【レポート】『レミニセンス』ヨーロッパ企画主宰・上田誠「古いものも新しいものも含めて《映画》の面白さを描いている」

レミニセンス

『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』『インターステラー』の脚本を手がけたジョナサン・ノーランが製作を手掛けるSFサスペンス超大作『レミニセンス』が9月17日(金)公開される。

この度、公開に先駆けた9月6日(月)に、学生向けのティーチイン付き試写イベントが開催された。登壇したのは、劇団ヨーロッパ企画の代表としてすべての本公演の脚本・演出を担当する他、外部の舞台や、映画・ドラマの脚本、テレビやラジオの企画構成も手がける上田誠。2001年にヨーロッパ企画で上演され、2009年には映画化もされた『サマータイムマシン・ブルース』や、2010年のテレビアニメ「四畳半神話大系」など様々な媒体で“時間”にまつわる作品を手掛けてきた上田が、本作を独自の目線で語った。

『レミニセンス』ティーチイン試写会

◆日程:9月6日(月)
◆場所:ワーナー・ブラザース内幸町試写室
◆登壇者:上田誠(敬称略)

一足先に映画を鑑賞した上田は映画について「面白かったですね~。SFって古式ゆかしい語り口で進んでいったりするんですけど、SFというガジェットというか装置があるからこそのロマンスとかエモーションとかがあると僕はグッとくるんです。この映画にはそれがありましたね。SFならではの情感が感じられました」と絶賛。

また自身の作品を例に出し、「ハイファンタジーとローファンタジーでいえば自分はローで、日常の中に1本だけSFの線を入れるって感じだけど、この作品は水没した世界の中で人の記憶に浸るというハイな方のSFでしたね。SFって狭いジャンルだけどお金がかかるんですよね。クリストファー・ノーランもそうですけど、映画の中でハイSFをやりきってポピュラリティもあってというのはすごいと思いますね」と、クリエイターとして他のノーラン作品も含めて改めてその凄さに舌を巻いた。

レミニセンス

記憶を追体験していく構造を含めて、『レミニセンス』における“時間”というテーマの扱い方をどう感じたかという質問には、「人の記憶を掘り下げて、それを手掛かりにしていくとうのは、探偵もので聞き込みしていくのとかと何が違うんだろう?と思いながら見ていたんです。でも記憶の映像を360度で観られる装置を使うことで、それでしか描けないやり方をしているなと思いましたね。第三者の目線でも見れるようになっているという仕組みが活きていました。記憶って防犯カメラとかと違って本人の認知の歪みによって変わるっていうのがよく描かれることだと思うんですけど。これはカメラ的というかかなり客観的に扱われ方をしていて珍しかったですね。そのドライな感じが独特だなと思いました」とこの映画ならではの描き方が印象的だったとコメント。

また物語に関しては、「物語の中の終着点が僕の好きな感覚でした。あとは水に沈み行く世界でどの時間を選んでいくのかという世界観が、今いる現在の世界も昔よりも未来に良いことが待っているというよりは不安の方が大きくなっている感じがするので、現代的に感じられましたね」と語った。

学生からの質疑応答では、“今の世の中でノワールな雰囲気の映画に魅かれない人もいると思うのだが、どう思われますか?”という厳しい質問が飛び出したが、上田は「映画って元々は白黒だったし、暗闇の中で映画を観る、光を観るものだったと。その闇と光の対比の中で人の闇の部分を掘り下げていくノワール的なものを観たりして。感覚としてそれが元々の映画だったんじゃないかなと思うんですよね。それが徐々にカラフルになって良くも悪くもテーマパーク的な楽しさを求める感じになってきていると。その中でこの作品は古き良き映画の良さを残しながら、現在のスケールで描くとこうなりますよねという、古いものも新しいものも含めて映画というものの面白さを描いている作品になっていると思います」と回答し、イベントを締めくくった。


ストーリー
記憶には誰も知らない、深層世界があった。
その世界に潜入<レミニセンス>し、
記憶を抜き取って、真実を暴けるのか――。

ルール1 潜入できる記憶は、対象者が五感で体験したすべて。
ルール2 同じ記憶に何度もナイルと、対象者は記憶に呑み込まれ、現実に戻れなくなる。
ルール3 記憶から、現実と異なるものを植え付けると、対象者は脳に異常をきたす。

都市が海に沈み、水に支配された世界で、《記憶潜入(レミニセンス)エージェント》として暗躍するニックに、検察から仕事が舞い込む。新興勢力のギャング組織の男が瀕死の姿で発見され、その男の記憶に潜入し、ギャングの正体と目的を掴めという依頼だ。記憶から映し出される事件のカギを握る謎の女性メイを追って、多くの人々の記憶潜入<レミニセンス>を試みるニック。膨大な記憶と映像に翻弄されるニックは、やがて予測もしなかった陰謀へと巻き込まれていく──。

作品タイトル:『レミニセンス』
出演:ヒュー・ジャックマン(『グレイテスト・ショーマン』『ローガン』『レ・ミゼラブル』)、レベッカ・ファーガソン(『グレイテスト・ショーマン』『ミッション・インポッシブル』シリーズ)、タンディ・ニュートン(「ウエストワールド」)、ダニエル・ウー(『トゥームレイダー ファースト・ミッション』)
監督:リサ・ジョイ(HBOドラマ「ウエストワールド」プロデューサー)
製作:ジョナサン・ノーラン(『メメント』原案、『インターステラー』『ダークナイト』脚本)、リサ・ジョイ
原題:REMINISCENCE
配給:ワーナー・ブラザース映画

公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/reminiscence-movie/index.html
コピーライト:(c) 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

9月17日(金) 全国公開

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