとうのは、逆にアドバンテージだったな、と思います。

LiLiCo:監督とはどうお話をされたのですか?

寛 一 郎:撮影に入る前に、役のバックグラウンドなどのお話いただいたのですが、舌が切除された人のケーススタディというのは、調べたのですが、本当になくて、それを詳しく監督からお話してもらいました。

LiLiCo:監督はどうアドバイスされたのですか?

監督:舌がない彼が、実際どうスープを飲むのか、というのは考えると難しいんですよね。
最初に現場で寛一郎さんとお会いした際に、僕と全然話してくれなかったんです。一言も声を出さなかったんです。役に入った気持ちで来てくれたんだな、と思って、すごく嬉しかったんですよね。

寛 一 郎:そうなんですよね。しゃべれないように、心がけようと思って、そしたら、主演の陸夏(ルシア)さんが、すごく喋りかけてくる拷問をしてきたっていう(笑)。

LiLiCo:ビデオメッセージもくださった陸夏(ルシア)さん、本当に綺麗で可愛らしい方なんですが、永瀬さん、彼女と共演する上で、言葉の壁は感じましたか?共演されていかがでしたか?

永瀬:いやいや、陸夏(ルシア)さんに関しては、まったく壁は感じなかったですね。日本語が本当に堪能だったので、日本のアニメショーンや、音楽とか、文化から、誰かに教わるんじゃなくて、自分でずっと長い時間をかけて習得されたみたいです。映画で台詞と吐くっていうのは、また違ったりするので、それは監督や、ダイアローグコーチについて、一生懸命学んでいらっしゃいましたけど、普段しゃべる分には全然問題なかったですね。びっくりするくらい。

LiLiCo:すごいですね。

永瀬:素敵でした。アドリブを出した時に反応がちゃんとかえってくるっていうのは、日本語を理解できていないと難しいので、それはすごいな、と思いましたね。(彼女は)映画初出演ですからね。

LiLiCo:(監督へ)この何処の国かわからない素晴らしい雰囲気の場所は、どのようにロケハンしてこの場所を見つけたのですか?

監督:本格的に準備入る前なのですが、脚本が出来た後で、日本ではこの映画は撮影が難しいんじゃないかなと思っていたんですね。日本的な情緒が入ると邪魔になるんじゃないかな、と。金門島は目をつけていた場所ではあったので、旅行がてら行ってみようと行ったら、今回ホテルアイリスとして使ったこの建物があったんです。あの建物との出会いが一番大きかったですね。

LiLiCo:そこに泊まりたくなったんですが、どうしたらいいですか?

監督:泊まれるんですよ。あそこ。民宿なんですよ。ただ、なかなかどう予約したらいいのかわからないんですよ。民宿のおばさんがいい人なんですが、ちょっとツンデレみたいなところがあって、機嫌がいい時はいいんですが…。あの映画の中のカウンターが、そのまま残ってるんですよ。よって、コロナ終わったら是非、行ってみてください。

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最後に
監督:ひとつだけです。ぜひこの映画のことを、みなさんのお力添えで応援していただけたらと思っています。なるべく長い期間、できるだけ多くの方にみていただきたいと思っているので、どうかよろしくお願いします。

永瀬:この映画にすごい思いを込めてもらえた台湾の映画人の人たち、そのDNAを惜しみなく注ぎこんでくれたみなさんと一緒にここに立ちたかったんですけど、それがかなわなくて非常に残念に思っています。ただ、毎週のように壇上にたたせていただいてる気がするのですが、そのたびに「映画館にみなさんが座っていただいている」という姿をみると、本当にグっとくるものがあります。この映画も、僕にとってはコロナ前に、海外のみなさんと一緒に撮った作品です。この場に誓って、いつかまた、いろいろな国のみなさんと映画を一緒に作れればと思っています。まずは、この『ホテルアイリス』を見に、映画館にいらしていただければなと思っています。

ホテルアイリス

ストーリー
寂れた海沿いのリゾート地──そこで日本人の母親が経営するホテル・アイリスを手伝っているマリは、ある日階上で響き渡る女の悲鳴を聞く。赤いキャミソールのその女は、男の罵声と暴力から逃れようと取り乱している。マリは茫然自失で、ただならぬその状況を静観している。一方で、男の振る舞いに激しく惹かれているもう一人の自分がいて、無意識の中の何かが覚醒していくことにも気づき始めていた。
男は、ロシア文学の翻訳家で、小舟で少し渡った孤島で独りで暮らしているという。住人たちは、彼が過去に起きた殺人事件の真犯人ではないかと、まことしやかに噂した。またマリも、台湾人の父親が不慮の事故死を遂げた過去を持ち、そのオブセッションから立ち直れずにいた。
男とマリの奇妙な巡り合わせは、二人の人生を大きく揺さぶり始める。

作品タイトル:『ホテルアイリス』
出演:永瀬正敏 陸夏(ルシア)
菜 葉 菜 寛 一 郎 マー・ジーシャン(馬志翔) パオ・ジョンファン(鮑正芳) 大島葉子
リー・カンション(李康生)
監督・脚本:奥原浩志
原作:小川洋子(「ホテル・アイリス」(c) 幻冬舎)
撮影:ユー・ジンピン(余靜萍)
音響:チョウ・チェン(周震)
美術:金勝浩一 衣装+メイク:KUMI / 花井麻衣
音楽:スワペック・コバレフスキ(Slavomir Stanislaw Kowalewski)
編集:チェン・ホンイー(陳宏一) / 奥原浩志
プロデューサー:リー・ルイ(李鋭) / 奥原浩志 / チェン・ホンイー(陳宏一) / 浅野博貴 / 山口誠 / 小畑真登
日本語字幕翻訳:奥原浩志
宣伝デザイン:成瀬慧(RESTA FILMS)
予告編監督:遠山慎二(RESTA FILMS)
製作:北京谷天傳媒有限公司 / 長谷工作室 / 紅色製作有限公司
2021年日本・台湾合作 | 100分 | 日本語・中国語 | ビスタサイズ | 5.1ch
配給:リアリーライクフィルムズ + 長谷工作室

公式サイト:www.reallylikefilms.com/hoteliris
コピーライト:(C)長谷工作室

2月18日(金)より新宿ピカデリー/ ヒューマントラストシネマ渋谷/ シネ・リーブル池袋/名古屋センチュリーシネマ他で公開中

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