歌手、画家、詩人としてカルト的人気を誇る友川カズキのドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』2月1日公開決定

友川カズキのドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』が、2月1日(土)より新宿K’s cinemaにて公開することが決定した。公開決定に加えて本作のメインビジュアル、佐々木育野監督のコメント、そして編集者の都築響一さんより本作への推薦コメントが解禁された。

ミュージシャン、画家、詩人としてカルト的人気を誇る友川カズキ。1974年にレコードデビュー、代表曲に「生きてるって言ってみろ」、ちあきなおみに提供(作詞作曲)した「夜へ急ぐ人」などがある。
画家としても活動を始め、1985年に初の個展を開催。その多彩な表現活動は、中上健次(作家)、大島渚(映画監督)ら多数の芸術家、文化人から惜しみない賛辞を浴びた。本作は、異形のアーティスト、友川カズキの2010年夏の記録を収めたドキュメンタリーだ。

一部では高く評価されながらも、広く大衆に受け入れられることはなく、川崎の小さなアパートで今も粛々と暮らしている友川。20年来、どっぷりのめり込んでいるのが競輪で、3年ぶりに会う大学生の四男までも競輪場に連れ出し、指南するほどのハマりっぷり。本人は「競輪が病気なら、生涯、治らないでほしい」と豪語する。

基本的に大穴狙いで、競輪仲間には滅多に当たらないとも言われている。それでも、今日もまた、一日の大半の時間を競輪場に出向くか、あるいは家でのレース予想に割いている。映画は、その生活の一部始終をカメラに捉えていく。

部屋のTVの前で、競輪場で、車券を握りしめて叫ぶ姿、近所の公園の噴水で水浴びをする姿、そして絵を描き、ライブで歌う姿…この現代にあって奇跡的ともいえる無頼詩人・友川カズキの慎ましくさえ見える日常の中で、もはやギャンブルや音楽というジャンルに収まりきらないほどの熱量が表出する。

またこの映画の為に、石塚俊明、永畑雅人らと車中で演奏したシーンも見どころの一つだ。
そして、冒頭から競輪の予想を外し続ける友川は果たして劇中で万車券を手にすることができるのか・・・?

その悲喜こもごもの顛末については是非本編を楽しみにして頂きたい。

プロフィール
友川カズキ(ともかわ・かずき)
1950年秋田県生まれ。1974年のレコードデビュー以後、計30作を超える作品を発表。代表曲に「生きてるって言ってみろ」、ちあきなおみに提供(作詞作曲)した「夜へ急ぐ人」などがある。執筆活動や画家活動も並行して行い、80年代以降は絵画個展も多数開催。2010年、フランス人映像作家・ヴィンセント・ムーン監督によるドキュメンタリー映画『花々の過失』が国内公開された。2018年6月には2000年代PSFレーベル時代の音源を集めたベスト盤「先行一車」をリリース。そして2019年6月には、これまでのエッセイ・詩などをまとめた『一人盆踊り』(ちくま文庫)を上梓し、各方面で話題を呼ぶ。そして齢69にして、ますます進化し深化する「表現者」として旺盛なライブ活動を今日まで続けている。

監督:佐々木育野(ささき・いくや)
1980年12月9日、岩手県宮古市で生まれる。大学在学中から自主映画の制作を始め、東京で映像制作の仕事に携わった後、長野県御嶽山、瀬戸内の島など国内を転々としながら、様々な職業に従事。現在は大阪在住。山小屋業務をまとめた映像作品『或る山』は第2回恵比寿映像祭にて上映。

コメント

三上寛をはじめ、当時からいまも活動を続けるフォーク・シンガーは何人もいます。でも自分より40歳、50歳年下の若い層から寄せられる共感度、共振度においては、友川さんが抜きん出た存在でしょう。映像に捉えられたライブのフロアからも、友川さんを献身的に支えるスタッフたちを見てもそれが伝わってきます。
それは、おのれが抱える「ずれ」を世間に、時代にあわせることをしない、むしろ「ずれ」を糧に冷ややかな世界に立ち向かい続ける、その生の強度にだれしもが感応するからでしょうか。老いたもの、若すぎたもの、なにかを忘れ、失い、傷ついたものたちすべてにとっての止血剤として。
都築響一(編集者)

初めて友川カズキのライブを観たとき、まるでグリコ森永事件の犯人のようだと思った。そんな友川さんにグリコ森永事件のナビゲートを依頼したのが始まりだった。結局、その企画はなくなり、友川さん自身のドキュメンタリーを撮ることになった。
撮影は難航した。友川さんは自分の世界にひきこもるアナグマのように見えた。友川さんをそこから引きずり出そうとしたが、友川さんのギラッとした眼で見返されると、臆病な僕は怖気づき、軽く怒らせるぐらいが関の山だった。有能なスタッフに恵まれながら、素材をうまくまとめられず、ただただ自分に絶望していた。この素材と鬱が僕の中で混ざり合い、もはや鬱そのものであった。この素材のせいで、僕はこの10年間一歩も進めなかった。
そんな折、友川さんが大阪に来ていることを知り、ライブを見ることにした。この映画のことをすっかり忘れながらも、何も変わらない友川さんの姿を見て、
「あ、進歩ってしなくてもいいんだ」
と気づいた。
進むのはやめた。人生を遊ぼう。
人生はかるい悲劇だ。
佐々木育野(監督)

 

『どこへ出しても恥かしい人』
出演:友川カズキ、石塚俊明、永畑雅人、及位鋭門、及位然斗、及位玲何、大関直樹、安部俊彦、林秀宣 六兵衛鮨、菊池豊ほか
監督:佐々木育野/撮影:高木風太/録音:松野泉/車輛:西村立志/編集:宮本杜朗、松野泉、佐々木育野
プロデューサー:酒井力、田中誠一
製作:志摩敏樹
2019年/日本/DCP/5.1ch/64分
製作・配給:シマフィルム株式会社

公式サイト:https://hazukasiihito.shimafilms.com/
コピーライト:(C)SHIMAFILMS

2020年2月1日(土)より新宿K’s cinemaにて公開!以降、全国順次公開予定

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