【レポート】映画『ラ・チャナ』公開記念イベント開催!シンガーソングライターの柴田聡子さんが本作の魅力を語る

ラ・チャナ

現在、絶賛公開中の、世界中の人びとを虜にした伝説のフラメンコダンサー、ラ・チャナの波乱に満ちた人生とその情熱の源に迫るドキュメンタリー映画『ラ・チャナ』。 31日(金)アップリンク渋谷にて、シンガーソングライターの柴田聡子さんと、聞き手に『Sister Magazine』『Scarlet & June』といったwebサイト創設者のつかささんを迎え、 上映後にトークイベントが開催された。

映画『ラ・チャナ』公開記念トークイベント 概要

日時:2018年7月31日(火)
場所:アップリンク渋谷(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル4F)
ゲスト:柴田聡子さん(シンガーソングライター)、つかささん(『Sister Magazine』『Scarlet & June』創設者)

7月31日(土)、映画『ラ・チャナ』の公開記念トークイベントが開催され、シンガーソングライターの柴田聡子さんが登壇した。聞き手は、「女の子たちが姉妹のように語り合える場所を」をコンセプトにwebサイトを立ち上げ、更に自らも映像制作、俳優、歌手活動など表現活動を行う つかささん。本作は、現在71歳、伝説のフラメンコダンサー、ラ・チャナの波乱の人生と不屈の精神、そして情熱を描いたドキュメンタリー映画だ。映画を観た柴田さんは、「真面目に一生、私の宝になりました」と絶賛。トークイベントはインタビュー形式で、柴田さんは、ラ・チャナと同じ「表現者」という立場から、本作の魅力についてたっぷりと語った。

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技術と魂、リズムと創作の関係の話は 、 強く心に焼き付いています。
音楽や芸術などの表現だけではなくあらゆる人生の場面において、
大切なヒントとして受け取ることが出来ると思います。

――本作の観た感想と印象に残ったシーン
ラ・チャナがフラメンコにおける技術と魂、リズムと創作の関係について語っているところが、とても印象に残っています。フラメンコは、技術などが先立つ芸術だと思いますが、技術に根差して創作しているというところに信頼がおけるし、腑に落ちます。ラ・チャナが「自分の中に揺らぎないものがあれば、何をやってもうまくいく」という事を言えることは、超クールだと思います。そんな風に言える人はなかなかいないですよね。

――ラ・チャナが、旦那からのDVなど男性社会から抑圧を受けながらも大きく活躍していたことについて
ラ・チャナが受けた家庭内暴力や男性社会からの抑圧があったという点は、当然見過ごすことができませんでしたが、映画は彼女にひたすら耳を傾け、焦点を合わせ、エネルギーの尊さや力強さを鈍ることなく描いており、更に深く感動しました。大変な時ほど、踊っている時の快感や煌めきがすごい。幅があるほど煌めくので、どん底から復活したラ・チャナの踊りはすごい煌めきでした。だけど、ラ・チャナはそういった状況下になくとも、同じだけ煌めくことが出来ると思うし、そこは忘れたくないですね。

――ラ・チャナの娘が、踊るラ・チャナを観てあまりの創造的なパワーに「お母さん死んじゃうんじゃないか」と恐怖を覚えたことを語るシーンについて
わたしも、ステージ上で毎回死んだほうがいいと思っていますね (笑)。死ねないぐらいなら、やらないほうがいいって。もちろん死んだらダメですが、簡単に死なないということもわかりつつ、死んでしまったほうがいいと思いながらやったほうがいいのかも。それを、ラ・チャナは思うまでもなくやっている。器はもう限界。軽自動車にポルシェのエンジンのっけて走るみたいな状態。人間という体は、中の情熱に対しては、かなり脆いし時間も短い。死んじゃいそうなのは、それだけ魂、表現の欲求が凄い。人間の体である限り、魂に肉体が追い付かないのはしょうがない。だからこそ、ラ・チャナの踊りに感動できたのかと。

――同じ表現者としてどう感じましたか
私は自分で作詞作曲をしていますが、同じ表現者として、フラメンコにとてつもない情熱を傾ける姿、語る言葉、力強い舞台、ユーモアあふれる生活の映像に感動しました。技術と魂、リズムと創作の関係の話は 、 強く心に焼き付いています。音楽や芸術などの表現だけではなくあらゆる人生の場面において、大切なヒントとして受け取ることが出来ると思います。これからもずっと、この世界にラ・チャナが居るということを胸に残して、私も音楽に向かいたいと思いました。

柴田聡子(しばた・さとこ)/ シンガーソングライター
1986年札幌市生まれ。2010年より音楽活動を始める。ギター弾き語りでライブを行う傍ら、いままでに4枚のアルバムをリリース。2016年に上梓した初の詩集『さばーく』が第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。現在、雑誌『文學界』でコラムを連載しており、『すばる』等、文芸誌への寄稿も多数。歌詞だけに止まらず、その独特な言葉の力にも注目を集めている。近年は弾き語りのほか、「柴田聡子inFIRE」名義でのバンド形態でのライブも精力的に展開中。3月31日には、岸田繁、山本精一など豪華ミュージシャンをゲストに迎えた4thアルバム『愛の休日』が待望のLPレコードで発売したばかり。
つかさ/『Sister Magazine』『Scarlet & June』創設者
「女の子たちが姉妹のように語り合える場所を」をコンセプトに『Sister Magazine』『Scarlet & June』を創設し、フェミニズムやシスターフッドをテーマにインタビュー、朗読会を開くなどの活動とともに、映像、演劇を学び、映像制作、俳優、歌手活動などさまざまな活動を行う。

作品タイトル:『ラ・チャナ』
出演:ラ・チャナ、アントニオ・カナーレス、カリメ・アマヤ、ほか
監督:ルツィア・ストイェヴィッチ
(2016年/スペイン、アイスランド、アメリカ/86分/カラー、モノクロ/16:9)
提供・配給・宣伝:アップリンク

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/lachana/
コピーライト:(c)2016 Noon Films S.L. Radiotelevision Espanola Bless Bless Productions

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