【レポート】映画『ラジオ・コバニ』×NeoL~同世代クリエイター座談会~男女4人のクリエイターが議論を交わす

ラジオ・コバニ

映画『ラジオ・コバニ』は、「イスラム国」(IS)との戦闘により瓦礫と化したシリア北部の街コバニでラジオ局を開設し、番組「おはようコバニ」でDJ を務めた20歳の大学生ディロバンを追ったドキュメンタリー。5月18日(木)、アップリンク渋谷では、カルチャーWEBマガジン「NeoL/ネオエル」(http://www.neol.jp/)とのコラボイベントが行われた。

ゲストは、ディロバンと同じく大学生でHIGH(er)magazine というメディアを立ち上げたharu.さん、ファッションブランドGLAMHATE デザイナーのdiceKさん、写真家のKisshomaru Shimamuraさん。また、司会をNeoL編集長のRyoko Kuwaharaさんが務め、それぞれが考え続けてきた“死”というテーマ、モノづくりの根源となる信念や正義など、多岐にわたって熱く議論が交わされた。

自身のブランドのコンセプトムービー製作も手掛け、あらゆるメディアの中で一番好きなメディアは映画であると語るdiceKさんは、本作への感想を聞かれ「戦争を扱ったドキュメンタリー作品を観るのははじめてだったのですが、もともと人間の気持ち、生き方、そして死が描かれている映画が好きで、この映画もそうでした。人間という生き物の在り方、それぞれの人生や正義を描いていて、すんなり納得できた」と語った。また、“死”についてついつい考えてしまうというdiceKさんの発言を受けharu.さん、Kisshomaruさんもそれぞれが小さいころから“死”というテーマについて考え続けていることを明かした。

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haru.さんは「日本で暮らしていると、死と生は分かれているように思えるが、実はとても身近なこと。この作品を観ていると生と死が隣あわせで境目がないと感じる」と語る。写真家のKisshomaruさんは「映画に登場する、死体をクレーンで扱う場面やそれを見る子供たちのリアクションをとらえた場面は今後“死”を考えるための大きな衝撃として自分の中に残っていくと思う。さらに、ドキュメンタリー映画という側面で考えると、真実は1つでだけでない。今回監督は、ディロバンという1つの目線で描いた作品でしたが、しかし国境を越えれば、同じ時系列で違う物語があって、それぞれの正義がある」と解説。
最後にdiceKさんは「SNSの半分はフェイク。フェイクやフィクションの世界で生きる中で、『ラジオ・コバニ』のようなガチなものにふれないと、世界に騙されてしまう」とSNSについての持論を織り交ぜた本作への感想を述べ、イベントを締めくくった。

haru.
1995年生まれ HIGH(er)magazine 編集長。ドイツと日本を行き来しながら今は東京藝術大学 先端芸術表現科に在籍中。

diceK

1995年7月生まれ22歳。青山学院大学卒。GLAMHATE デザイナー、メイクアップアーティスト。
glamhate.xyz

Kisshomaru Shimamura

東京生まれ。ファッション誌、広告、カタログ、アーティスト写真など幅広く活動。主な個展に”Unusual Usual”(Portland, 2014)、”Inside Out”(Warsaw, 2016)、”about:blank”(Tokyo, 2018)など。
www.kisshomaru.com

Ryoko Kuwahara

カルチャーWEB マガジン「NeoL/ネオエル」編集長。エディトリアルの他にCS「foodies」にて食番組のプロデュースを務め、スカパーアワードを受賞。百貨店のタブロイドのプロデュース、子連れ限定ディスコ「KID’S DISCO」のオーガナイザーなど、多方面にて活躍。
www.neol.jp

ISとの戦闘で廃墟と化したシリア北部の街・コバニで
手作りのラジオ局をはじめる大学生のディロバン。
ラジオから聞こえる彼女の「おはよう」が、今日も街に復興の息吹を届ける―。

トルコとの国境に近いシリア北部のクルド人街コバニは、2014年9月から過激派組織「イスラム国」(IS)の占領下となるも、クルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃と連合軍の空爆支援により、2015年1月に解放された。人々はコバニに戻って来たが、数カ月にわたる戦闘で街の大半が廃墟と化してしまった。
そんな中、20歳の大学生ディロバンは、友人とラジオ局を立ち上げ、ラジオ番組「おはよう コバニ」の放送をはじめる。生き残った人々や、戦士、詩人などの声を届ける彼女の番組は、街を再建して未来を築こうとする人々に希望と連帯感をもたらす。
監督は、自身もクルド人のラベー・ドスキー。地雷や戦車を越えコバニに赴き戦地での撮影を敢行、クルド人兵士によるIS兵士の尋問にも立ち会った。本作を、戦死したクルド人兵士の姉に捧げている。

作品タイトル:『ラジオ・コバニ』
監督・脚本:ラベー・ドスキー
(2016 年/オランダ/69 分/クルド語/2.39:1/カラー/ステレオ/DCP)
字幕翻訳:額賀深雪
字幕監修:ワッカス・チョーラク
配給:アップリンク

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/kobani/

5月12日(土)より、アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開

記事提供:映画・ドラマニュース

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