【映画感想】『100日間のシンプルライフ』イケメン2人が丸裸で街を全力疾走!?本当の幸せを探す100日間の物語

100日間のシンプルライフフィンランドのドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』を基に、価値観の異なる男たちの大勝負を描いた究極のシンプルライフ・エンターテインメント『100日間のシンプルライフ』が、12月4日(金)に全国公開となる。

本作はフィンランドで一大ムーブメントを起こしたドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』をベースに、価値観の異なる男たちの財産を賭けた勝負へと大胆に脚色。ドイツ・ベルリンを舞台に、2人の細マッチョ・イケメンがテンポの良い掛け合いを見せるエンターテインメントとして昇華させた。主人公のパウル役を監督・脚本も手掛けたフロリアン・ダーヴィト・フィッツ、親友でありビジネスパートナーのトニー役をマティアス・シュヴァイクホファーと、ドイツの人気俳優が競演。全篇に漂うスタイリッシュな雰囲気と予測不能なストーリー展開に目が離せない。

インターネットの普及によって情報がすぐに手に入るようになり、好きなモノに囲まれ豊かな生活を送れるようになった現代。しかし、新型コロナウイルスの影響によって生活が一変。これまで以上にデジタルに頼らざるを得なくなっただけでなく、自身の生活や人生を見つめ直した人も多いはず。勝負がきっかけで、人生で大切なモノは何か?本当の幸せとは何か?を考える彼らの姿は、けっして他人事ではない。これは、今を生きる私たちの人生をより豊かにする“モノ”がたりー。

 

鑑賞レポート

100日間のシンプルライフ
(c) 2018 Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH

シンプルライフというタイトルの名の通り、本作のテーマは至ってシンプル、「本当の幸せとは何か?」だ。

スマホ依存症で浪費家のトニーと、キレ者で完璧主義者ながらもコンプレックスの塊であるトニー。幼なじみでありビジネスパートナーでもある2人は、開発した人工知能搭載アプリ「NANA」を売り込むプレゼンが発端で大喧嘩となり、酔った勢いでとんでもない勝負をすることに。それは、

1.持ち物すべてを倉庫に預ける

2.1日1つだけ物を取り戻せる

3.会社の食料は食べてOK

4.買い物禁止

この条件で100日間過ごし、先にギブアップした方が「NANA」の売り上げによる自身の取り分の半分を従業員に配分する!というもの―。

突然の所持品ゼロを強いられた生活は、シンプルライフというよりも都会のど真ん中で繰り広げられるサバイバルのよう。所持品と共に理性も羞恥心もどこへやら―文字通り丸裸の2人は、雪が降り積もる極寒のドイツの街を素っ裸で駆け抜け、相手を出し抜いたりルールを無視してズルをしたり・・・イケメン2人がなりふり構わず小学生男子のように喧嘩する姿が情けなくも楽しい。

手に入れるプロセスで幸せを感じるために「物」を買うパウルと、自分の弱さや孤独から守るため盾として「物」にこだわるトニー。所持品がゼロの時よりもある程度必要な物が揃い始めてきた時からのほうが、「物」で押さえ込まれていた負の感情を呼び起こし、価値観が揺らいでいく様が非常に考えさせられた。そこから本作は、コメディから一気に人間ドラマへと切り替わる。


(c) Anne Wilk 2018 / Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH

パウルとパウルの祖母との関係がとても素敵だ。祖母がパウルにつぶやいた「幸せは水と同じ。掴もうとすると手から流れちゃう」という言葉に、戦争によって奪われることのほうが多かったであろう時代に生きてきた者の強い説得力を感じた。時代によって変わっていく物に対する価値観の違いを考えさせられる一言だ。

詮索を嫌い、過去を明かさない謎の美女ルーシーやカリスマIT事業家ザッカーマンなど、パウルとトニーの関係を揺るがす登場人物もかなり個性的。ルーシーを振り向かせるため、今あるものだけで取り繕うトニーの必死な行動が、おかしくもロマンティック。本編ラストでのトニーのとんでもなく思い切った行動は必見だ。

たくさんの物があるなかで、なぜ自分がそれを選んだのか、どうして欲しかったのかを深く考えることで、もっと自分を知ることができる。「物欲」と「人恋しさ」は似ていて、どちらも“足るを知る”ことができる人こそ本当に幸せな人なのだと、パウルとトニーを見てしみじみ感じた。

100日たったあとのパウルとトニーは何を捨て、何を選び、何を手に入れたのか?
この年末、本作に想いを馳せながら、大掃除が大いに捗ること間違いなしだ。

作品タイトル:『100日間のシンプルライフ』
出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、マティアス・シュヴァイクホファー、ミリアム・シュタイン
監督・脚本:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ
原題:100 DINGE/英題:100 THINGS/2018/ドイツ/111分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:吉川美奈子
PG-12
提供:フラッグ
配給:トランスフォーマー、フラッグ

公式サイト:100simplelife.jp
公式Twitter:100_simplelife
公式Instagram:100_simplelife
コピーライト:(c) 2018 Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH

12月4日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開!!

 

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