【コラム】映画ライター・よしひろまさみちさんが解説!「Disney Launchpad」オフィシャルコラム到着

(C) 2021 Disney

ディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」にて、ディズニーが様々なバックグラウンドを持つ新世代の映像作家たちを支援するプロジェクト「Disney Launchpad」から生まれた短編映画『リトル・プリン(セ)ス』、『若きバンパイアの憂鬱』など、ディズニープラスオリジナルとなる全6作品が独占配信中だ。

「Disney Launchpad」は、様々なバックグラウンドを持つ新世代の若き映像作家をディズニーが発掘・支援し、彼らがユニークな視点で描いた短編作品を世界配信するプロジェクト。ディズニープラスはもとより、マーベルやピクサーなど映画製作の第一線で活躍するエグゼクティブなスタッフが、それぞれの映像作家たちをサポートしながら作品が制作されている。

「Disney Launchpad」の第1弾となる今回のテーマは「発見」。選ばれた6人の若き映像作家によってユニークな視点で描かれる、多様性、創造性豊かな約20分のオリジナルストーリーの数々は、誰しもが持っている“自分らしさ”を大切にすることの意味や、自分とは異なる他者を理解し尊重し合う事の大切さを伝える。

この度、映画ライター・よしひろまさみちさん によるオフィシャルコラムが到着した。
「プライド月間 (Pride Month)」とされ、アメリカをはじめとした世界各地で、LGBTQ+の権利について啓発を促す様々なイベントが開催される6月。
ファミリー向け作品の世界的ブランドであるディズニーが、ダイバーシティやインクルージョンなどをテーマに取り組む短編映画プロジェクト「Disney Launchpad」について、『リロ&スティッチ』『シュガー・ラッシュ』『アナと雪の女王』など、ダイバーシティやインクルージョンがテーマとして描かれている作品を例に挙げながら、ディズニーが世に送り出してきた作品のテーマの変化や変遷について語られている。

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【ディズニープラス】
短編映画プロジェクト「Disney Launchpad」
オフィシャルコラム

ディズニープラスで始まった短編映画集「Disney Launchpad」は、若い映像作家の発掘事業を目的としたプロジェクト。だが、もう一つの側面は、ダイバーシティとインクルージョンだ。ファミリー向け作品の世界的ブランドであるディズニーが、このテーマに着手したことには大きな意味がある。
2000年代、ディズニー・アニメーションは大きく変わりつつあった。宇宙のモンスターとロコの少女の友情を描く『リロ&スティッチ』やゲーム世界を舞台にプリンセスがアクションに挑む『シュガー・ラッシュ』など、例を上げればきりがない。それまでのディズニー映画の定石は「プリンセスかそれに準ずる少女が危機に見舞われ、王子様かそれに準ずる男性が彼女を救う」という物語。その設定を現代にアップデートするとこうなります、という例を、ファンタジー世界を舞台にして描いてきた。この根底に流れるテーマは、ダイバーシティだ。世界には多様に満ちていて、善人もいれば悪人もいるし、持つもの持たざるものもいて、それに対する偏見や差別も当然のようにある、という世界観。映画の主人公たちはそれらの困難を乗り越え、調和した未来へと導く道標として描かれている。さらにいうと、その考え方もじつはすでに古いもので、『アナと雪の女王』以降はインクルージョンが強く打ち出されており、新作を観るたびに、マイノリティを含む「個」への温かな眼差しを感じるようになった。

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これは、そもそもディズニーが「よそさま」を受け入れるようになったからだろう。御存知の通り、06年からディズニーのファミリー企業となったピクサー・アニメーション・スタジオをはじめ、マーベル・スタジオ、ルーカスフィルムなどのビッグスタジオを次々傘下におさめてきたディズニー。それぞれの才能を持つスタジオを受け入れる、というのは、いわば他から来た人を家族として招き、互いの⻑所を受け入れて高め合うコミュニティを形成するということだ。このように会社がアップデートしているのだから、作品がアップデートしないわけがない。

「Disney Launchpad」では、新たな才能の発掘だけでなく、その作家たちの人種や文化も多様にすることで、どこにもカテゴライズされることがない個性を打ち出すことに成功している。たとえば人とバンパイアのミックスとして生まれた少女を描く「若きバンパイアの憂鬱」では人種が阻む壁の空虚さ、「リトル・プリン(セ)ス」ではアジア的なジェンダー観が妨げる成⻑と友情などなど。どれも現実社会で調和を妨げようとする旧来の価値観への問題提起がテーマ。倫理的に間違っていない個性を伸ばす生き方を推奨しながらも、「よそさま」を受け入れられないことが、どれほど社会を狂わせているか。そこに切り込んでいるのだ。

