【レポート】『愛しのアイリーン』トークイベントに吉田恵輔、山下敦弘、松江哲明の3監督が登壇!新井英樹作品への愛を語る

愛しのアイリーン

新井英樹原作の熱狂的なファンを持つ漫画の実写映画化作品『愛しのアイリーン』が9月14日(金)より公開、大ヒット上映中だ。この度、本作の公開を記念し、「人生で一番影響を受けた」と公言する作品の映画化を見事に果たした吉田恵輔監督と、『リンダリンダリンダ』(05)『天然コケッコー』(07)などを手掛け、同じく漫画原作の最新映画『ハード・コア』が11月に公開が控える映画監督・山下敦弘、また『フラッシュバックメモリーズ3D』などを手掛け、今期放送を控えるテレビ東京のドラマ「このマンガがすごい!」の監督も務める松江哲明、まさに日本映画界の”いま”を牽引する三人の映画監督の「つくる」視点から『愛しのアイリーン』を読み解く、鼎談トークイベントが開催された。

映画『愛しのアイリーン』トークイベント 概要

日時:9月26日(水)
時間:20:00回終了後
会場:シネクイント (渋谷区宇田川町20-11 渋谷三葉ビル7階)※旧東映シネパレス
登壇者:吉田恵輔監督、山下敦弘監督、松江哲明監督

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ステージに登壇した吉田監督、山下監督、松江監督は同世代の映像作家であり旧知の仲。また3人とも漫画家・新井英樹のファンという“新井英樹世代”でもあることから、吉田監督が『愛しのアイリーン』の映画化を進めているという話を聞いて山下監督は「マジか・・・と驚きましたね。ただ新井先生の漫画って『ザ・ワールド・イズ・マイン』の映画化も噂が上がっては消えたりしていたんですが、『愛しのアイリーン』は一番映画に向いている原作ではあるし、吉田監督なら実現するだろうな、と思っていました。ただあの登場人物は誰が演じるのか?誰一人として想像出来なかった」と噂を聞いた当時を振り返った。

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「この10年間いろいろな製作会社にこの映画の企画を持ち込んだけど、ことごとく断られまくって・・・」と映画化の苦労を語る吉田監督に「よくやり遂げましたね」とねぎらいの言葉をかける山下監督。松江監督からは「『愛しのアイリーン』は連載当時の「ビックコミックスピリッツ」で読んでて、新井先生の漫画を初めて読んだのも『アイリーン』でした。新井先生の作品で、吉田監督が『愛しのアイリーン』をやって、真利子監督がドラマで「宮本から君へ」をやると聞いて、二人とも役者の熱量をつかまえる監督だったので、どこか納得するところがありましたね」と映像化について信頼を寄せていたことを明かした。

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改めて作品について山下監督は「スクリーンで観たのは今日が初めてでした。原作は熱量が高すぎて感情がわからなくなるところがあるんですが、映画として組み立てられると、それが整理されて、改めて“哀しい話”だったんだと再確認しました」、また松江監督は「『アイリーン』を読んだときは高校生でしたが、読む時々の年代によって違った感じ方のある作品。吉田監督はこの物語を人間同士のぶつかり合いとして読まれたんだな、と興味深かったです」とそれぞれ吉田監督の描く視点に注目。

劇中のお気に入りのシーンについては、山下監督は「アイリーンと岩男のキスシーンは、やっぱキュンときますよね。アイリーンにやられました。パチンコ屋の店員で出ていたお笑い芸人の古賀シュウさんも新井ワールドにハマっていました(笑)」とキャストに話が及ぶと、松江監督は「塩崎役の伊勢谷友介さんが素晴らしかったです。自分の中の道徳観・正義感はあるが、世間から見たらはみ出し者、という新井先生の描くキャラクターに伊勢谷さんがこんなにハマるとは、と思いました」と独特な演技を魅せる劇中の伊勢谷さんの魅力を語った。

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原作の終わり方と、映画のラストシーンの違いについての「あのラストの印象は、新井先生のものじゃないと思った」という山下監督の感想を受け、吉田監督は「実は漫画通りのラストを撮ったんだけど、映像にすると説明に終始してしまっている印象で。クランクアップの2日前に今のラストシーンを決めました。どこかで原作を読んでいない人も読んでほしいという気持ちもあって。映画と漫画でラストが違うって言えば、原作も読みたくなるでしょ。漫画は凄く気持ちいい終わり方しているから読んで欲しい」と新井“信者”ぶりをアピールしながらも最近の新井作品は相変わらず時代の先を行っているとし、吉田監督は「『アイリーン』で連載時から約20年かかっていて。今の新井先生の連載漫画を映画化するには、40年はかかる(笑)」と一同爆笑。映画監督という視点で語られたトークイベントは、新井英樹“愛”に包まれながら幕を閉じた。

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※吉田恵輔監督の「吉」の正式表記は「土よし」です。

作品タイトル:『愛しのアイリーン』
出演:安田顕 ナッツ・シトイ 河井青葉 ディオンヌ・モンサント
福士誠治 品川徹 田中要次/伊勢谷友介/木野花
監督・脚本:吉田恵輔
原作:新井英樹「愛しのアイリーン」(太田出版刊)
音楽:ウォン・ウィンツァン
主題歌:奇妙礼太郎「水面の輪舞曲ロンド」(WARNER MUSIC JAPAN/HIP LAND MUSIC CORPORATION)
企画・製作:河村光庸
製作:瀬井哲也 宮崎伸夫
エグゼクティヴ・プロデューサー:河村光庸 岡本東郎
プロデューサー:佐藤順子 行実良 飯田雅裕
製作幹事:VAP
制作協力プロダクション:SS工房
(VAP/スターサンズ/朝日新聞社)
レイティング:R15+
企画・制作・配給:スターサンズ

公式サイト:http://irene-movie.jp/
コピーライト:(c) 2018「愛しのアイリーン」フィルムパートナーズ

9月14日(金)TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー!

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