映画『男ともだち』の完成報告試写会が9月28日に秋葉原UDXシアターで開催され、松岡茉優、井上祐貴、中島歩、三島有紀子監督が登壇した。

原作は、「しろがねの葉」で第168回直木賞を受賞した千早茜が2014年に発表し、根強い人気を誇る同名小説。京都に暮らす29歳のイラストレーター・神名(松岡)は、仕事もプライベートも順調に見えるが、実は描きたいものを見失い、惰性や不毛な恋愛に逃げる日々を送っていた。そんなある日、神名の元に大学時代の先輩・ハセオ(成田凌)から突然電話が入り二人は7年ぶりに再会、あの頃も今も変わらない温度で接してくれる“男ともだち”と過ごす3つの夜が、神名の人生を大きく動かしていく。
和やかな表情でステージに登壇した松岡は、「本日はお越しくださりありがとうございます。この複雑な物語を紐解くきっかけになれば嬉しいです」と挨拶。
続く井上も、「この後の試写をより楽しみに、ワクワクしていただける時間になれば嬉しいです」とにこやかに語り、中島も「お集まりいただきありがとうございます、楽しんでいってください」とコメント。三島監督も「完成したことをいち早く見たいと思ってくださる皆様とご一緒できることを嬉しく思います」と、思い思いの言葉で本作の完成を迎えた喜びを語った。
本日を迎えた率直な思いを問われると、松岡は「祈るように撮っていた作品で、監督が撮りたいものを撮れますようにと思いながら撮影しました。監督が人生のいろいろな局面を振り返りながら撮った作品が届くのが嬉しいです」と胸の内を告白。

それに対して監督は、「映画が生まれるということは奇跡のようなことなので、スタッフ、キャスト、そして今日お越しくださった皆さんとこの日を迎えられることが嬉しいです」と喜びを露わにした。
さらに井上も「いち早く皆さんに届けることができて胸にジーンときました。男女の友情はいろんな捉え方があるなと思ったし、いろんな感じ方をして頂きたい映画だなと思います」、中島は「映画には僕が出ていないシーンも多く、知らないことも多かったので、思っていたのと全然違う映画になっていました。それは現場で俳優やスタッフさんたちが考えたことが豊かに表現された結果だと思います。とくに松岡さんから影響を受けたおかげで浮気相手の真司が完成しました」とそれぞれ明かした。


本作は、神名とハセオが共に大学時代を過ごした京都で、7年ぶりの再会を果たしたことをきっかけに、神名の人生が大きく変化していくストーリー。そんな物語を作り上げる上で大切にしたことを聞かれた監督は、「2020年に原作を読んだ時『男ともだち』を通して、人が人に寄り添うことは何だろうと考えさせられました。制御できない欲望や孤独を通し、自分自身も映画を撮れなくなるかもしれないという思いに寄り添って、暗闇の先にある光のようなものを探したいと思ったのが、この物語を紡ぐきっかけでした」と本作への思いを語った。

そして、自身の役に対して考えたことを聞かれた松岡は、「とある場面で神名はイラストレーターとしての過去の仕事と出会い直してしまう。今の自分よりも若くて経験値の浅かった時に描いたイラストがとても良くて、あの頃から自分が成長していないのではないか、腕が落ちたのではないかと感じてしまう。それって凄く恐怖。私は俳優ですが、何かを表現して評価してもらう仕事としてその時の神名に凄く共感して。その時に神名と手を握り合えた感覚があった。こういう感覚で役と向き合うのは初めての経験でした」と明かし、「イラストレーターの神名のように、過去の自分が描いたものが最高到達点で評価されるってすごく怖いだろうなと想像できました。その時に神名の手を握れた気がしました」と語った。
井上は「彰人は自分が思ったことや相手に伝えたいことを上手く伝えられない瞬間が多い人です。そこに共感でき、自分の中で彰人というキャラクターが立体化していきました」とコメント。中島は「真司は、神名のご機嫌を伺って、自分の欲求を満たそうとする男です。現場でそんな真司のキャラクター像がどんどん膨らんでいって、劇中では彼のリアクションで表現されています」と明かした。
7年ぶりに成田との共演を果たした松岡は、「メイク室のドアを開けて再会したその瞬間からクランクアップまで、成田さんはいついかなる瞬間もハセオとしてそこに立ってくれていました」と、成田へのお礼の言葉を口にした。
また、井上は初共演の松岡について「松岡さんは出会った時から僕の中では神名で、松岡さんも無意識か意識的かはわからないけれど、現場の最後の最後まで神名として存在してくださった。だから撮影が終わって初めて松岡さんの笑顔を見ることが出来ました」と回想。中島も初共演の松岡について「井上君が言ったように、神名としてピリピリしていたから僕もビクビク」などと表現すると、すかさず松岡から「ピリピリとは言っていません!」とツッコまれて苦笑いだった。

本作は、京都をはじめ福井、広島で撮影が行われたが、松岡は「国立京都国際会館に初めて行きましたが、とても色気のある建物で、思わず私も何か撮りたくなりました」、井上は「劇中では上手くいっていない時の神名と彰人が描かれていますが、本番では言語化できないくらい張り詰めた空気でした」と撮影当時を回顧。
また、国立京都国際会館での松岡、成田、中島の共演シーンについて、監督から「撮影中に、中島さんがいろいろアイデアを出してくれて、演出助手のように芝居を作る側に回ってくれたのが心強かったです」とエピソードが披露された。
本作では、30歳を前に人生に行き詰る神名の姿が描かれているが、困難を乗り越える秘訣を問われた松岡は、「嬉しいことが大前提ではありますが、10年前の作品が好きだと言われたりすると、それ以降この人の人生に私は登場していないんだ…と思ってしまう。年を重ねるとその分上手くなっていなきゃいけないみたいなものがどの仕事にもあると思うけれど、前に進まなきゃいけないという設定は何だろうか?とこの作品を通して思いました」と赤裸々に語りながら、「誰かにとって自分の過去作がお好みだったとしても、自分がちゃんと握れていればいいと思う。私も行き詰まって過去の自分の方が良かったと思う瞬間があったとしても、自分の中で握れている確かなものがあれば進んでいけると、この作品を通して思いました」と打ち明けた。
井上は「心を許せる人たちとおいしいものを食べて飲むことです」、中島は「僕も神名と同じ30歳の時に行き詰りましたが、辞める勇気がなかったおかげで今があります」と、それぞれの考え方を明かした。
そして最後に、約1カ月後に迫る公開に向けて、松岡は「この作品には、かけがえのない、人が乗り越えていかないといけない姿が描かれています。そんな神名にとっての人生の岐路となる3つの夜を皆さんも一緒に過ごしてほしいです」とコメント。
三島監督は「生きていると悶々として満たされないこともあると思いますが、そんな中で闇雲にいろいろなものを自分の中に引っ張って来るのではなくて、自分の中に大切なものが一つだけあれば良いのだと思える作品です」とメッセージを寄せた。
『男ともだち』は、11月6日より公開。
『男ともだち』
出演:松岡茉優 成田凌 井上祐貴 中島歩 咲妃みゆ 三浦貴大 辻凪子 中山求一郎 比喩根(chilldspot)
余貴美子 池畑慎之介
原作:千早茜「男ともだち」(文春文庫)
監督:三島有紀子
脚本:澤井香織
音楽:安川午朗
劇中歌:chilldspot「lost child」(RECA Records)
制作プロダクション:カズモ
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2026『男ともだち』製作委員会
https://happinet-phantom.com/otokotomodachi/
11月6日(金)新宿ピカデリー他にて全国ロードショー