このメッセージは、世界の子どもたちを勇気づけ、古い価値観を持つ親の心を変える可能性を秘めている。「よそさま」を受け入れて迎えた今のディズニーだからこそ打ち上げられた、変化へのチャンスだ。


Text:よしひろまさみち

配信作品概要

タイトル︓『リトル・プリン(セ)ス』
<ストーリー>
バレエが⼤好きな7歳の中国⼈の少年・ガブリエルと、同じ⼩学校に通う中国⼈のロブは友達になる。が、ロブの⽗はガブリエルの「⼥の⼦らしい」⾔動に疑問を⽰し、2⼈の友情を引き裂こうとする。

<監督>
モキシー・ペン
中国湖南省出⾝の脚本家・監督。労働者階級の⼈々、少数⺠族の移住者たち、そしてクィア(男性にも⼥性にも分類されない性別認識)・コミュニティの⼈々の⽇常を映像化。

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タイトル︓『若きバンパイアの憂鬱』
<ストーリー>
メキシコ系アメリカ⼈で、半分⼈間・半分バンパイアのヴァル・ガルシアは、⼈間の世界でもモンスターの世界でも⾃分の正体を隠している。が、⼈間の親友がモンスター学校に迷い込んできてしまい、ヴァルは⾃分⾃⾝と向き合うことを決意する。

<監督>
アン・マリー・ペイス
テネシーで⽣まれ育ち、現在はロサンゼルスを拠点に活動する脚本家/監督。メキシコ系アメリカ⼈で、決められた型に収まらない⼼の在り⽅を描くストーリーや多⽂化の視点からストーリーを描く。

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タイトル︓『トラになろう』
<ストーリー>
⺟親を亡くした悲しみを乗り越えられないアヴァロン。4歳の⼦供の⼦守をするうちに、意外にも悲しみが少しずつ癒やされていく。

<監督>
ステファニー・アベル・ホロヴィッツ
10年間舞台の演出をした後、映画に転向。彼⼥の2作目の短編映画『SOMETIMES, I THINK ABOUT DYING』は、2019年サンダンス映画祭で初上映され、アカデミー賞の選抜候補名簿にも残った。

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タイトル︓ 『ディナーをどうぞ︕』
<ストーリー>
全寮制のエリート学校に通う中国⼈留学⽣は、まだ留学⽣が誰も採⽤されたことがないリーダー役の試験に挑戦し、努⼒ではその役を勝ち取れないと気付く。

<監督>
ハオ・ズン
エマーソン⼤学(映画制作)、およびAFI(監督)で学んだハオ・ズンは、⼈気のある中国の映画やテレビ番組に出演するプロの俳優から、学⽣アカデミー賞受賞監督に転⾝。

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タイトル︓ 『最後のチュパカブラ』
<ストーリー>
⽂化が存在しなくなった世界。伝統を守ろうと奮闘する孤独なメキシコ系アメリカ⼈の⼥性が、知らず知らずのうちに古代の⽣き物を呼び出してしまう。

<監督>
ジェシカ・メンデス・シケイロース
ソノラの原住⺠とヨーロッパ⼈の混⾎家系出⾝のメキシコ系アメリカ⼈⼥性の脚本家/監督。彼⼥の短編映画の数々は、75の映画祭で上映されている。

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タイトル︓ 『イード』
<ストーリー>
イスラム教徒でパキスタン⼈の移⺠のアミーナは、イードの⽇、学校を休めないと知る。ショックを受けたアミーナは、イードを休⽇にするため署名活動を始める。休⽇にはならなかったが、すれ違っていた姉と再び⼼が通じ合う。アミーナは新しい街を受け⼊れ、街の⼈々もまたアミーナを受け⼊れたのだった。

<監督>
アクサ・アルタフ
クウェートでイスラム教徒のパキスタン⼈とスリランカ⼈の両親に育てられ、多様性と普遍的なストーリーを描く。USCの映画芸術学科を卒業。短編映画『ONE SMALL STEP』は数多くの賞を受賞しているほか、2019年カンヌ映画祭ではアメリカン・パビリオンで上映された。

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ディズニープラス公式サイト:https://disneyplus.jp/

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