【レポート】「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」クロージング・セレモニー実施!各受賞作品が発表される

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭

世界に先駆けてデジタルシネマにフォーカスし、若手映像クリエイターの登竜門として2004年にスタートした「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、7月13日(金)より、節目となる15回目の開催を迎え、最終日となる7月22日(日)のクロージング・セレモニー(表彰式)にて、国際コンペティション、国内コンペティションの各賞が発表された。

国際コンペティションでは、アンドレア・ライズボロー主演の『ナンシー』(アメリカ/クリスティーナ・チョウ監督)が最優秀作品賞(グランプリ)を受賞。女性監督作品のグランプリ受賞は、本映画祭では2005年のミランダ・ジュライ監督(『君とボクの虹色の世界』)、スサンネ・ビア監督(『ある愛の風景』)以来、13年ぶりとなる。

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国内コンペティションでは、長編部門で『岬の兄妹』(日本/片山慎三監督)、短編部門で『予定は未定』(日本/磯部鉄平監督)がそれぞれ優秀作品賞を受賞し、国際コンペティション・国内コンペティションを通じた日本作品の中から、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対し贈られる「SKIPシティアワード」には『彼女はひとり』(日本/中川奈月監督)が輝いた。若手映像クリエイターの発掘・支援を目的とするSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で、受賞作品をはじめとするノミネート作品・監督から、映画の未来を担う新たな才能が羽ばたいていくことを願う。

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国際コンペティション 受賞結果

最優秀作品賞 『ナンシー』
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2018年/アメリカ/86分
監督:クリスティーナ・チョウ
■賞状、トロフィーの授与
副賞:賞金100万円の授与(協賛:ソニーPCL株式会社)

監督賞 『あの木が邪魔で』
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2017年/アイスランド、デンマーク、ポーランド、ドイツ/89分
監督:ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン
■賞状、トロフィーの授与
副賞:賞金50万円の授与
(協賛:SKIPシティ国際Dシネマ映画祭を応援する市民の会)

審査員特別賞 『最後の息子』
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2017年/韓国/124分
監督:シン・ドンソク
コピーライト:(c) an ATO production
■賞状、トロフィーの授与
副賞:賞金30万円の授与
(協賛:SKIPシティ国際Dシネマ映画祭を応援する市民の会)

スペシャル・メンション 『ザ・スワン』
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2017年/アイスランド、ドイツ、エストニア/91分
監督:アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル
■賞状の授与

国内コンペティション 受賞結果

優秀作品賞(長編部門)『岬の兄妹』
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2018年/日本/89分
監督:片山慎三
■賞状、トロフィーの授与
副賞:賞金30万円の授与
(協賛:SKIPシティ国際Dシネマ映画祭を応援する市民の会)

優秀作品賞(短編部門)『予定は未定』
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2018年/日本/27分
監督:磯部鉄平
コピーライト:(c)belly roll film/ RECIPRO
■賞状、トロフィーの授与
副賞:賞金20万円の授与
(協賛:公益財団法人埼玉県産業文化センター)

審査員特別賞 『口と拳』
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2017年/日本/49分
監督:溝口道勇
コピーライト:(c) Michihaya Mizoguchi
■賞状の授与

SKIPシティアワード 受賞結果

SKIPシティアワード 『彼女はひとり』
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2018年/日本/60分
監督:中川奈月
コピーライト:(c) 彼女はひとり
■賞状、トロフィーの授与(国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して授与する)
副賞:受賞者の次回企画に対し、彩の国ビジュアルプラザ内の映像制作支援施設・設備の一定期間の利用を提供

※「SKIPシティアワード」は、国内コンペティション、国内コンペティションを通じた日本作品の中から選出・授与する賞です。
※「観客賞」は、映画祭終了後、観客投票を集計し、後日発表いたします。(8月上旬予定)
※本年、国際コンペティション、国内コンペティションの各審査会の結果、審査員の総意により、本来の賞構成にはなかった、下記賞を新たに追加・表彰することとなりました(各1作品)。
◯国内コンペティション(短編部門) 「審査員特別賞」
◯国際コンペティション 「スペシャル・メンション」

受賞者コメント

◎国際コンペティション 最優秀作品賞受賞 『ナンシー』
クリスティーナ・チョウ監督
最優秀作品賞の受賞、ありがとうございます。とても驚いて、緊張しています。たくさんの時間を費やし、努力した作品ですので、このような形で受賞できたことを、とても光栄に思います。地球の裏側で、まったく違う文化の中で、このストーリーが受け入れられ、感動を与えられたこと、これこそがまさに、映画の力だと思っています。改めて、この映画祭に感謝したいと思います。日本大好きです!

