レビュー
リアリズムを追求する現代フランス映画
カンヌ国際映画祭グランプリ作品。 現代のフランス映画はロマンよりもリアリティを追求する傾向だが、この作品はリアリティのなかにロマンを盛り込んでます。 90年代の世相を知らなくても、Queenのフレディ、「ボレロ」のジョルジュ・ドンの世界に十分のめり込みました。 ロバン・カンピヨ監督に拍手。
1990年代初め、フランス・パリ。エイズの治療はまだ発展途上で、誤った知識や偏見をもたれていた。「ACT UP Paris」のメンバーたちは、新薬の研究成果を出し渋る製薬会社への襲撃や高校の教室に侵入し、コンドームの使用を訴えたり、ゲイ・プライド・パレードへ参加するなどの活動を通し、エイズ患者やHIV感染者への差別や不当な扱いに対して抗議活動を行っていた。
行動派のメンバーであるショーンは、HIV陰性だが活動に参加し始めたナタンと恋に落ちる。しかし、徐々にショーンはエイズの症状が顕在化し、次第にACT UPのリーダー・チボーやメンバーたちに対して批判的な態度を取り始めていく。そんなショーンをナタンは献身的に介護するが…。
【introduction】
90年代、パリ。愛と叫びを武器にショーンは世界を変えようとした。
生きたいと強く願い、社会と闘った若者たちの生命の鼓動は今も激しく鳴り響く。
第70回カンヌ国際映画祭においてグランプリを受賞し話題となっている、ロバン・カンピヨ監督最新作。第90回アカデミー賞 外国語映画部門のフランス代表にも選出され、ヨーロッパ映画賞作品賞をはじめ、サテライト賞およびインディペンデント・スピリット賞の外国語映画賞ノミネートなど世界中の映画祭で旋風を巻き起こし、“フランスのゴールデングローブ賞”と称されるリュミエール賞に作品賞、監督賞(ロバン・カンピヨ)男優賞(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)、脚本賞(ロバン・カンピヨ、フィリップ・マンジョ)、新人男優賞(アルノー・ヴァロワ)、音楽賞(アルノー・レボティーニ)と計5部門最多ノミネートの快挙を達成。また、アトランタ映画批評家協会賞外国語映画賞、サンフランシスコ映画批評家協会賞外国語映画賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞外国語映画賞、ニューヨーク映画批評家協会賞外国語映画賞、セントラルオハイオ映画批評家協会賞外国語映画賞を受賞するなど、今後の賞レースにも期待がかかる。
生と死、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、強く生きる若者たちの生き生きとした表情や行動、濃厚で鮮烈な彼らの人生に、観る者の鼓動は高鳴り、激しく心を揺さぶられる。
第70回カンヌ国際映画祭グランプリ&国際映画批評家連盟賞受賞
ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、アルノー・ヴァロワ、アデル・エネル
脚本・監督:ロバン・カンピヨ(『パリ20区、僕たちのクラス』脚本・編集)、『イースタン・ボーイズ』監督)
2017年/フランス/フランス語/カラー/シネマスコープ/5.1ch/143分
映倫区分:R15+
原題:120 battements par minute/英題:BPM (Beats Per Minute)
配給:ファントム・フィルム
カンヌ国際映画祭グランプリ作品。 現代のフランス映画はロマンよりもリアリティを追求する傾向だが、この作品はリアリティのなかにロマンを盛り込んでます。 90年代の世相を知らなくても、Queenのフレディ、「ボレロ」のジョルジュ・ドンの世界に十分のめり込みました。 ロバン・カンピヨ監督に拍手。