【レポート】『アス』清水崇氏『呪怨』×平山夢明氏『ダイナー』スペシャルトークショー開催(※ネタバレあり)―9/6公開

アス

鬼才ジョーダン・ピール監督によるサプライズ・スリラー作品『アス』(原題:Us)が、9月6日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他にて全国ロードショーとなる。

アデレードは夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンと共に夏休みを過ごす為、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れる。早速、友人達と一緒にビーチへ行くが、不気味な偶然に見舞われた事で過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする。やがて、家族の身に恐ろしい事が起こるという妄想を強めていくアデレード。その夜、家の前に自分達とそっくりな“わたしたち”がやってくる・・・。

この度、OSOREZONE(オソレゾーン)主催の上映会&トークショーが東宝東和試写室にて行われた。

【日時】8月29日(木)
【場所】東宝東和試写室
【ご登壇者】清水崇さん(映画監督)、平山夢明さん(ホラー作家)

※この記事はネタバレを含みますのでご注意ください

登壇したのは、『呪怨』などの映画監督・清水崇と『ダイナー』の映画化が記憶に新しい作家・平山夢明。『ゲット・アウト』『アス』と2作続けてスリラー映画を発表したジョーダン・ピールと近い分野で活躍するお二人が語る、濃密なトークショーとなった。

アス

導入はジョーダン・ピールのデビュー作『ゲット・アウト』の話題から。
本作がアカデミー賞の脚本賞を受賞し、興行的にも成功したエピソードを話しながら「『ゲット・アウト』はエンタメとして納得がいくまとめ方をしてたけど、今回は違うよね」と清水が『アス』の話に展開。「今回はやりたいことをやっていた」と平山も相槌を打った。清水は「きょとんとする人もいるかもしれないけど、今回の方が好きなんですよ」と『アス』を絶賛。平山は本作の分かりづらさを指摘しながらも「ストレートなホラーって主人公が生き残るのか否かだけど、ジョーダン・ピールの作品はホラーの中でも陰謀のようなものがあってスリラー寄りだよね。気が付くと自分が信じていたものがひっくりかえる」と作品の魅力を語った。

続けて平山はドン・シーゲル監督の『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』を引き合いに出しながら、似ている部分を指摘する。『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』は赤狩りの恐怖を作品に込めたようだが、これと同じように『アス』は社会性の強い作品であると言う。「本作に登場するのはフランケンシュタインと同じで望まない状況を与えられた人。例えば女性であったり、黒人さんであったり、有色人種であったり。そういった押し付けられた貧しく非人間的な状況で生きなければいけなかった人の話」と作品の隠された一面について話した。「僕が怖いなと思ったのは、例えばいきなり隣の人を救うために全財産払えって言われてもそれはできないこと」と平山は話す。たとえ損得とか、そういったものに染められていない子供でもそれができないことを本作は表現していて、現実の格差といった世界的な問題、救うべき人を救えない状況を示していると語った。

続いてトークはおふたりらしく『アス』の恐怖描写の話題に。清水は「最後、開き直った感じあるじゃない?怖いよね」とラストの展開に太鼓判を押す。清水が先に「きょとんとするかもしれない」と語った場面だ。平山は「『ゲット・アウト』があんなに受けたにも関わらず『アス』では観客に媚びることを拒否して 生々しい恐怖を植え付けて去る」と解説。ふたりは、本作を明快なホラーではないが、ホラー映画としても正しいことをやっていて、根源的な恐怖をよくつかんでるとジョーダン・ピールの手腕を褒め称えた。

加えて清水は「各所に笑いがあって良いし、何はともあれ、このネタ一発でここまでやるか」と同じ映画監督としてジョーダン・ピールの力技に感心する。「はやくも次の作品が楽しみなんだけど、アメリカで大ヒットした本作が日本でどう受け止められるか、反応が楽しみ」とトークショーを締めくくった。

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作品タイトル:『アス』
出演:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、エリザベス・モス、ティム・ハイデッカー
シャハディ・ライト・ジョセフ、エヴァン・アレックス、カリ・シェルドン、ノエル・シェルドン
監督・脚本・製作:ジョーダン・ピール
製作:ジェイソン・ブラム
製作年:2019年/製作国:アメリカ/上映時間:116分/原題:Us/英語/R15+
ユニバーサル映画
配給:東宝東和

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コピーライト:
作品・映像クレジット (C)2018 UNIVERSAL STUDIOS
画像クレジット (C)Universal Pictures

9/6(金)TOHOシネマズ 日比谷他、全国ロードショー!


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