『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ジェームズ・マンゴールド監督が来日、ジャパンプレミア舞台挨拶に登壇

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映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』のジャパンプレミア試写会が2月3日(月)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、ジェームズ・マンゴールド監督が登壇した。

本作は60年代初頭、後世に大きな影響を与えたニューヨークの音楽シーンを舞台に、19歳だったミネソタ出身の一人の無名ミュージシャン、ボブ・ディランが時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子を描く。ボブ・ディラン本人も本作の製作に協力し、2月2日(日)現在、興行収入6660万ドルを突破し、そして1月17日(金)公開のイギリスでも3週連続No.1大ヒットとなっている(※Box Office mojo調べ)。

さらに、先日の第97回アカデミー賞(R)ノミネート発表において、最高賞となる作品賞をはじめ、監督賞(ジェームズ・マンゴールド)、主演男優賞(ティモシー・シャラメ)、助演男優賞(エドワード・ノートン)、助演女優賞(モニカ・バルバロ)、脚色賞(ジェームズ・マンゴールド、ジェイ・コックス)、音響賞、衣裳デザイン賞の8部門ノミネートされている。

そんな本作のメガホンをとったマンゴールド監督は、この日が『LOGAN/ローガン』以来8年ぶりの来日となった。満員の観客に大きな拍手で迎えられ、「本当にこうして東京、日本に戻って来られて、とても嬉しく思っています。日本の映画コミュニティは熱量がすごく、映画文化が生き生きとしているのが魅力です。私はそんな日本の映画界が大好きですね。本作の音楽シーンも同じく情熱的なので、この作品を日本の皆さんと分かち合えることが、とても楽しみです」と嬉しそうに挨拶。

そして、ボブ・ディラン本人と実際に会ったエピソードや印象について、「ディランとは長い時間を共に過ごすことができました。まず脚本のリサーチを重ね、執筆したものを彼に読んでもらいました。すると、とても気に入ってくれて、“会おう”と言ってくれたんです。実際にお会いして、彼から本当にたくさんのことを学びました」と実際に会うまでの経緯を説明。

「もちろん、ディランについて書かれた本や資料から事実は得られます。でも、彼と直接話したことで、そうしたものには載っていない、もっと個人的で感覚的なことを知ることができました。例えば、“この曲を書いたとき、どこに座っていましたか?”とか、“どの時間帯に作業していましたか?”といった質問をしました。映画というのは、その時代や場所、空気感を伝える力に優れています。単なる事実だけではなく、“その場にいたとき、どんな気持ちだったのか”という感覚的な部分を伝えることが大切だと改めて感じました」と、当時を振り返った。

また、 ディラン本人から「ここを入れてほしい」といった具体的なリクエストがあったか、と質問が及ぶと「脚本やアイデアについて感想は伝えてくれましたが、“ここが抜けている”といった指摘は一切なかったですね。むしろ、とても協力的で助けてくれました。例えば、映画には『Masters of War(戦争の親玉)』という楽曲が登場します。この曲は6分もあるので、映画の中で全て流すのは難しいと思っていたのですが、ディランが“大丈夫、俺もライブで全部は歌ってないから”と言ってくれたんです(笑)。そうした形で、彼は作品に対して柔軟で、制作を後押ししてくれました」と説明。ディランとの時間が映画に与えた影響について聞くと「間違いなくそうですね。彼の言葉、彼の存在が、この映画に魂を吹き込んでくれたと思います」と、ディラン本人の力が、本作の完成に欠かせない大きな力になったことを明かした。

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そして、この度アカデミー賞(R)主演男優賞にもノミネートされているティモシー・シャラメに話が及び、「彼と一緒にこの作品を作ると決めたのが2019年でした。最初に彼に伝えた言葉は、“ギターを買ってください”でしたね。それから6年が経ちましたが、彼がこの役にどれだけの情熱を注いできたかは、映画を見ていただければ一目瞭然だと思います」と称賛。

ティモシーがどのように役と向き合っていたかを聞くと、「彼はコロナ禍や他作品の撮影を挟みながらも、ずっとボブ・ディランをどう演じるか、どう理解するかを探求し続けていました。このような伝説的な人物を演じる上で最も重要なのは、音楽がその人物の一部であるということ。ボブ・ディランは音楽そのものでもある。だからこそ、ティモシーが本物の音楽性を持ち、演じるのではなく“彼自身がディランになる”ことが必要でした。その点で、彼は完全にこの役を自分のものにしていました」と太鼓判を押した。

その確信を持った瞬間について、「特に印象的だったのが、映画冒頭の歌のシーンです。クランクインして最初の1週間で撮影したのですが、実際にライブの場で彼が歌い上げる姿を見て、“これは特別な作品になる”と確信しました。彼の演技が、ただの再現ではなく、本当にその空間を満たし、広がりを生み出していたんです。俳優が作品の世界を完全に支配する瞬間を見ると、監督としてほっとするものです」と語った。

最後に、劇場の観客に向けて、「日本に来られて本当に嬉しいです。こうして皆さんにいち早く本作をお届けできることを、心から嬉しく思っています。ただ、映画を見る前にあまり長々と話すのは無粋でしょう。シェフが料理を振る舞う前にあれこれ説明しすぎるのと同じですからね(笑)。とにかく、まずは映画を味わってください!」と、冗談を交えながらも日本公開に向けた喜びに溢れた笑顔で会場後にした。

今週末には、ティモシー・シャラメの来日イベントが予定されていることでも話題の映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』は、2月28日(金)全国公開。

ストーリー
1961年、フォークギターだけを手に、きらめきを掴むためにニューヨークへ降り立った青年、ボブ・ディラン。恋人、音楽上のパートナー、才能を認める先輩と出会い、激動の時代に呼応するミュージックシーンの中で、彼の魅力と歌は大きな注目を集めていく。次第に”フォーク界のプリンス””若者の代弁者”と祭り上げられるボブ。しかし、彼の才能と魂は、次第に違和感を感じていく。そして1965年夏、大観衆を前に最後の決断をする。
彼の手にはエレクトリック・ギターがあった…

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
出演:ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、スクート・マクネイリー
監督:ジェームズ・マンゴールド
北米公開:2024年12月25日
原題:A COMPLETE UNKNOWN
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/acompleteunknown

2月28日(金)全国公開

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