【レポート】『マイスモールランド』日本外国特派員協会にて凱旋会見「映画の主人公たちのような、若い世代に届いて欲しい」

マイスモールランド

『マイスモールランド』(5月6日(金)公開)の上映会および主演の嵐莉菜、奥平大兼、川和田恵真監督が登壇するQ&Aが日本外国特派員協会にて開催された。

イベント概要

日程:4月20日(水)20:05~21:45 ※上映後
登壇者(敬称略):嵐莉菜、奥平大兼、川和田恵真監督
場所:公益社団法人 日本外国特派員協会(FCCJ)

本作は、是枝裕和監督が率いる「分福」気鋭の新人監督・川和田恵真監督による商業映画デビュー作であり、世界三大映画祭の一つであるベルリン国際映画祭において、日本初の栄誉となるアムネスティ国際映画賞《特別表彰》に輝き、『万引き家族』×『ドライブ・マイ・カー』スタッフが手がけた注目作。

在留資格を失い、普通の高校生としての日常が奪われてしまった17歳の在日クルド人の主人公サーリャが、理不尽な社会と向き合いながら、自分の居場所を探し、成長していく物語である本作。
映画初出演にして、初主演を務めたのは、5カ国のルーツを持ち、ViVi専属モデルとして活躍する現役高校生の嵐莉菜。そして、サーリャが心を開く少年・聡太を『MOTHER マザー』で新人賞を総なめにした18歳の奥平大兼が演じている。

冒頭は、主演の嵐莉菜、共演の奥平大兼から来場した外国人向け記者に向けた流暢な英語での挨拶からスタート。は「こんなに多くの方に来ていただいて感激です。この作品をもっと多くの方に観て頂きたいです」、奥平は「僕はこの映画からたくさんのことを学びました。本日の上映会が、この映画を広く知ってもらうために素晴らしい機会になると期待しております」と、それぞれの言葉で感謝を述べた。

続いて来場した記者からの質問に答えるQ&Aが実施され、嵐、奥平というフレッシュな2人をキャスティングした理由について問われた川和田監督は「当初は日本に住むクルド人の方に(メインキャストとして)出ていただくことを考えていたが、難民申請中の方が映画に出演することによって背負うリスクを考え、今回はをキャスティングすることは避けました」と前置きし、その上で、オーディションを重ね、最終的なキャストが嵐・奥平の2人に決定した後は「彼らの等身大のキャラクターからヒントをもらいながら脚本、映画を作っていきました」と、キャスティングが決まった後、2人に寄り添った映画づくりを目指したことを明かした。

マイスモールランド

続いて「今回出演が決まってから、日本におけるクルド人や移民についての事情について事前にどれくらいの期間リサーチしたのか?」と嵐、奥平にそれぞれ質問が。

は「撮影前のワークショップで実際に在日クルド人のご家族にお話を聞く機会を頂いて、本当に実際に苦しい状況にいるんだということをお話を聞きました。クルド料理をいただいたりしました」と振り返った。

そして、自身もこの撮影に入るまで<日本でこのようなことが起きているとは全く知らなかった>という奥平は、「撮影前に勉強をしてしまうと、僕が演じる聡太としての反応にも影響がでるから、事前にクルドの文化や問題に関して調べることはせず、お芝居をやっていくなかで触れていこうと監督と話しました」と明かした。

「ウクライナからの避難民を受け入れているいま、とても意義のある映画だと思いますが、この映画から何を受け取ってもらいたいですか」という質問に、川和田監督は「まずは出来るだけ多くの方に見て、知ってもらいたいです」と監督としての率直な想いを述べ、続けて「そして、映画の主人公たちのような若い世代に届いてほしいです。社会的なものだと敷居が高いと思われがちですが、本作は青春物語でもあるので、いろんな方に届いてほしいです。またこの映画は家族の物語でもあるので、親世代の方にも違った響き方をするのではないかと思っています。まずは、この作品がいろんな世代に届き伝わってほしいです」と回答した。

また、嵐、奥平の二人への「本作は<青春物語>で、恋愛も芽生えつつある物語。非常に上手く演じられていたが、そんな二人の気まずさも含めて現場ではどうだったの?」と、劇中に描かれるサーリャと聡太の淡い恋についての質問では、会場が和やかな空気に包まれた。

奥平はすこし照れ臭そうに「撮影当時は僕自身も高校生でしたし、少なからず恋愛をしてきたので、過去の恋愛を思い出しながら演じていました(笑)」と告白、も「意識はしなかったです(笑)。撮影前のワークショップで監督が、お花見をする機会をくれたり、奥平さんと趣味の話をしたり、事前に仲良くなれたので、それがサーリャと聡太の関係に現れていると思います。付き合う前のよくわからない関係を演じたのは、私もドキドキしたところでした(笑)」とはにかみながら語った。

作品のテーマを受け取った記者からの真摯な質問でのやりとりや、登壇した3人の穏やかな空気感に包まれた、充実した記者会見となった。

マイスモールランド
マイスモールランド

イントロダクション
ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門のヘッドプログラマーのセバスチャン・マルクト氏が「世界共通のテーマである現代社会の矛盾を、とても美しく、映画らしい構成で物語に練りこんでいる」と称え、海外メデイア「VERDICT」に掲載されたレビューには、「川和田監督の『マイスモールランド』はあくまでフィクションとして、彼女自身がダブルとして生きる経験から、クルド人全体を描くのではなく、一人の高校生であるクルド人に焦点をあてる。彼女が生きる日本社会の中で、希望や夢を持ち、目の前の困難に立ち向かう状況を描いた特別な映画である。日本当局の非人道的な難民政策を厳しく批判する一方で、17歳の少女が自分の感情や、複数のアイデンティティによってもたらされる責任と対峙する姿を感動的に描いており、注目されるべき作品」と、既に海外からも高く評価されている。

ストーリー
クルド人の家族とともに、生まれた地を離れ、幼い頃から日本で育った17歳の少女、サーリャ。少し前までは同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた。ある日、難民申請が不認定となり、家族の日常が一変する。埼玉に住むサーリャは、在留資格を失った今、バイトをして、大学に進学し、東京の高校に通う聡太と自由に会うこともできない。日本に居たいと彼女が望むことは“罪”なのだろうか――?

作品タイトル:『マイスモールランド』
出演:嵐莉菜、奥平大兼、平泉成、藤井隆、池脇千鶴
アラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデー、韓英恵、サヘル・ローズほか
監督・脚本:川和田恵真
主題歌:ROTH BART BARON「N e w M o r n i n g」
企画:分福
制作プロダクション:AOI Pro.
共同制作:NHK FILM-IN-EVOLUTION(日仏共同制作)
上映時間:114分
配給:バンダイナムコアーツ

公式サイト:mysmallland.jp
公式Twitter:@mysmallland
公式Instagram:@mysmallland
コピーライト:(c)2022「マイスモールランド」製作委員会

5月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

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