【レポート】『私たちの声』杏&呉美保監督登壇のトークイベント開催!「私たちの日常での経験が活かされている」

映画『私たちの声』(9月1日(金)公開)の公開直前トークイベントが行われ、日本版ストーリー『私の一週間』の主演・杏と、メガホンをとった呉美保監督が登壇した。

『私たちの声』公開直前トークイベント 概要

日程:8月28日(月)11:55~12:30
場所:神楽座(千代田区富士見2-13-12 KADOKAWA富士見ビル1F)
登壇者:杏、呉美保監督/MC:奥浜レイラ※敬称略

7本の短編の中から、杏主演&呉監督作の『私の一週間』を鑑賞したばかりの観客の前に、2名が登壇。出産後、しばらく映画から離れていた呉監督は本作が久しぶりの監督作品となる。「子供を産んでからの5年間、映画を撮っていないのはなぜだろうか?と考えたりして、今の自分がジェンダーギャップをテーマにするならば、今の自分が送っている生活を表現することだと思った」とテーマに共鳴して作品への参加を表明したという。
一方、シングルマザーのユキを演じたは「物語の中の感情はユキのものですが、家事をやったり子供と触れ合ったりする動作は私の日常の中からの経験が活かされている」と三児の母としての日々が、役を演じる上で役立ったと明かした。

続いて話題は、呉監督と杏が登場し話題となったアカデミー賞についてへ。アメリカ音楽界のヒットメーカーであるダイアン・ウォーレンが手掛ける主題歌「Applause」は、本年度アカデミー賞歌曲賞にノミネートされ、2人もシャンパンカーペット&授賞式に駆け付けた。初のアカデミー賞参加となったは「世界一のお祭りに参加できたような気がする。素敵なご縁があって歩かせていただきましたが、いつか自分自身の力で戻ってきたいとも思いました」と世界の大舞台に刺激を受け夢は広がるばかり。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が席巻するなどアジアパワーが際立った授賞式だっただけに「凄い場所に居合わせたと思った」と感動を振り返った。

続いて、本作に登場する2児の子育てと仕事を両立させる主人公ユキの姿にちなみ、仕事とプライベートの両立について聞かれたは「両方同時は無理」と苦笑いしつつ「どう切り替えていくのかが大切。子供がいたら子供モードだし、子供が寝たら優先順位をつけて自分のことを片付けていく。前もっての計算や計画は難しい。ブルドーザー育児状態。ガーッとやれるものを考えられるだけ時間の限りやっていく」と自らの育児スタイルを明かしていた。そんなブルドーザーのような勢いで子育てと仕事に取り組む杏の姿に、呉監督は「杏さんは凄い。絶え間なく子供や自分のことをやっていて、いつ寝ているのだろうか?と思う」と同じ母として驚きと尊敬の想いを語った。

観客とのQ&Aでは「フランスで子育てをしていて楽しいと思う瞬間」について聞かれた。「知らなかったことを知れて触れ合えるのが楽しい。戸惑うこともあるけれど、フランスに来なかったら知ることが出来ないことだと思うといい刺激。パリでは徒歩や公共機関での移動が多いけれど、それはとてもいいきっかけ。歩けば色々なものに出会えるのでパリでは歩いています」とフランスでの生活について伝えた。

また「出産後に仕事復帰をするタイミング」についての質問に、呉監督は「実は前作『きみはいい子』の公開時に上の子を出産したのですが、産後20日後でモスクワ映画祭に行きました。産後の体がどれだけつらいかもまったく想像することができないまま、予定を詰めてしまっていました。さすがに大変でした」と産後の驚きのエピソードを披露。加えて、「私は2人の子供がいるのですが、やはり子供が小さいうちは映画は撮れないと諦めていました。本作が短編であること、そして映画のテーマがまさに今私がモヤモヤを抱いている原因である“ジェンダーギャップ”であることから、『私がやらなくてどうする!』と一念発起しました」と復帰への意気込みを明かす。

一方では、「出産後2年くらいは休んでいたので、復帰後の撮影のペースなどの段取りをつけるのが大変でした」と当時を回想。復帰後は育児にまつわるマニュアルをエクセルで独自作成したそうで「いつ誰が手伝いに来てくれたとしても一から説明をしなくても、掃除機の使い方や洗剤の位置などがわかるように作りました。そのマニュアルは今では捨てられない大事な思い出です。そういうのを作るのが好きで、タスクを可視化するのも楽しかった」と母としての工夫を紹介し、その知られざる姿に観客を驚かせた。

最後に呉監督は「『私たちの声』は色々な国のジェンダーギャップをテーマにしていて、日々の営みや悩み、その救いを表現した彩のある作品です。たくさんの人たちの7つの物語を見てほしい」とアピール。は「エンタメとして映画を観ながら、世界で起きているジェンダーギャップを見てほしいです。新しい価値観を見るのには、エンタメの力は大きい。映画でもドラマでも本でも、自分とは違う価値観に触れる機会があればわかりやすいと思う。5年後、10年後に本作に描かれているテーマについて『こんな問題あったよね』と笑って振り返ることが出来る明日を歩んでいきたい。女性に向けたメッセージではあるけれど、性別問わずにたくさんの方々に観ていただきたいです」と作り手としての想いを明かし、大ヒットを祈願した。

