佐藤二朗&丸山隆平、人との繋がりを語る 映画『名無し』大ヒット御礼舞台挨拶

映画『名無し』の大ヒット御礼舞台挨拶が6月7日に東京・kino cinéma新宿で開催され、佐藤二朗と丸山隆平が登壇した。

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原作は、佐藤が映画用に描いたオリジナル脚本を、永田諒の作画によって漫画化した「名無し」。数奇な運命を背負い“名前のない怪物”と化した男の希望と絶望、そして狂気を描破するサイコバイオレンスが城定秀夫監督により映画化。

白昼のファミレスを襲った無差別大量殺人事件。防犯カメラに残された容疑者の中年男。被害者は誰もが鋭利な刃物のようなモノで切りつけられていたが、映っているはずの凶器の姿だけが目視できない。鍵を握るのは男の右手。その手が向かう先には必ず何かが起こる。目に見えない力の秘密に隠された、恐るべき真実から逃がれることはできるのか。

満員の客席を見渡した佐藤は「昨日、私は川崎の「TOHOシネマズ 川崎」に一人でこっそり観に行きました。実は以前『爆弾』という映画が公開された時期も3回ほど観に行きまして、『爆弾』で演じたスズキタゴサクは人を直接殺めない役だったので、映画を観終わった後に見つかってもいいかと思っていたら、実際に何人かにバレてしまったんですね。でも、今回の『名無し』は見終わった後、『これは何が何でもバレないで帰ろう』と思いました。こうやって(顔を隠す仕草をして)、歩いていたら、余計目立っちゃうんですけど。『怪しいやつだ』と思われながらも、なんとかバレずに済みました」と自身も映画館で作品を体験したことを明かす。

丸山も「僕も、六本木の映画館に上映3日目に観に行きました」と語ると「僕も全くバレなかった。それだけ皆さんが作品に没入して観てくださっている感じがしました」と本作ならではの鑑賞後感だったことを明かしていた。

公開から時間が経過し、さまざまな意見が作品に寄せられている。佐藤は「公開の時にもお話ししましたが、賛否あっていいと思っています。“賛”でも“否”でも遠慮なくSNSに書いてくださいと言ったのですが、本当に評価が二分していて」と話し、「自分で書いていても気づいていないような考察をしてくださる方もいて。もう僕や監督、出演陣、スタッフ陣の手を完全に離れて、まるで生き物のように作品が育っている感覚がします。それはそれで作品としては幸せなことだなと思う」としみじみ語っていた。

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現在116館の上映ながら、早くも興行収入2億円を突破している本作。佐藤は「5年ほど前に一人でウジウジとこの作品を書いて、30人ほどのプロデューサーに見せました。中には本当に親身になって実現に向けた方法を模索してくれたプロデューサーも何人かいて、すごく感謝しているんですけど、結局最後は『オリジナル作品はやっぱり難しい』という結論になるんです。今の日本映画界では、有名な漫画や小説といった原作が担保になるので、それがないとオリジナルは後回しになる。それがずっと定説になっていました」と語った。

そして、佐藤は「でも賛同してくれる方がいて、こうして実現しました。テイスト的にも、決して多くの人が好むようなものではないと思うのですが、オリジナル脚本で、しかもこの小規模公開としては異例のヒットになっている。僕はこれに、日本映画界の未来として、言葉にできないほどの光を感じています」と前を向く。

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丸山も「こういった映画が注目されるというのは、嬉しいですね。映画って、元々は“余白の芸術”だと思うんですよ。考察したり、ラストで何かのピースが欠けていたり。この作品にはそういう要素がすごく詰まっています。今はどちらかというと、エンタメ性の高い、最後にはちゃんと解決する分かりやすい作品が多く見られている中で、二朗さんがおっしゃったように、こういう映画が多くの皆さんに届いているという現状には意味がある」と熱い思いを吐露していた。

その後、何度も作品を観てくれている人に向けて、佐藤があるシーンへの解釈についてトークを展開する。会場は多くのリピーターが訪れていたが、初めて本作に触れる人もいる。佐藤と丸山は壇上で会議を行いネタバレにならないように「映画を観たことがない人は耳をふさいで“アー”って声を出していて!」と提案して物語の核心について観客に問う場面に会場が湧いた。

また本作の重要なテーマの一つである「人と繋がりたいという願い」にちなみ、二人が最近、人との繋がりを感じたエピソードについてトークすることに。佐藤は「今回、徹底的に絶望を描こうとしたのは、『人と繋がっているうちは、まだ明日も生きてみようと思えるのではないか』ということです。全く人と繋がれなくなった、あるいは自分でそう思い込んで、繋がることを諦めてしまった人間はどうなるのか。という視点で書き始めました。だから、人と繋がるということは、実はものすごいことだと思うんですよね」と作品に込めた思いを述べると「ちなみに私、家では割と毎日、妻にハグを断られております」と発言し客席を笑わせる。

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丸山は「僕はもう月並みですけど、やっぱり人生で一番長く一緒にいるSUPER EIGHTのメンバーですね。昨日も一緒に仕事をしていたんですけど、裏でもずっと笑っていますから」と語ると、それぞれのメンバーについてのほっこりするエピソードを明かしていた。

最後に丸山は「映画が始まってしまったらもう逃げられないので、しっかりと目と記憶に焼き付けて、何かを感じ取っていただければと思います。何も感じなくても、皆さんの自由な心の目で観ていただければ幸いです」と語った。

佐藤も「上映が始まる前はこうして明るくお話ししていましたが、作品の中にはこの明るさは全くありません(笑)。でも、あっという間の82分だと思います。昨日観た感じでは、本当にジェットコースターのように過ぎ去ると思います」と呼びかけ「皆さん一人ひとりの“賛”でも“否”でも、あるいは考察でも、SNSで広めてくださることが、こうしたオリジナル作品のヒットに繋がると思います。何年か後、また名もなきオリジナル作品が新しく生まれるきっかけになるかもしれませんので、遠慮なく感想を広めてください」と舞台挨拶を締めくくった。

『名無し』
出演:佐藤二朗 丸山隆平 MEGUMI 佐々木蔵之介
原作・脚本:佐藤二朗
監督・共同脚本:城定秀夫
主題歌:Novel Core「名前」(B-ME)
2026年|日本|カラー|原作:佐藤二朗「名無し」(HERO’S Web)|PG12
配給:キノフィルムズ
(C)佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ (C)2026 映画「名無し」製作委員会
https://774movie.jp

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