◎SKIPシティアワード 『彼女はひとり』
中川奈月監督
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トロフィーが重くて…(笑)すごく嬉しいです。まず、この映画祭に見つけていただき、ノミネートしていただいたこと、そして上映する機会をいただけたことが嬉しいですし、さらにこのような賞をいただけて本当に光栄です。この作品は、大学院での卒業制作だったのですが、どうなるかわからない状態で脚本を書いて、その脚本のおかげで、いろいろなプロのスタッフの方や役者さんに集まっていただきました。どうなるかもわからなかった中、たくさんの人たちの力によって助けていただいて、なんとか作品になったものなので、賞をいただいて、皆に報告できることを本当に嬉しく思います。

◎国内コンペティション(長編部門) 優秀作品賞受賞 『岬の兄妹』
片山慎三監督
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『岬の兄妹』は1年間の長い間、撮影をしていて、その中で、協力してくれたスタッフの皆さん、キャストの皆さん、どうもありがとうございました。正直、賞をいただけると思っていなかったので、受賞のコメントをまったく考えていなかったのですが、初めて出品した映画祭で、このような賞をいただけて、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。

◎国内コンペティション(短編部門) 優秀作品賞受賞 『予定は未定』
磯部鉄平監督
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僕は映画を始めるのが30歳ぐらいで、少し人より遅かったと思うのですが、そこから映画学校に入って、卒業後、映画を撮りたいなといいながら、うだうだと時を過ごしていました。映画制作のスタッフをしている時、女優の屋敷紘子さんと出会い、屋敷さんに出て欲しいと思い、この映画の脚本を書きました。2年前にこの映画祭でSKIPシティアワードを取った『見栄を張る』(藤村明世監督)で助監督をしていまして、その映画で若い女性監督が監督している姿を見て、自分もやっぱり監督をしようと思い背中を押されました。 ですので、このSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で賞をいただけたのは、本当に嬉しいです。

審査委員長コメント

◎国際コンペティション 審査委員長 渡辺真起子さん(俳優)
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本当に毎日毎日、記録的な猛暑が続いた今年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭でした。このたび、国際コンペティション部門におきましては、全10作品、どの作品も見応えがあり、とても丁寧に制作されたのではないかということを、作品そのものから感じることができました。あまりにも丁寧に深く語られているので、時に、心がいっぱいになり、感情的になってしまうような日もありましたが、審査はわりとスムーズに進行したのではないかと思います。(審査員の)深田晃司監督は大変だったとおっしゃっていましたが(笑)。賞に選ばれなかった作品たちも、繊細に、優しく、例えて言うならば、今年のオープニング作品(『君がまた走り出すとき』)のように、人生にどんなつまずきがあっても、よりよい明日を目指して、先に進んでいけるような、ヒントみたいなものが置かれていたように思います。制作された皆さま、俳優の皆さま、誠実に物語と向き合っている姿を見せてくださいまして、ありがとうございました。たくさんの女性監督・スタッフの方が、それぞれの作品に参加していたということにも、大きく励まされた映画祭になりました。最後になりますが、映画を楽しんでくださった観客のみなさまにもお礼を申し上げます。

◎国内コンペティション 審査委員長 桝井 省志氏(株式会社アルタミラピクチャーズ代表取締役/プロデューサー)
今回特に感じたのが、学生の皆さんから、助監督や映画のスタッフとして現場を支えている方たち、俳優の方たちなど、本当に、映画を作る人たちの底辺が広がり、皆さんが自由に映画をつくられることを大変素晴らしいと思いますし、羨ましいと思います。私は、たまたま審査員という立場ですが、皆さんと同じ、作り手のひとりに過ぎません。監督の皆さん一人ひとりの人生を、作品を通じて触れることができ、感動的でした。助監督やスタッフをされている監督の皆さんは特に、仕事、生活することと、映画を作るという両方の作業をされているわけで、大変苦労されていると思います。その中で、作品として、きちんとメッセージを発信されているということに、敬意を表します。今回、賞を逃した方も含め、今後、活躍されるということを私は確信しておりますし、ここに参加された方たちが、今後さらなる活躍をされることを、サポートしていきたいと思います。

主催者コメント

◎上田 清司 埼玉県知事 (SKIPシティ国際映画祭実行委員会 会長)
本映画祭で受賞、あるいはノミネートされた作品が海外の映画祭で高い評価を受ける例が増えている。今年の作品もまた、そのような期待が持てる。本映画祭に参加されたクリエイターの皆様には、この映画祭をきっかけに刺激と影響を与え合い、才能に一層の磨きをかけて大きくなっていただきたい。埼玉県と川口市では、才能の発掘だけでなく、様々な支援を用意している。若い才能を全力で応援して、ここSKIPシティから世界に羽ばたき、映画界を席巻する新鋭を続々と誕生させたい。

◎奥ノ木 信夫 川口市長 (SKIPシティ国際映画祭実行委員会 副会長)
映画祭では、クリエイターの作品に対しての情熱や鋭い感覚と、最新のデジタル技術が融合することで生み出され優れた作品が多く、来場された皆様には、各部門のノミネート作品を鑑賞していただきデジタルシネマの魅力を十分堪能していただけたことと思う。この映画祭を、埼玉県と川口市が連携し、国内外でも屈指の映画祭に育てていきたいと考えている。来年も今年以上に盛り上げていきたいと思う。

◎土川 勉 映画祭ディレクター
本年度から規約を刷新した、国際コンペティション、国内コンペティション長編部門、短編部門の各受賞者の皆さまおめでとうございます。受賞作の中には、審査員同士が全く逆の解釈や評価をした作品もありました。映画とは、見る人間の人生観を反映するものであることを再認識しました。映画祭に参加していただいた全てのゲストと観客の皆さまに感謝を申し上げます。また来年もこの場でお会いしましょう。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018(第15回)開催概要

会期:2018年7月13日(金)~7月22日(日)
会場:SKIPシティ 映像ホール、多目的ホールほか(埼玉県川口市上青木3-12-63)
MOVIX川口(埼玉県川口市並木元町1-79 アリオ川口3F)
主催:埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会

公式サイト:www.skipcity-dcf.jp

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