7つのショートストーリー

『ペプシとキム』
出演:ジェニファー・ハドソン
監督:タラジ・P・ヘンソン
ジャンル:ドラマ/制作国:アメリカ

薬物使用で逮捕されたキムは、重度の薬物中毒を克服するために刑務所内のリハビリを受ける。幼い娘を想い懸命にリハビリに取り組むうちに、キムの壮絶な過去とその過程で生まれた”ペプシ”という、もう一人の人格が露わになっていく。

『無限の思いやり』
出演:マーシャ・ゲイ・ハーデン、カーラ・デルヴィーニュ
監督:キャサリン・ハードウィック
ジャンル:ドラマ/制作国:アメリカ

コロナ禍でシャットダウンされたロサンゼルスの町では、ホテルの休業に伴い客室を路上生活者のシェルターに変え感染拡大を防ぐ<プロジェクト・ルームキー>が発足された。プロジェクトの担当医として毎日路上生活者たちの往診をするスーザンは、ゴミを溜めスタッフたちに煙たがられる若い女性ホームレス、ヴァルの世話を頼まれる。

『帰郷』
出演:エヴァ・ロンゴリア
監督:ルシア・プエンソ
ジャンル:ドラマ/制作国:イタリア

ロンドンで売れっ子建築家として活躍するアナは、多忙な仕事の合間を縫ってイタリアへ帰郷する。それは妹の葬儀に参列するためだった。問題を抱えていた家族と長い間音信不通だったアナは、帰郷して初めて妹に幼い娘がいることを知る。

『私の一週間』
出演:杏
監督:呉 美保
ジャンル:ドラマ/制作国:日本

ユキは、アヤとトワという2人の子どもたちを育てるために、毎日休みなく働く。ユキの朝はせわしなく始まる。朝食を作り、洗濯をし、掃除機をかけ、アヤを小学校へ送り出した後にトワを保育園へ送り届け、経営するお弁当屋に。夕方に子どもたちを迎えに、習い事に連れて行く。帰宅すると夕食を作り、風呂、寝かしつけのあと、新しいお弁当のメニューを考え、日が変わった頃に眠りにつくという多忙なルーティンを繰り返す。

『声なきサイン』
出演:マルゲリータ・ブイ
監督:マリア・ソーレ・トニャッツィ
ジャンル:ドラマ/制作国:イタリア

獣医として忙しい毎日を過ごすダイアナは、プライベートの予定をいつも忘れがち。ある日の夜勤、娘と映画を見る約束を忘れてしまい落ち込んでいたダイアナのもとに、足を負傷した犬が運ばれてくる。応急処置を施すダイアナは犬の飼い主である夫婦の様子がおかしいことに気付く。

『シェアライド』
出演:ジャクリーン・フェルナンデス
監督:リーナ・ヤーダヴ
ジャンル:ドラマ/制作国:インド

完璧主義のディヴィヤは美容外科医として成功を収め、順風満帆な日々を送る。ある夜ディヴィヤはきらびやかな服を着たトランスジェンダーの女性とタクシーに同乗することになるが、自分とは住む世界の違う人間への差別的な視線を向けタクシーを下りしまう。翌日、その女性が昼間は警官として働いていることを知る。

『アリア』
監督:ルチア・ブルゲローニ、シルヴィア・カロッビオ
ジャンル:アニメーション/制作国:イタリア

黒くて小さな生物・アリアは狭く暗い部屋の中で毎日女性としての振る舞いを学んでいる。当たり前のように女性として行動するアリアだが、それによってなぜだかいつもアリアは疲れきっていた。凡庸な日々を繰り返していると突然部屋の壁に穴が空き、そこから差し込む暖かな光によって、アリアの自我が目を覚ましていく。

<We Do It Together(WDIT)>とは?
エンタメ業界における女性の地位向上を目的とした、映画、ドキュメンタリー、テレビなどのメディアコンテンツを制作するため、2015年に映画製作者のキアラ・ティレシによって設立された非営利団体。ペネロペ・クルススーザン・サランドンジェシカ・チャステインジョディ・フォスタージュリエット・ビノシュロビン・ライトほか多くの女優が団体の名誉諮問委員に名を連ねている。業界で男女が平等に働ける環境づくり、メディアや映画で描かれるステレオタイプな女性像を変えるため活動を続けている。

作品タイトル:『私たちの声』
出演:ジェニファー・ハドソン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、カーラ・デルヴィーニュ、エヴァ・ロンゴリア、杏、マルゲリータ・ブイ、ジャクリーン・フェルナンデス
監督:タラジ・P・ヘンソン、キャサリン・ハードウィック、ルシア・プエンソ、呉 美保、マリア・ソーレ・トニャッツィ、リーナ・ヤーダヴ、ルチア・ブルゲローニ&シルヴィア・カロッビオ
2022年/イタリア、インド、アメリカ、日本/英語、イタリア語、日本語、ヒンディー語/112分/カラー/原題:Tell it like a woman
製作・企画・プロデュース:WOWOW
配給:ショウゲート

公式サイト:watashitachinokoe.jp
公式Instagram:watashitachinokoe
コピーライト:(C)2022 ILBE SpA. All Rights Reserved.

9月1日(金)、新宿ピカデリーほか 全国ロードショー

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